【悲報】メラメラ食っちゃった   作:敗北者

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 【ビッグ・マム】シャーロット・リンリン。【炎魔】ウルカス・カガリの数年ぶりの接触。

 世界政府に知られていたら、確実に接触を妨害しようと動いていただろう。

 

「安心しな。お前が嫌がるから、今回は略奪してねえよ……全部おれの国で育てたものさ!」

「うちの国のお菓子は美味いんだ。ほら」

「あむ……うん、美味い」

「ママママ。おれの娘と結婚して国に住めば毎日だって食える」

「結婚はしねえつってんだろ」

 

 とろけるクリーム、フワフワのスポンジ、噛むと果汁があふれる新鮮な果実。

 確かに美味い。材料もそうだが、技術も高いのだろう。

 

「ママがお菓子大好きだから。私達家族は皆お菓子作りが得意なんだ」

「だからお前のお菓子美味かったのか」

「……………」

 

 ニタリと牙が生え大きく裂けた口で笑みを浮かべるポワール。喜んでいるようだ。

 

「それで、また見合い話だけしに来た訳じゃないんだろ?」

「それも目的の1つではあるけどね。おれの国にはお前の種族はいねーからな!」

「おれ達火守りの戦士達は確かに血は濃いが、それでも混血だぞ」

 

 「神」の力を濃く継ぐ者達が戦士となり、共に命を預ける関係上、番になりやすい。

 なので戦士ではない者達に比べ「神」の血が濃い。とは言え、始まりが神と駆け落ちした島出身の人間の戦士である以上混血であることには変わりない。

 

 そもそも「神」が持っていたとされる身体的特徴の幾つかを受け継いでいない。髪の色が変わるのは神に近づくかららしい。

 

「ママママ。生き残りが居るかもわからねえ希少種だ。何より、おれはあらゆる種族が共に暮らせる国を作りたいのさ! 混血? だから何だ、望むところさ!」

「で、あれからどれだけの国街を潰した?」

「? ええと………幾つだったか………」

「…………………本題は?」

 

 カガリの言葉に図星をつかれた風でもなく、ただ聞かれた言葉に答えようとするビッグ・マムを見てカガリは話題を変える。

 

「おおそうだった! お前、最近世間になんて呼ばれているか知ってるかい!?」

「炎魔」

「そっちじゃねえよ! 本当に知らないのかい? お前今、4人目の皇帝と呼ばれてるんだよ」

「………………」

 

 数多くの傘下に加え、庇護を求める非加盟国に手を貸す代わりに軍を鍛えさせるアカツキ海賊団。下手に手を出せば、世界政府といえど戦争クラスの事態に発展しかねないカガリに海軍も迂闊に手を出せなくなっている。

 

 まだ新聞では、程度だが世界政府公式になるのも時間の問題だろう。

 

「そんなおれ達が組めば、カイドウや白ひげだって敵じゃねえ! 結婚はこの際後回しで構わねえ。同盟を組もうじゃねえか!!」

「断る」

「…………なんだって?」

「お前の夢は嫌いじゃないが………やはりおれとお前は、決定的な部分で違うんだよ」

 

 略奪を当然とし、支配を日常とし、命を取ることに躊躇いがない。逆らう奴は皆殺し。なんとも海賊らしく、そしてそれになんの疑問も抱いていない海賊はむしろ珍しい。

 

 力で従わせることに悪意を抱かない。指名手配された幼子の頃から培われた価値観は、彼女にとって常識なのだ。

 

 というかなんであの年で海賊をやってた?

