この展開はこの作品を書き始めた当初から構想にあったものです。
「今日の鍛錬は一旦ここまでにしよう。僕は京都校の学長に会ってくるよ。」
「分かりました。」
兄様に鍛錬をお願いしてから早いことに2週間ほど経った。この2週間の間に私は基礎体術、術式出力をかなり向上させることができたと思う。
ただ、拡張術式がまだ上手くいかない。兄様いわく、拡張術式や領域展開はインスピレーションが大事だと言う。インスピレーションによる術式の解釈の拡張。それにより付与する対象を変化させたりすることができるらしい。正直そんなインスピレーションが湧かない……休憩がてら恵達の様子覗きに行こーっと。
「真希せんぱーい!恵達どこか分かりますか?」
「私がパシったから自販機のとこにでもいると思うぞ。」
先輩にお礼を言い自販機に向かう。私もなんか買おうっと。
……ん?なんか恵と野薔薇が誰かと話している。その雰囲気は決して良いものではない。1人は目元に傷がある大男。もう一人は……真希先輩に似てる女の人。
「器なんて言えば聞こえはいいけど、要は半分呪いの化け物でしょ?」
悠仁のことを話しているのか?ねっとりとした嫌味で、私が一番嫌いなタイプの人種の感情。
「そんな穢らわしい人外が隣で不躾に呪術師を名乗って虫唾が走っていたのよね?」
どす黒い感情があふれ出す。感情のコントロールができないことは呪術師失格だというのは理解しているが、それでもいい。今はとりあえずどうやってこの女を殺さずに済むか考えよう。
「落ち着けみさ……」
思わず呪力をフルに開放してしまったがゆえに全員が驚愕の視線を向ける。女に近づく私を止めようと、恵が間に入ろうとするがそれはかなわない。なぜなら、恵が止めようと行動を起こした瞬間にはもう女の目の前にいたからだ。この場にいる誰も視線で負えないような速度で女に近づき満面の笑みで尋ねる。
「ごめん。聞こえなかったからもう一回言って欲しいんだけど、いいかな?」
この女に与える最後のチャンスだ。これでダメなら私はこの女を殺してしまうかもしれない。できれば誰でも良いから止めてね。
「な、何度も言ってやるわよ。穢らわしいじんが「真依!!」」
女の台詞を目に傷をつけた大男が止める。良かった、人殺しにならずに済んだようだ。
「お前、アイツの殺意に気付かないのか?あと一秒でも止めるのを遅れたら死んでいたぞ?」
「ありがとうございます。私も人は殺したくなかったので。」
一応私の人殺しを止めたので感謝を伝えておく。敬語な理由はおそらく先輩だから。
「ちなみにあんたの名前は?」
「五条美悟です。」
「俺は東堂葵だ。……あの五条悟の妹で入学時から一級術師の天才か。ちなみに交流会は出るのか?」
あぁ、百鬼夜行で特級呪霊を2体も祓ったっていう。特級を祓える実力をもつ彼は一級術師の中でもトップクラスだろう。そんなやつも出るのか。
交流会が退屈なものでないことが確定したからかちょっとニヤつく。
「出ますよ。葵先輩も出るんですよね?」
勘違いが無いように一応確認しておく。
「あぁ、出る。それとは関係ないんだが……」
ん、なんだ?肩にかけていた制服を着てボタンまでしめる。制服についている埃を入念に払い肩幅まで開いていた足を閉じる。……こんなことするような几帳面な人には見えなかったが。なんだか嫌な予感がする。
「一目惚れしました!俺と付き合ってください!」
「「「「………は?」」」」
腰を45°に曲げて手を差し出してくる。全員意味が分かっていない。どういう理論でそうなった。助けを求めて恵と野薔薇の方を向く。恵は混乱して、私と葵先輩を交互に見ている。野薔薇はゴミクズを見るような目で葵先輩を睨みつけていたが、私の視線に気付いた野薔薇は声には出してないが「振れ。」と口を動かす。その振る方法を教えて欲しいんだけどなぁ。
確かに私は兄様と同じように美形の自信はある。それでも告白なんぞされたことがないから振り方なんて知らない。だから兄様が言っていた振り方をしよう。
「……葵先輩。顔をあげてください。」
葵先輩が顔をあげたところで術式を解放、腕を加速させる。
「ごめんなさーい!」
そして、相手の顎を下から上に向かって振り抜く。兄様が「告白されたらアッパーをして断るんだよー」って言ってたから間違いない。兄様は何も間違えないからね!
美悟の最大加速の攻撃を防御をしていない無防備な状態で受けた東堂は宙に舞ながら白目をむく。そして建物の天井に頭だけ刺さって落ちてこない。
「美悟!何やってんだお前!?」
「え、だって兄様がこうやって断れって……」
「「ギャハハハハ!」」
恵は急いで葵先輩を天井から引き抜き、重そうな体をおんぶして硝子さんのところに連れていく。野薔薇と葵先輩と一緒に来てた女の人は笑い転げている。
……あれ?私なんかやっちゃいました?
美悟は身長と尻がでかい女です。