【悲報】メラメラ食っちゃった 作:敗北者
悪魔の実捜索隊の定期連絡で、カマカマの実を食った男と対峙した部下がいたらしい。
カマイタチ人間とのことだが、斬撃を飛ばす程度悪魔の実を食わずとも出来る。ちなみに
見方によってはハズレ……いや、予備動作無しで放てるなら意外と有用? 何、予備動作あった? そうか。でも鍛えたら或いは?
仲間に誘ってみたが、断られたらしい。なら仕方ない。
「連絡終わった〜?」
と、煙草を吸っている女が話しかけてくる。
「二児の母が海賊の前でそんな格好してんじゃねえよ」
シャツとパンツだけの女に呆れるカガリはそのまま金の入った袋を渡す。
「宿代と飯代。あと、庭のみかん畑の木いくつか買おう」
「毎度〜。いやぁ、海賊相手ならいくらぼっても罪に問われないから楽だね〜」
「普通の海賊相手にやるなよ? 殺されるぞ」
「平気平気〜、私強いもん」
「…………ハッ」
新世界を知らない最弱の海の海兵崩れの言葉に思わず笑うカガリ。おいこら笑うな、と女はソファーに寝転ぶ首を絞めこめかみに拳をグリグリ押し付けてくるが少しも痛くない。
「……………」
カガリは気にせず新聞を読む。
魚人の英雄フィッシャー・タイガーの死亡。人間に献血を拒まれたとのことだが………。結局、最期まで許せなかったか。
「一旦帰るか………」
絶対タイガーの事を知ってる奴等や、そいつ等から話を聞いていた奴等がおんおん泣いていることだろう。
送り火の宴をまた開くか。タイガーも、あの船の騒がしさを気に入っていたようだし。
「知り合いなの?」
「人に体を乗せるな」
「だって楽だし」
ゴロリとカガリの上に上半身を乗せる女は勝手に新聞を読む。邪魔なのでどけた。
「昔、少しの間船に乗せたことがあったんだよ」
「それは………そっか………いいの? 私、海兵だけど?」
「元だろ。それに、新世界入りすら出来やしねえ程度の」
彼女は別に、タイガーの死になんの関係もない。恨む理由などありはしないのだ。
「やっぱあんたの手配書って、何かの間違いでしょ? 私が上に相談してみようか?」
「やめとけ。たしかにおれは故郷を滅ぼしてなんかねえが、滅ぼした奴を政府が公開できるわけもねえし、その後海兵を何人も殺してるのは事実だ」
後天竜人もこっそり殺してる。牛骨の件で引き篭もりの天竜人が増えたそうだが、一部天竜人は変わらず地上に降りるらしく、その情報を掴めばすぐに赴く。
燃える牛の頭蓋骨を港にこっそり置いておくと天竜人は逃げるかビクビクしながらホテルで大人しく過ごすかのどちらかだ。
今では非加盟国の港では牛の頭蓋骨を松明に添えておく魔除けが流行っているとか……。
「余計なことは考えず、運良く手に入れた金で娘達に良い思いをさせてやりな」
カガリはそう言って女を降ろすと身を屈めながら家から出る。
島に戻ると案の定、泣き声が各所から響く。タイガーの魂が天に帰れるように宴をする。
カガリはトットムジカを歌って踊った。
「しかし、難儀なもんだな。恨みを残すなとでも言っただろうに、これはまた禍根を生む…………」
証言したのはこの捕まったアーロンとかいうノコギリザメの魚人なのだろうが、タイガーの思いより己の私怨を優先したようだ。それが悪いとは言わないが、関係ない人間、まだ何もされていない世代に毒となるだろう。
タイガーの遺志は無視されるようだ。今の魚人海賊団を率いるジンベエとか言うのも、アーロンに並び人間嫌いと有名だし………。
「………いっそ海底火山の噴火に見せかけて全滅させるか?」
そうすれば魚人と人との溝が広がる速度は落ちるだろう。まあ、このジンベエがタイガーの死にどの様な変化をするかはまだわからないから様子見だ。
この数年でカガリの傘下に入りたがる海賊団、国も増え、それらの管理や獅子身中の虫を増やさないための監視に忙しい。