 誰に唆された。それしか生きる道がなかったならともかく、利用するためだったならぶっ殺そう。

 

「お前一人で、この先の海を生きていけるとでも?」

「一人じゃねえさ」

「今この場で、一人になるかい?」

 

 ボウッ、とカガリの体から炎が上がり、ビッグ・マムが立ち上がる。

 両者の部下達がピリピリと殺気を放つ。

 

「……………まぁ良いさ。ここでお前と潰し合っても、カイドウの馬鹿か白ひげの野郎に背中を襲われるだけだ」

 

 言外に、戦えばただでは済まないと認めた。なら街燃やすなよ、とは思う。

 

「海は荒れるよ。そう遠くないうちにな………その時までに力をつけるか、おれと組むか選んどきな」

「力を付ける。んで、お前から力を貸してくださいと頼んでこいよ」

「負けたのに偉そうだね」

「おれはまだ能力使ってなかったからな」

「それはおれもだよ」

 

 ぶつかり合う2つの覇王色の覇気。

 大気が軋み、木々がザワザワと揺れ、強者は冷や汗を垂らし覇王の前に立つ資格無き者達の意識を奪う。

 

「ママママ。覇気の圧だけはいっちょ前かい。良いさ、おれはお前の強さは認めてんだぜ? お互い、ぶつかり合って他の奴等を喜ばせないようにな」

「それは、暫く襲撃してこないってことか?」

「それとこれとは話が別だ。今後もおれのかわいい娘を送るから、まあ仲良くしてやれ」

 

 なんとなく女が多いとは思っていたが、見合いのつもりだったのか。

 

 

 

 

「ママ、良かったのか?」

「あん?」

「ママの誘いを断るんだ、いつもなら…………」

 

 家族、はもう居ないが………部下や友人の首をプレゼントしてやるのに。

 

「ママママ。そんな事すりゃおれの子供達の首がいくつか飛ぶ。あれは、お前等には手に余る」

 

 と、楽しそうに笑うビッグ・マム。元より年不相応な強さのカガリだが、ビッグ・マムからすれば昔の自分を思い出して懐かしい気分だ。

 

「今おれ達がやるべきは、備えだ。まだまだワンピースに群がる流されただけの海賊だけだが、いずれその中から力をつける奴等も現れる。カイドウ、白ひげ、そして彼奴もそんな奴等を取り込んで力をつけるだろうよ」

 

 ロジャーの死から時間が経ち、白ひげも病で弱っている。時代は荒れる。最後に立つのは、たった一人の新たな海賊王………。

 

 

 

 

「船に戻る。遅れた分を取り戻すぞ!」

「大船長! ラチェット様とマジとホンキが気絶してます!」

「叩き起こせ」

「フィナちゃんが海に蹴り落として目覚めさせました」

「さすがウチの船医、優秀だな」

「医者の姿か、あれが………」

 

 おきろ〜! と気絶した人間を海に漬ける非道な行いをする医者の姿に船員達が引いていた。

 

「げほ、ごほ! おや、ビッグ・マムは? ふふ、私達の発明品に恐れをなしましたか」

「お前の最近の発明ってジェルマとかいう傭兵集団から奪った兵器のパクリだろ」

「参考にしていると言ってください! 私はより良いものに仕上げているんですからね!」

 

 カガリの言葉にまったく、と怒るラチェット。カガリはさっさと行くぞと操舵室に放り込む。

 

 

 

 

 北の海(ノースブルー)。ミニオン島………。

 オペオペの実を偶然手に入れた元海軍の海賊バレルズだったがオペオペの実は盗まれた。

 

 盗んだのはコードネーム・コラソン。ドンキホーテ・ドフラミンゴの実の弟。彼は海軍のスパイであった。

 

 珀鉛病という不治の感染症……ということにされた中毒症状の患者、ローという少年を救うため。ただし、ドジを2つ踏んだ。

 1つはバレルズからオペオペの実を盗み出した後足を滑らせ彼の部下に見つかり撃たれたこと。

 

 そして、ドフラミンゴの部下、先代コラソンことヴェルゴの任務を知らず、海軍に潜入していた彼に見つかったこと。

 

 もとより裏切りを疑っていたドフラミンゴは確信に至り、コラソンに銃を撃った。

 探すべきはオペオペの実を食ったロー。命を代償に他者を不老にする実の真価を使わせるために教育しなくてはならない。

 

 海軍が保護したという少年。それがローだろう。すぐに船を沈めてローを奪還するつもりだった。だが………。

 

「アカツキ海賊団! それに、おつるの軍艦か…………クソ!!」

 

