五条悟の妹は最強に並びたい   作:タカオ山

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 保存されてなかったせいで1から書き直したので遅れました……




吉報

 

 拡張術式の修業を初めて成功させてから一ヶ月の時間が過ぎた。この間に私は拡張術式をかなり上手に扱える世になった。単純な物体の加速はもう無意識レベルで行える。しかし、通常の術式と拡張術式の併用はいまだに難があり、実用できるレベルではない。まあ私にも遠距離攻撃が使えるようになったと考えたら十分な成果と呼べるのではないだろうか。

 

 今までの私は術式で自身を加速させとにかく殴るという脳筋戦法だった。しかしこれに遠距離攻撃が加わることで、牽制を行えるようになったってこと。ん?結局メイン攻撃で殴るのは変わってないって?まあ細かいことは気にしない気にしない。ゴリラとか言ったやつはいつか殺しに行くからな。

 

 そして今日はついに交流会の日だ。もうすでに一級術師の私にとって大した意味を持たない交流会だが、拡張術式のお披露目兼試用の場だと思えば十分。呪術師の繁忙期が過ぎ、呪霊討伐の任務がパタリと止み正直暇だったからね。

 


 

「な、なんでみんな手ぶらなのー!?」

 

 集合場所に着き遅れてきた野薔薇が私たちが手ぶらなことに驚いている。ん?逆になんで手ぶらじゃないの?

 

「野薔薇、何その荷物?」

「何って、京都校()姉妹校交流会……」

「京都()姉妹校()東京で交流会だよ。」

「嘘でしょー!?」

 

 ああ、なるほど。だからそんな荷物を持ってたのか。どうりで最近会話が噛み合わないわけだ。最近ショッピングに付き合わされることが多かったのも納得。気持ちも分かる。私も八ツ橋空気満々だったのに兄様に東京でやることを教えてもらってショックを受けたからね。

 

「去年交流会で勝った方の学校でやんだよ。」

「勝ってんじゃねーよ!バカ!」

「去年は憂太が出たからな。「里香」解呪前だったから圧勝だったらしいぞ。」

 

 そりゃ勝つわ。憂太先輩が出たのなら負けるはずがない。並の一級術師なら10人集まっても勝てないだろうからね。今の私ならどれくらい戦えるかな。海外から帰ってきたら手合わせをお願いしよ。

 

「おい、来たぜ。」

「あら、お出迎え?気色悪い。」

「乙骨いねえじゃん。」

 

 他愛もない(野薔薇にとっては他愛もある)話をしていると、京都校の連中がやってきたようだ。葵先輩はもちろん、悠仁のことをバカにした女もいる。後から聞いた話だが、あの女は真希先輩の妹だそうだ。名前は禪院真依。嫌いだから呼び捨てにしよ。

 

 あと野薔薇さん?お土産をたかるのはやめようね。あとで私がネットで注文した八ツ橋あげるから。実は八ツ橋を諦めきれなかったからネットで大量に注文しておいたのだ。

 

「乙骨がいないのはいいとしテ、1年生3人はハンデが過ぎないカ?」

 

 この片言の人(ロボット)は究極(アルティメット)メカ丸。呪力の形が特殊だから、多分呪骸。ただ、呪骸の本体がどこにいるのかわからん。少なくとも高専の中にはいないだろう。

 

「呪術師に歳は関係ないよ。高専入学時にすでに一級の五条さん。禅院家の血筋で宗家よりよっぽど出来がいい伏黒君もいる。」

 

 この人は加茂憲紀。御三家の一つである加茂家の嫡男で、加茂家相伝の赤血操術。真希先輩を馬鹿にしているのか?だとしたら交流会を待たずに今この場でボコボコにしてやってもいいんだけど。

 

「憲紀先輩、真希先輩のこと馬鹿にしているんですか?殺しますよ?」

「……すまない。そんな意図はなかったんだ。」

「怖っ……」

 

 箒を持った女の子に怖がられてしまった。あとしれっと真依の奴も震えてるけど知らん。別に加茂先輩以外に殺意を浴びせてないんだけどなぁ。まぁこれで舐められるってことはなくなっただろう。

 

「はーい、内輪で喧嘩しない。全くこの子達は。」

 

 この人は京都校引率の庵歌姫さん。兄様の一個上の先輩で、兄様と高専時代から関わりがある。そのせいか、兄様はこの人に一定の信頼を持っている。ちょっと羨ましい……

 

