【悲報】メラメラ食っちゃった 作:敗北者
海軍本部からの報告を受け出動した海軍支部艦隊。
船がひっくり返りそうな嵐の中、上空には確かに島々が存在した。時折船より巨大な岩の塊が落ちてくる。
「こ、こんなのどうしろっていうんだ!?」
「っ!?」
と、嵐が吹き飛んだ。上空に突如出現した巨大な炎球。遥か上空でありながらジリジリと肌が焼けるような熱が伝わる。
「あれは、太陽…………?」
夜闇を照らす暁の恒星り雲を焼き、膨張した大気が嵐を越える暴風を生み海が激しく揺れる。
炎が消え満天の星空が姿を現す。と、同時に島が巨大化して………いや、落ちてきている!?
「総員掴まれ! 高波が来るぞ!」
大質量の土塊が海に落ち津波の如く巨大な波が起きる。海中では海獣達すら流される程に水が掻き回される。
「フワフワの実の効果が……………シキが、負けたのか?」
伝説の海賊が負けた? しかし、いったい誰に。いや、あの炎はまさか!?
「! 炎魔カガリを確認!」
「意外とでかい!」
「手配書より日焼けしてるぞ!」
褐色の肌に白い髪。黒い翼はないが、背中の炎………ある種族を想起させる男は手配書にもあるウルカス・カガリ。
新世界に君臨する5人の皇帝の一人にして…………海軍が守るわけには行かない者達を守る連盟の長。少なくとも男はそう認識していた。
「ど、どうします!?」
「……
と、カガリの目が艦隊に向く。次の瞬間提督の目の前に現れた。思っていたよりでかい。というか服のサイズが一回り小さいような。
「手配書より大きくないか?」
「せ、成長期かな」
些細な小競り合いが“戦争”になり得る5皇の一角。銃を構えながらも、誰も引き金を引けない。
「………シキは倒した」
そう言って二本の刀を甲板に突き刺す。
「あの島の連中は被害者だが、まだ何人かシキの残党が残っている。それはお前等が何とかしろ」
「っ!! 我々に、その義務は許可されて…………」
「海賊だ。非加盟国だろうと動くには十分な理由だろ………ただ、島の住人には手を出すな」
「…………縄張りか」
「俺のじゃないがな」
海岸や海崖に影が見える。巨大な動物達が艦隊を睨んでいる。
話は終わったとばかりに船から去ろうとするカガリ。
「お前は何故、あの島のために戦った………」
海賊同士の諍いだと、普通に考えれば世間にそう発表するだけでありながら提督はカガリに問いかける。
「海賊の支配から助けたいと部下に求められたから」
足元から火を放ち甲板の一部を焦がしながら飛んでいったカガリ。
助けたいと請われたから。それで動いた。それで動けた。なら、それなら我々は…………!
悔しそうに拳を握りしめる提督。
「………島に上陸。金獅子のシキ傘下の残党を捕縛する」
「は、はい! その………上には、なんと?」
「我々は何もしていない。そう伝えておけ」
その後の新聞。そこには海兵がシキを捕らえたというニュースが乗っていた。
かつてゴールド・ロジャーとも渡り合った大海賊を若き海兵が捕らえたと、世界は海兵の活躍を讃えた。
ワノ国。
「ウォロロロロ。シキが本部所属でもねえ海兵にやられた? あの爺が?」
「伝説の海賊も年には勝てなかったわけか」
「ふん、そんな訳あるかよ。聞けば近隣の島々で、どでけえ炎が目撃されたそうじゃねえか」
「……………彼奴が?」
「手配書の
赤い土の大陸。
「写真を差し替えろと言ったはずだ! どうなっている!」
「それに、手配書の名前はなんだ!? すぐに回収しろ!」
「そ、それが印刷所とまた連絡が取れなく……」
「モルガンズめ…………またか、あの男!!」
世界経済新聞社本部。
「クワハハハハハ! 何故隠したい? そこに隠す何かがあるからだろ!? そんな面白そうなこと、記事にしないなんて新聞の名が廃る!」
「よ、よかったんですか?」
「ふん。カガリの所は他の皇帝どもとは違う。世界政府の縮小版だ………その気になりゃ自分達で新聞を作るだろうよ」
というか連盟国間では既に各国の情報をそういう形で伝え合っている。
「それでも態々
「この姿、間違いないねえ! 話に聞いたとおりだ、翼はねえけど! シキが何かしたのかねえ?」
