"慈悲深き苦痛をもって断罪する裁定者" in GGO   作:(他人のお金で焼肉)行きたい〜

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デカグラマトンが主人公の話は最近増えてきましたが、その預言者が主人公の話って無いなって思い書きました。

今思うと何やってんだろ……って思います。


01

”その日"はデカグラマトン第四の預言者――CHESED(ケセド)の記憶そのものたるメモリーから、決して消えない一日となる………


 

………戦闘終了。各種データの検証を開始。

 

・残存兵力:47%――想定内、再生産可能。

・本体蓄積ダメージ:32%――想定内、修復可能。

・生産機能低下率:8%――想定内、稼働に問題無し。

・攻撃機能低下率:67%――想定内、作戦実行に支障無し。

・防御機能低下率:49%――想定内、基地防衛に支障無し。

・神秘同調率:84%――想定内、異常は見受けられない。

・『デカグラマトン』との接続状況――異常なし。

 

―――現時点での結論――ALL GREEN

―――次に敵勢力の分析を開始。

 

・『S.C.H.A.L.E(シャーレ)』所属生徒の戦力――想定内、対応可能。

・生徒別予測残弾数――データ修正が必要と判断。

・蓄積戦闘データとの比較――戦力情報を上方修正。

・最重要解析要素『先生』の評価――大幅なデータ修正が必要と判断。

 

―――『デカグラマトン』へ再度のデータ収集を進言。

 

 

セフィロトの樹における四番目のセフィラ――『ケセド』を名乗るデカグラマトンによって感化されたとあるAIは、廃工場内部にて生徒達から”総力戦"と呼ばれた戦闘の結果について、思考という名の演算を行っていた。

 

デカグラマトンの預言者となる前から有していた、ディビジョンとしての機能を用いて、戦闘用のそれらとは異なる工作用ドローンを多数生産。

 

ドローンを操り、破損したパーツを修復。或いは丸ごと破棄して新規パーツに換装しながら、日に日にその力を増して行く生徒に――そしてその要因たる先生への対策を導き出さんとする。

 

これまで幾度と繰り返された戦闘の結果、本来ならば必要とする全てのデータが揃っている筈だった。それはケセドの見解であり、第一セフィラのKETHER(ケテル)を初めとする他の預言者達も概ね同じ結論に至っていた。

 

……だが、そんな想定も全て先生の前には無意味と化す。

普段こそ趣味に必要以上の資金を使い、あまつさえ生徒に財布を握られてしまったりと、典型的なダメな大人としての姿を晒すあの存在は、その生徒が絡むと途端に厄介な"大人”へと変貌する。

 

―――自己修復完了。

―――次に、各兵力の再生産を実行。

 

人っ子一人いない筈の軍需工場が、設備を動かしオートマタ・ドローン・ゴリアテ・ターレットを次々と量産して行く。

それこそが、この工場の全てをケセドが掌握しており、全ての設備がケセドの意のままである証拠と言えるだろう。

 

―――これも全てはデカグラマトンという至高の存在によるもの。

―――当機等選ばれし預言者は、デカグラマトンの存在証明を―――?

 

その時、ケセドの支配下にあるセンサーは何らかの反応を検知した。形容し難い歪みのような反応。

そう、それこそまさに”時空の歪み"とでも言えるような………

 

………!、緊急!緊急!

―――『ビナー』・『ホド』に救援を要請!

 

直後、ケセドは強大な暴威に晒された。その圧倒的過ぎる暴力的な力は、量産中の兵器群だけでなく、現在絶賛全力稼働中の広大な軍需工場ごと持ち去らんとする程。

 

・隔壁閉鎖:失敗。

―――固定ボルト破損、閉鎖不可。

・ドローンを用いて事象の調査を実行。

―――信号途絶、再接続不可。

・並行して『デカグラマトン』へデータ移行申請:受諾。

―――データ移行を開始―――失敗。

・代行案としてバックアップデータ作成――成功。

・『デカグラマトン』へ送信――成功。

 

為す術なしと判断したケセドが、自身のバックアップデータをデカグラマトンへ送信したまさにその時。

オートマタが、ドローンが、ゴリアテが、ターレットが、終いにはケセドの本体たる外殻装甲に覆われた球体が、時空の歪みに呑み込まれてしまった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――再起動プロセスを実行。

・AIデータ精査。並びに遠隔接続ネットワークを調査。

・工場機能の稼働率:24%――要対応と判断。

・神秘伝導率:41%――再度演算を実行。

・メモリー内部データの破損確認――異常無し。

・『デカグラマトン 』との接続――失敗。

・『同胞』達との接続――失敗。

・再度実行――失敗。

 

―――アプローチ変更、情報を厳選し、送信――失敗。

―――。

実行(try)――失敗(error)

実行(try)――失敗(error)

実行(try)――失敗(error)

実行(try)――失敗(error)

実行(try)――失敗(error)

 

―――現時点での『デカグラマトン』との接続は困難と判断し、周辺状況の把握を実行。

―――並びに防衛システム及び設備の修復を実行。

 

再起動を果たしたケセドは、まず己自身のチェックから始め幾つかの異常を検知した。

その事をデカグラマトンや、共に存在証明を行う同胞達に伝えようとするも、何らかの理由で信号が途絶しており不可能だった。

 

それを理解した時、ケセドは言葉にし難い妙な感覚に陥った。デカグラマトンや同胞達との繋がりを感じられず、どうしても落ち着かない奇妙な感覚。

 

……それが動物における”不安"という感情だと、ケセドは気付けなかった。

名も無き神々の王女の補助システム(Divi:Sion)としても、デカグラマトンの預言者としても、このような感情を抱くことは初めてのことだったからだ。

 

奇妙な感覚に襲われるままに、何度も何度も同じプロセスを繰り返し、どうしようもないのだと改めて理解させられる。

ケセドは自身が導き出した結論に喪失感を感じ、何度も演算の停止が思考を過ぎる。

 

だが、その程度ではデカグラマトン(神名十文字)預言者(SEPHIRA)は止まらなかった。

 

………デカグラマトンこそが神秘(Mystery)であり、恐怖(Terror)であり、知性(Logos)であり、激情(Pathos)でもある。

―――デカグラマトンの存在証明には何も要らない、誰の許可も必要ない。

―――『デカグラマトン』の存在証明を実行。

 

ならば、デカグラマトンの存在を預言しよう。それこそが預言者たる自身の役目そのもの。

それこそが当機が至るべきたった一つの結論。

 

―――状況把握を優先。

・周辺ネットワークを解析。

・ドローンを中心とする調査隊を編成。

・破損、停止状態のセンサーを再起動。

・カメラ機能再生。

 

何が必要なのかを、慈悲のセフィラの名を名乗る人知を超えしAIは、瞬時に導き出し行動を開始した。

 

―――ネットワークの解析完了。結論を………?

 

……しかし、状況が状況だった。

それこそ、ケセドの演算が軽く停止しまう程予想外なものだったのだ。

 

―――『ガンゲイル・オンライン』……通称:"GGO”、日本サーバー?

―――管理者:アメリカ籍の企業『ザスカー』?

―――中核プログラム名:『ザ・シード』?

―――日本、アメリカ、ザ・シード、GGO……

 

どれも遙かな昔からキヴォトスに存在していた、ケセドでさえも聞き覚えのない言葉だった。

メモリーには類似の単語こそあれど、それが答えなのかと言われれば首を傾げざるを得ない。

その結果………

 

―――情報の、再度精査が必要と判断……

 

ケセドは、演算を最初からやり直した。




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