異世界クラス転生~君との再会まで長いこと長いこと   作:アニッキーブラッザー

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第93話 ハンターコンビのクリとリス

 べたつく油っぽい湯気と、周囲に漂うガルリックの香り。

 替え玉なんかやった日には、メタボまっしぐらだというのに、ベテランのおっさんハンターも、色っぽい姉さんハンターたちも満足げに、今すぐ寝てしまいそうな微笑みを浮かべてまったりしていた。

 

「ぷはっ~~~、食った~」

「あ~、お腹いっぱい。ぜったい太るわ、これ」

「でも、ずっり~よな~。エルファーシア王国にはこんなウメーもんがあるなんてな」

「ここ数年、新種の食材や料理についちゃ、チェーンマイル帝国が進んでるってハンター仲間じゃ有名だが、こんなもんは初めてだぜ」

 

 ここに、貴族や王族はいねえ。いや、ウラとファルガは除くけど。

 額に汗をかいて泥まみれになって金を稼ぐハンターたちの姿は、故郷で仕事帰りに作業服のまま店にやってきた客たちを彷彿とさせる。

 そう、上品も下品も関係なく、勢いよくかっ食らって一日を締める。これでいいんだ。

 

「殿ッ! 深手を負われた殿が傷ついた体で、なおもお作り頂いた一品を口にできるなど、このムサシ、天下一の果報者にございまする! 殿の想いの込められた一品を平らげさせて戴いたことにより、このムサシ! 明日だろうと、今であろうと、神々に挑むことすら厭いませ、ゲッブ……!」

 

 土下座しながら、感激の涙を流しながらも、ゲップしてしまったムサシ。

 そりゃ、あんだけ「殿の手作り料理でごじゃる~」とか、一心不乱に食いまくってりゃ、そりゃーな。

 その表情はみるみるうちに真っ赤になり…………

 

 

「拙者としたことがーーーーーーっ! 殿の御前で何たる失礼をーーーーーっ!」

 

 

 感激から自分自身への羞恥の涙を流しながら走り去ってしまった。まあ、可愛い奴だな。

 

「ふ~、とにかく、俺は疲れたよ」

「おい、愚弟、大丈夫か?」

「お~、俺はもう寝るぞ。ファルガ、一応、ウラたちがハシャぎ過ぎねーか、見張っといてくれよ」

「分かった。クソゆっくり休んどけ」

「おお」

 

 一応一件落着とはいえ、何があるかわからねえし、とりあえずファルガに最後まで見張っといてもらって、俺はもう寝よう。

 さすがに、疲れた……

 まったりしても、すぐにダラダラとうるさくダベリだした連中を背中に、俺は一人宿に戻ることにした。

 階段の上り下りも一苦労、ようやく部屋にたどり着いてベッドにダイブした瞬間、もうこのまま天国に行けるかもしれないと思った。

 

 

「は~~……とにかく、落ち着い……」

 

 

 何はともあれ、落ち着いて良かったと、俺が深い夢の中に飛び込もうとした、次の瞬間だった。

 

「コンコーン、っと、坊や~、一人で~、何で~、抜け出しちゃってるの~?」

「お姉さんたち~、まだ~、坊やにお礼イッてない~♥」

 

 部屋をノックされ、俺が受け答える前にドアを勝手に開けて中に入ってくる二人の女。

 

「しー、ね、しー。ファルガの目を盗んで来たんだから~」

「こんなのバレたら、ウラちゃんに殺されちゃうし~」

 

 それは、さっきまで宴会の中心に居てウラやおっさんたちと盛り上がっていた、妖艶なハンター。

 顔は海外のポルノ関係に出てきそうなブロンドの巨乳、むっちりとした尻で、目を奪われる二人組だった。 

 その衣装は、露出の高いビキニアーマー。

 胸はハートマークで先端のみを覆い隠し、あとは簡単な肩当てと、額あてのみ。

 へそも背中も太ももも豪快に露出し、もはや隠しているのか、それとも真っ裸なのか分からないぐらいのギリギリのローレグは、簡単にちぎれそうなほど、尻に、下腹部に食い込んでいる。

 ブロンドロングのクリ。ブロンドショートのリス。

 妖艶絶技のクリとリス。

 ハッキリ言って、目のやり場に困る二人組が、なんと俺の部屋にやってきやがった。

 

 

「えっと、なんで――――」

 

「はいはい~、こんばんま●こ~」

 

「こんばんまん●~」

 

 

 って、何か用かと聞くまでもなく、二人はいきなりベッドに突っ伏す俺に接触してきて、クリが俺の背中に覆いかぶさり、リスは俺の顔の目の前でM字開脚しながらベッドに座った。

 

「えっ……いや、あの、マジでなに?」

 

 俺の人生では前世も通してこんな展開は初めてだった。

 いや、十歳のころ、ウラとフォルナのタッグで、風呂場で全裸で襲われたことがあったが、この歳になり、しかも相手も若い年上ときたら、もう洒落にならん。

 てか、俺の背中に乗っている、リスは重いと感じるよりも、柔らかいふわふわの巨乳を俺の背中にこすりつけながら、俺の耳たぶを噛んできやがっ、つぉおおっ!