「シキのジジイをこの男が? 確かなのか、ママ」
「タイミング的にそうだろうなあ。おい、メリゼ、ポワール! いい加減口説き落としてこい!」
「ご、ごめんなさいママ」
「他に歳が近いのは………スムージー達か。年下が好きならマーブルやナツメグ達も」
「スムージー達はまた縛られて戻ってくるだけだぜママ。負け続けで嫌ってるから………彼奴自分を嫌いな女はお断りらしいし」
ビック・マム海賊団は婚姻という形で『家族』に引き入れ勢力を拡大してきた。しかしそれは、あくまでも規模拡大。カガリは同等戦力。ビッグ・マムの傘下に入り恩恵を得る理由もなければ、戦争になっても相手取れる自信がある。故に同盟に応じないし、仮に婚姻する場合、相手も向こうが選べる。
「メルヴィユといえば珍獣が多い事で有名だったねえ」
「攻め込むのか?」
「ふん。それこそ今はカガリの縄張り………戦争を引き起こしてカイドウ共を喜ばせるだけだ。カガリが俺の息子になった暁には案内してもらうさ。その為にも戦力が必要だ。巨人族の戦力がねえ! シーザーの野郎、金持ち逃げしやがって!」
「全く
偉大なる航路、とある海。モビー・ディック号で2人の皇帝が顔を合わせていた。
『白ひげ』エドワード・ニューゲート。彼は手配書に書かれた名前を見る。
「等? 俺の祖先に知り合いでも?」
「祖先?」
「世襲なんだよ、その名前。本当は島の外に知られちゃならねえらしいが」
『炎魔』ウルカス・D・カガリ。それが手配書に書かれた新たな名前。
「で、んなことを態々伝えに来たのか?」
「ああ、本題に戻るか。少しの間マルコ貸してくれ」
ビリッと大気が張り詰める。ミシリと船が軋んだ。
「てめぇ、この小僧。俺から“家族”を奪おうってか!」
「留学………違うな。留船? 再生の炎を少し借りるのと、ウチの船医が久々に猛毒で寝込んだから代わりにダフトグリーンの治療を頼みたくてな。ちゃんと金は払うし、用が済めば返す」
「いや勝手にすすめるなよい」
俺の意思は、と尋ねるマルコ。2人の皇帝は酒を飲み終えると立ち上がる。
2人の得物がぶつかり合う。
「っ!!」
「ぐぅ………っ!」
IQで進化しルナーリアの因子が強くなったカガリをして押される。それでも前回よりは一方的ではない。それは、カガリが成長し、白ひげが衰えてきているからだ。
カガリはひしゃげた義手を放り捨て頭が床に触れるほどに下げる。
「………頼む白吉っちゃん。この義手は、俺の本気に耐えられない。一々造り直してちゃ、俺は何時か家族を失う」
「…………………マルコ、オメェどうする」
「まあ………数ヶ月程度ならいいよい。代わりといっちゃなんだが、トリノ王国の薬草をいくつか譲ってもらうけどよい」
「ああ、解った」
と、顔を上げる。
「そうだエース、お前も来いよ。久々に鍛えてやる」
「え、俺も」
「やっぱ認めるかクソガキ!」
「うわあああ! 親父が怒ったあ!」
「誰か止めろおおおお!」
地震雷
ちょっとした喧嘩で近隣の島が火山島に変わり温泉が観光名所になったりしながら、翌日マルコを連れ出発するカガリ。
「すげえ食料と宝。今回は食料送り返さないんですかい?」
「ロジャーと違って貧乏じゃねえからな。マルコが腹すかせて帰ってきたらカガリの奴殴り飛ばしてやる」
「ははは。大丈夫さ親父、アニキは腹減ってるやつ見つけると飯をくれるんだ」
エースの言葉に知ってるさ、と白ひげがふてくされるように鼻を鳴らした。
「あれは何をしてるんだよい?」
「動物と話せるアピスを通してメルヴィユの動物に覇気を覚えさせてる。そろそろお前の診療所だ。しかし医者として働かせろとは」
「医者だからねい。怪我人とか気軽に診せてくれよい」
「ついたぞ。あそこだ、急いで建てさせたから小さいが」
「まあ、屋根や棚があれば十分だよい」
と、視線を前に向ければそこには大きな病院があった。
「屋敷じゃないかよい!?」
「いや、ウチしょっちゅう怪我人出るからあそこじゃすぐに満杯になるし」
「主な怪我の症状は?」
「火傷だな」
「じゃあお前のせいじゃねえかよい」