【悲報】メラメラ食っちゃった 作:敗北者
船の上で、キングはカイドウが飛び出したことを知る。
実はアカツキ連盟の縄張りで目撃された黒い不死鳥とは彼のことだ。
リュウリュウの実古代種モデル【プテラノドン】を食べたキングは肌の露出が一切ない黒い服を着ており、獣形態は黒いプテラノドンになる。さらに、種族特性として背中から火が出ている。
その目撃証言が歪み燃える黒い鳥………黒い不死鳥として噂が広がったのだ。
彼の目的は既に絶滅したかと思っていた同族の血を引くカガリに会うこと。ここ最近内政に力を入れているのか縄張りの外で目撃情報が消えたカガリを探していたのだ。
そしてカイドウが近々アカツキ連盟が会談を行うという情報を掴んだ。そこにならカガリも現れるだろうと情報を集め、漸く掴んだのだが、その報告を受けカイドウが向かっていると聞き、船に向かえば酒に酔ったカイドウが飛び出したらしい。
その後嵐が起きたり火山が噴火したり……巨大な嵐の真下からはカイドウとカイドウに匹敵する覇気を感じたり。
近付くのは危険と距離を取りながら様子を確認していれば炎のドームが生まれ、かと思えば光の柱が嵐を吹き飛ばした。
海から天に向かう巨大な水蒸気の柱。海が大きく荒れ近付けば大抵の生物は蒸し焼きにされるであろう蒸気の中から現れたのは、龍の姿のカイドウだ。
船に向かい降りてくる。人型に戻り、船員に何かを投げ飛ばす。それは人であった。
「重傷者二人だ、直ぐに船医を連れてこい」
「へ、へい! あの、もう一人は?」
「ああ?」
「い、いえ! その、もう一人の重傷者は………」
カイドウが連れてきたのは一人だけ。では、重傷だというもう一人は?
「おれだ」
「へ? カ、カイドウ様も冗談を言うんですね?」
「ウォロロロロ! 冗談じゃねえよ、事実死にかけた! どうだキング、今なら、お前ぐらい強けりゃ下剋上を狙えるぞ」
「冗談はよしてくださいよ、あんたが本当に重傷だとしても、おれ達の中にあんたの首を狙うやつなんていない」
「そうかよ…………」
カイドウはドカリと腰を落とし、横になる。
「飯と酒持って来い。食わなきゃ回復もできやしねえ」
「…………本当に重傷なんですか?」
「ああ、死ぬかと思ったな実際。ウォロロロロ!!」
生まれながらの頑強さと
「で、誰ですか彼奴?」
「お前が会いたがっていた炎魔だ」
「……………はい?」
「雨で体が冷えてるな…………ん、この手は義手?」
船医はテキパキとカガリを治療しようと動く。まずは脈を測ろうと籠手を外せば、手首がなかった。
取り敢えず体を温めようと医務室備え付けの暖炉に火を付ける。と…………
「………………」
ノソリとカガリが立ち上がる。そして、暖炉に腕を突っ込んだ。
「お、おい何やってんだあんた!?」
船医は慌てるが、暖炉の炎がカガリに吸い込まれて行くのを見て目を見開く。
「ふぅ、少しは回復した」
「あ、あんたいったい…………」
「おれは炎だ」
通常より遥かに早く燃え尽きた薪。炎そのものであるカガリは炎を取り込むことが出来るのだ。ただしカイドウの“
カガリは義手をはめ直し部屋から出る。
「おう、起きたか!」
「…………カイドウ」
「おいおいおい! 何処の誰だが知らねえが、さんをつけろよ! 眼の前に居るのはあの四皇カイドウさんだぞ!」
「………………」
口の利き方がなってねえなぁ、と剣をカガリに向けながら絡んでくる三下の首を掴む。
魂とは炎。体温とは魂が肉体に宿るが故。その認識を基に男から体温を吸い取る。
「あ、あがが………」
近くの下っ端に投げ飛ばされた男の体は、とても冷たくガタガタ震えていた。