因みに処理ではなく監視なのは……ぶっちゃけ一部残しておくと訓練された海兵がそのまま仲間になる事があるのだ。
そして、
何でも貴族の父親に見つかり海賊を使われ連れ戻されたらしい。しかしその後出航したらしい。その際天竜人が来たのだとか。情報収集不足だ………。
たまになにかの力が働いているかのように、後手に回ることがある。
サボは誰かを迎える式典とやらで手薄になった屋敷から抜け出した。
サボは貴族の子として生まれたが、両親の愛を感じたことはない。自分の家を継ぎ、より大きくする道具として見られている………。それを感じて、サボは家出しエースと出会った。
別に海賊に憧れていた訳ではない。だが、この広い海に出て自由になりたかった。
一つ年上の兄貴分と、そのエースの兄貴分。
エースと新しく出来た弟分のルフィと一緒に何時か海に出て、カガリが本来の拠点にしているという新世界にまで辿り着くのを想像して楽しかった。
だが、父親に見つかり連れ戻された。カガリの特訓もあり半分以上はぶちのめせたが子供の体力では数には勝てず、エースとルフィを殺させないために屋敷に戻った。
だと言うのに、この国の貴族達はゴミ山を燃やそうとした。ルフィやエースもそこに住んでいると思っていたのにだ。
国を挙げての計画。国の貴族達全員が知っていたのに……そこに住む人達が燃えようとまるで気にせず当たり前のように過ごしていた。
この国は腐臭がする。人の腐った臭いだ。
ゴミ山よりももっと嫌な匂い。貴族達は己の腐臭に気付きもしない。息がつまり、自由になれない。
貴族に生まれて恥ずかしいと、一人の男性に思わず叫んでしまった。
そして今日、漁船を奪い海賊旗を掲げ海に出た。
「何よりも、一番怖いのは……おれがこの国に飲まれて人間を変えられることだ。おれは戻らねえ!」
と、前方に巨大な船が見えた。政府の船だ。あれに今回式典を開いてまで迎える要人が乗っているのだろう。
「何時かおれもあんな船の船長になりてえな」
波に飲まれないように離れるサボ。それを見る、船の主………。
「あれはなにかえ?」
「………ただの漁船のように見えますが」
自分の船の前を横切る不敬で不快な船にバズーカーを向ける船の主、天竜人。だが、目を見開き止まる。
「しかしこの魔除け、本当に効果あるのか?」
牛の頭蓋骨を燃やすって、よくわからないなぁとサボは呟く。炎に包まれた牛骨を見て、天竜人はほんの数年前の、あの事件を思い出す。
燃え盛る聖地を駆け回る、牛の頭をした炎の化身!
「ひ、ひぃぃぃ!?」
「ジャルマック聖!?」
涙と鼻水を流し唾を撒き散らしながら叫ぶ天竜人は船の中に戻っていく。布団に包まりガタガタと震え、港に着くまで出てくることはなかった。
子供一人で航海など出来るはずもなく、嵐に巻き込まれ海に投げ飛ばされたサボを拾ってくれたのはあの時話を聞いてくれた男、ドラゴンだった。
後嵐の中失くしたと思ったカガリからもらった宝箱も見つけてくれた。どうせだからと、箱を開ける。
「……………悪魔の実?」
因みに、カガリの情報収集が遅れた理由はちゃんとある。アカツキ連盟がそれを気にする余裕がなかったのだ。
「ウォロロロロロロロ!!」
「このクソミミズが!」
新世界のとある島。一年に一度の連盟会談のために新世界に戻ってきたカガリ達を襲撃したのは、巨大な龍。
「ウィ〜、ヒック! 漸く会えたなぁ、炎魔! ぶっ殺してやるぜ、ウォロロロロロ!」
殺戮上戸。
酒に酔い、殺戮に酔う龍を前にカガリは舌打ちしながら全身から炎を放つ。
酒を飲み過ぎ突撃上戸になったカイドウと、所在地が不明だったカガリの邂逅。それを知った海軍本部は今更介入も出来ず、今日もセンゴクの胃に大きなダメージが与えられた。
そしてその日、アカツキ連盟の縄張りに存在する無人島の一つが消え新たな火山島が3つ生まれ一つはすぐ消し飛んだ。