 そこに現れた海軍本部の戦力に、北の海(ノースブルー)最強の大海賊団。糸を燃やす、ドフラミンゴの天敵。

 最近悪魔の実を集めているらしい。

 

「クソ! 奴もオペオペの実を狙ってきたか! ひくぞ、お前等!」

 

 

 

 

「…………死にかけてるな。治せるか?」

「ん〜、まあね。ウヒヒ、新薬の実験体〜!」

「治せつってんだろ」

 

 アカツキ海賊団船医ルルカリア・フィナ。新しい薬を作ると直ぐに効果を確かめるため自分に毒を打ち込み、未知のウイルスを保有するダニや蚊を見つければ捕まえて自分の部屋に一緒に籠もり感染するイカれっぷり。

 

 体温は常に39℃以上あり、テンションがおかしい。後彼女に噛みついた獣が毒に犯され死にかけたのを見たことがある。本人曰く体の中に毒がないと落ち着かないので常日頃から毒を飲んだり、血液から直接飲んでるらしい。

 だが腕は確かだ。テキパキともう死ぬだけの男を死にかけにしていく。

 

「そいつの服剥いどけ。死体は………これで良いか」

 

 背の近い海賊の死体を見つける。死にかけ男の服を着せ、上半身を焼く。顔は特に高熱に………沸騰した血管や髄膜が頭をボンと破裂させた。

 

 

 

 

 

「…………う」

 

 M.C(マリンコード)01746。ロシナンテ中佐………またの名を、ドンキホーテ海賊団最高幹部コラソン。

 

「………おれは、生きてるのか?」

 

 そんな彼が、目を覚ました。知らない部屋……恐らく、病室。

 記憶を探る………確か、ドフラミンゴに撃たれて………容赦しなかったな。裏切ったのは確かだが、兄弟なのに。対して自分は、悪人と知りながら躊躇ってしまい撃たれた。

 だけどローを逃がすために、意識を失わぬよう耐えて……ロー?

 

「ロー!!」

 

 あの子は、どうなった!? 無事逃げられたのか!?

 すぐに確かめなければと起き上がりベッドから降りようとして、足を滑らせる。

 

「………あ」

 

 ゴッと嫌な音を立て頭を床に打ち付ける。

 

「ゴブぅ!?」

 

 

 

 

「打撲ですね。腫れてるんで、お薬出しておきますよ〜」

「思っきりドクロマークなんだが…………」

「叔父が言ってました、それは信念のマーク」

「患者で毒を試すな」

「ちぇ」

 

 大船長命令に渋々従うフィナ。死ぬ程ではないのに………。と不服そうだ。

 

「で、記憶喪失だったか?」

「脳震盪による記憶障害ですね〜。あの状況ですから、強いストレスも合わさってるかも?」

「そうか………お前、自分の名前はわかるか?」

「…………コラ」

「コラ………?」

「そう、呼ばれていた気がする…」

「………よく叱られていたんですかね〜?」

「お前じゃあるまいし。まああだ名だろ」

 

 自分を救ってくれたらしい海賊の船長と、その部下の船医。海賊というが、悪人には見えない。

 

「まあ良い。飯にする、ついてこい」

「ああ…」

 

 部屋を出て、階段ですっ転び洗濯物を運ぶ籠にハマり台車付きの籠は加速し壁にぶつかる。

 

「……大丈夫か?」

「あ、ああ………たぶん、体が本調子じゃないんだろ」

「取り敢えず、お前の着ていた服に似てるやつ」

「お、おお………おれこんなの着てたのか。お、タバコ」

 

 と、火を点ける。コートに引火し周りに散らばる洗濯物にも火がついた。

 

 

 

 

 

「記憶喪失の新入りだ。ドジっ子だから仲良くしてやれ」

「船長! 文字通り焼きいれるのはやりすぎでは!?」

「違う、タバコの火がコートに引火したんだ。ドジっ子だから」

「そんなドジなのにそんな服を!?」

「名前はコーラだ」

「よろしくな!」

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