「ウォロロロロ。随分元気そうじゃねえか」
「元気なものかよ。他人から奪っただけだ………つってもこの程度じゃなあ…………まあ、敗者と勝者だ。おれは従える範囲なら従うさ」
「ああ!? 負けたんなら全部差し出せや!」
「黙ってろ。おれはカイドウと話している………何より、おれは生きている」
ガラの悪い、海賊らしいと言えば海賊らしい男が絡んできた。さっきのを見てなかったのか、見ていても自分なら大丈夫と思っているのか………。
そんな男に、カガリは笑う。
「生かされたから、なんてそのまま生きたい奴の戯言だ。カイドウ、あんたがおれの守っているものを奪おうってんなら、まずはおれを殺してからだ」
放たれる覇気。カイドウの部下達はキングを残して気絶していく。
「ウォロロロロ! そしたらお前、あの自爆を何に対するためらいもなく使うだろ? それは困るな、特に、せっかく手に入れた国でやられたら困る」
「……………………」
カガリが自爆前に使った火のドームは被害を抑えるためのもの。それがなければ、発生した炎の中央は島同様プラズマ化し、炎から離れていても蒸発、さらに離れても融解、もっと離れても発火し広範囲の生命が死滅しただろう。
その影響で起きる天変地異はさらなる被害を生み出す。
「お前を殺す正しい方法は熱が溜まる前にぶち殺すことだが、それをできる奴なんざまずいねえ! てめぇを殺すために失うものが大きすぎる」
「まあ巻き添えに死ぬための技だからな自爆って」
巻き込んでしまう者達には悪いと思うが………。
本来はいずれマリージョアに襲撃した際に勝てなかったり神狩火のための熱をためられなかった場合使おうと思っていた技だ。
「まあここはお前の縄張りだが、少なくともおれの部下は死ぬな」
「解ってんならいいさ。で、要求は? 金なら今すぐとなると、集められて1300億ベリーだろうが…………」
カガリは自国以外の縄張りとなっている国ではお菓子を要求するのみのビッグ・マム、一つの国を支配し君臨しているカイドウ、海を放浪し縄張りからみかじめ料を取らない白ひげと違いきっちりみかじめ料を貰っているので目茶苦茶金持ちだ。
四皇の中で最も資金があるのは何処かと問われれば、間違いなくアカツキ連盟だろう。経済、文化、食料、資材……諸々自給自足が可能なアカツキ連盟は、まさに小さな世界政府と言っても過言ではない。
「金はいらねえ、そもそも用事があってきたんだ」
「?」
「こいつはキングだ。お前に会ってみたかったんだと」
「おれに?」
と、黒尽くめの男を見る。デカい。この前測ったら465cmとまだまだ成長していたカガリよりも………。カイドウやテリアよりは小さいが。因みに今のテリアは908cm。
「………?」
見覚えがない。そもそも顔が見えない。なんで黒い翼つけてんの? 背中も燃えてるし…………。
「っ…………その炎、まさか火守りの生き残り!?」
となると、この身長は………
「爺ちゃん…………?」
「違う」
キングという男は周りにカイドウとカガリ以外は気絶したのを見て、マスクを取る。褐色肌に、整った顔の男……。カガリとは刻み方が違うが同じく月桂樹の入墨……………。
「褐色の肌に、黒い翼………まさか、神か?」
「ああ、そう言われていた時代もあるらしいな………お前も、おれの同族の血を引いているんだろ?」
「ああ、ご先祖様の女戦士が恋人になった神を攫ったのが始まりだからな」
攫ったと言っても島と神の国の中間辺りの島で親と自分どちらを選ぶか決めさせた、実質駆け落ちだが。
「………攫ったのか」
「結婚に反対する両親をボコボコにして」
「…………ボコボコに」