「……で、あのバカは?」

「悟は遅刻だ。」

「あのバカが時間通りに来るわけねーだろ」

 

 誰もその馬鹿が兄様なんて言ってないんだけどなぁ。まあでもそこばっかりは否定できないから仕方ないとは思う。兄様が大好きな私でもちょっと擁護できないぐらいひどいことをしているからね、仕方ないね。

 

「おまたー!」

 

 ようやく兄様が着いたようだ。荷台にでかいアタッシュケースと、ミイラの人形?みたいなのが乗っている。

 

「やあやあ皆さんお揃いで。私出張で海外に行ってましてねぇ。はい、お土産。京都校の皆にはとある部族のお守りを。」

 

 ミイラっぽい人形は京都校のお土産らしい。青髪の子に2つあげてたから1個もらえないか後で聞こう。

 

「そして東京校の皆にはコチラ!」

「ハイテンションな大人って不気味ね。」

 

 グルンって効果音が付きそうなぐらいキレキレに此方を向く。野薔薇の言う通りやけにテンションが高い。これから京都校の学長に嫌がらせでもするのだろうか。

 

「故人の虎杖悠仁くんでぇーっす!」

「はい!おっぱっぴー!」

 

 …………は?

 

 なんで悠仁が?呪霊の幻覚でも見ているのか?いやでも、もしそうなら高専全体にアラートが鳴っているはずだ。だったら京都校の誰かの術式か?

 

 ……違う。私どころか周囲一帯に術式をかけられている気配が無い。つまり、本物……?いや、でも私の目の前で悠仁は死んでいた。呼吸も心臓も止まっていた。心肺蘇生で生き返るような時間はとっくに過ぎていたはずだ。

 

 兄様が悠仁を京都校の学長に見せた。その反応からして、学長達ですら知らなかったようだ。

 

 周囲(主に学長達)の反応を見てくつくつと笑う兄様を見て確信する。悠仁は生きていたが秘匿していた。理由は多分、悠仁を強くするため。

 

 悠仁はおそらく上層部の兄様への嫌がらせで殺された。だから、そんじょそこらの奴に殺されない為に、強くしたんだ。どうやって生き返ったのかは分からないが、生き返った場にもしも兄様がいたらそうするだろう。

 

「生きてること黙っててすんませんでした……」

 

 野薔薇に謝っている悠仁。野薔薇の気持ちも分かる。一言伝えてくれても良かったんじゃないかって。自分が直接言えないなら兄様を通してでもってね。

 

「悠仁。強くなったんだよね?」

「おう。……色々あった。だから俺はもう誰にも負けたくねーんだ。」

 

 悠仁の顔が少し曇る。きっと呪いの呪いたる所以を感じる機会があったのだろう。だけど上手く踏ん切りをつけれはしているようだ。

 

「だったら私の代わりに交流会に出て。そして勝って。」

「もともとそのつもりだ!」

「勝ったら隠してたこと許す。負けたら私に八ツ橋一年分買ってもらうから。」

「うわっ!ぜってぇ負けられねー!」

 

 今は悠仁が生きていたことを。また、あの僅かな青春を味わえることを密かに喜ぼう。

 

「注目!これから、交流会1日目団体戦『チキチキ呪霊討伐猛レース』の説明を始める。

 

 兄様をガッチリ極めつつルール説明をしている。あの反応だと学長にも知らせてなかったのか。

 

「指定された区間内に放たれた二級呪霊を祓ったチームの勝利となる。区間内には三級以下の呪霊も複数放たれており、日没までに決着がつかなかったら討伐数の多いチームに軍配が上がる!」

 

 おそらく区間内に放たれた呪霊は京都校で捕えたんだと思う。そんな呪霊を捕らえる任務なんてなかったからな。つまり、京都校なら放つ呪霊の等級も操作できるってことか。

 

「それ以外のルール一切なし!勿論妨害行為もありな訳だが、あくまで君達は共に呪いに立ち向かう仲間だ。くれぐれも、相手を殺したり、再起不能の怪我を負わせることの無いように。以上、開始時刻の正午まで、解散!」

 

 さっき兄様にブチギレていた京都校の学長、やけに落ち着いてるな。……はぁ。めんどくさい仕事が出来そうな予感。

 

 あっ葵先輩との約束忘れてた。まあ、個人戦に出ればいっか。

 

 

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