 

「ひゃぅっ!」

「れろっ♪ あははははは、かわいい~、坊や~」

「ほんとほんと~、あんなに生意気だけど、実は童貞とか、ほんと燃えるよね~。ウラちゃんったら、意外と奥手なんだね~」

 

 俺の反応を楽しみながら、怪しく笑う二人の女。

 その大人の怪しい雰囲気に、俺も緊張で呼吸が苦しくなってきた。

 

「ふふふふふ~、お礼だよ~、お・れ・い!」

「そうそう~。坊やのおかけで~、温泉掘り起こしてくれたし~、美味しいご飯も食べさせてくれたし~。もうさ、タダでシてあげるぐらい御礼しないと、悪いじゃない?」

 

 そう言いながら、リスは俺の顔の目の前で開脚したまま、怪しい指の動きで、自分のローレグを引っ張ってズラす。

 するとそこにはアワビ!

 

「うふ、うふふふふ、今度は坊やの晩御飯~食べたい? それとも食べさせて欲しい~?」

「どうする~? もう、坊やのお箸で好きなものブッ刺して食べていいんだよ~? それとも、お姉ちゃん達がひとつ残らず食べさせてあげちゃう~?」

 

 その時、俺は自身の熱くなる体とは裏腹に、かつてのトラウマが脳裏を過ぎった。

 それは、十歳のころ、あのギャンザと出会った頃の話。

 ギャンザの力の前に成す術なく、体を押さえつけられて、無理やり喰われそうになったあの時。

 この二人も「食べろ」と言いながらも、明らかにその目は、俺のことを「喰う」目をしている。

 俺はトラウマからか、声を失って、体が固まっちまった。

 

「あ~~ん、緊張しちゃって震えてる~。あんなに生意気だったのに、本当に童貞なんだ~」

「やっば、もえてきた~、それじゃあ、お姉ちゃん達が、食べさせてあげる♪ 坊やも少し経験しておかないと、ウラちゃんとの初体験のときに~、リードしてあげられないよ~?」

 

 つっ、い、いかん! 何でおれ、こんな状況? 俺、今から寝るんじゃねえの? 何で俺が食われそう?  

 ダメだ、何考えてんのか、よくわかんねーし! でも、もしここで一線越えちまったら………経験値と引き換えに、なんか色々と失いそうな………

 

「ま、待てコラァ!」

「あんっ!」

「いや~ん、どうしたの~」

 

 俺の体を気遣うように、ズボンとシャツを丁寧に脱がしに掛かる途中で俺の声に動きを止める二人。

 とりあえず………

 

 

「あの、そのよ~。俺は………………す………好きな女が居る………………………」

 

「…………………………………………………………………………………」

 

「…………………………………………………………………………………」

 

 

 どうだ? 好きな女が居るとでも言えば、こういう状況は………

 

「うっわ! かっわいいいいい~~~!」

「ちょ、ワルぶってるくせに、意外とピュアとか、もうだめ! これはもう、涙目にさせたいっ!」

 

 余計に気合入っちまっ………

 

 

「それじゃ~、私たちも、食べさせてあげようかな~」

 

「そうね~、おっぱいサンドと、股サンド、どっちがいいかな~? どっちもトロける食感を絶対保証♪」

 

「ほっかほっかの温かいうちに、ケダモノっぽく、どーぞ召し上がれ♪」

 

「気軽に決めていいんだよ? どうせ全部食べていいんだし♥」

 

 

 いや、もう、色々と、俺の中の性欲が色々とヤバイことになってる。

 無理だ。俺が僧侶でも無理だ。

 こんな、AVみたいなドン引きしそうな責め苦に、爆発寸前だ。

 でも、俺には、………………

 

 

―――ヴェルトにはワタクシが居ないとダメですのよ!

 

―――ヴェルトは私のものだッ!

 

 

 この状況で、神乃じゃなくて、フォルナとウラを思い出すあたり、俺はどうなんだろうか。

 だが、もう、俺は今日、清い体じゃなくなって………

 

 

「殿――――っ! 申し訳ないでござるーーーーっ! 殿の御就寝だというのに、懐刀である拙者が御側を不在にするなど、あるまじきこと! どうか、どうか拙者に挽回の……へ……?」

 

 

 ギリギリセーフで、ある意味でアウト。

 ムサシの『ダイビング入室土下座』!

 その効力は、俺たち三人の時を一瞬で止め、その副作用でムサシの体も完全硬直。

 しかし、ムサシは数秒後には顔を真っ赤にしながら、目が渦巻きのようにグルグル回りながら………

 

 

「と、と、とにょ、も、もうしわけ、ねねね、閨での、お、おじゃまを、してしまったでごじゃ……」

 

 

 違う! これは、肉食動物の狩りだっ!

 

「ム、ムサシ………………これ、チゲーから………………」

「ほへっ?」

「………と、とりあえず、………………た、助けてくんね?」

「……………………………ッ!」

 

 もはや、状況などまるで分からないとはいえ、それでも俺の「助けて」の声。

 それはムサシ機動の何よりの呪文となり………

 

 

「お、お、お、おぬしらあああああああっ! せっしゃの、とのに、なにしてるでごじゃるかああああああああっ!」

 

「ひいいいいいっ! ごめんって! あ~~~~ん、もうちょっとでプリップリの童貞を喰えたのに~!」

 

「ちょっと~、これでお預けはないよーっ! ムサシちゃんも入って、四人でやろうよーっ!」

 

「ふぎゃああああああああああああっ! ぶれいものめええええ! せっしゃが、たたっきってやるでごじゃるううううっ!」

 

 

 とにかく、顔を真っ赤にして木刀振り回すムサシ。目がぐるぐる回ってフラフラ状態ながらも、激しく興奮して叫び、半裸のクリとリスを部屋から追い出した。

 

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