"慈悲深き苦痛をもって断罪する裁定者" in GGO 作:(他人のお金で焼肉)行きたい〜
―――最終結論。
―――
―――そして、VRMMOとはゲームの種別の一つである。
およそ半月の調査の結果、ケセドはそう締めくくった。
何らかの力によって、キヴォトスから転移するような形でこの
ケセドはドローンを介して周辺地域――マップを解析、更に幾つものサーバーを介して中枢ネットワークをハッキングすることで、ザスカーが管理していた様々な情報を抜き取った。
そして、その手にした情報を基に下した結論が、この世界はゲームであるというものだ。
・外殻装甲及び生産兵器に異常無し。
・内部システム、プログラム精査:GREEN。
―――戦闘行動に支障は無いと判断。
この世界がゲームだと分かった時、ケセドはまず初めに自身の躯体を入念に調べ上げた。
なぜならここはゲームの中。言わば0と1で構成されるデータの大海である。
そこに確かな
―――不明点多数、再度の調査を実行。
・ドローン部隊、オートマタ部隊を展開。
・GGO日本サーバー、アメリカサーバー、ザスカーメインサーバーにハッキング。
・『ザ・シード』を介し、他VRワールド及び管理企業サーバーに接続。
・各企業サーバーを下に外部調査を実行。
デカグラマトンによって感化され、預言者となったケセドからすれば、VRMMOを構成するデータ群や各企業のサーバーをハッキングすることなど、赤子の手を捻るくらい簡単な話だ。
ケセドの手にかかれば、例えどんな強固なファイアウォールでさえも紙屑同然と化す。
これが"キヴォトス”、それもミレニアムともなれば話は変わったのだろうが、生憎この世界の発展度はキヴォトスよりも低い。
即ち、この時代においては人智を超えたAIとなっているケセドを止められる存在など居ないのだ。
―――!、β隊に接近する反応を検知。
―――警戒レベル上昇、戦闘用意。
そして”ラース"という、ベンチャー企業の皮を被ったとある存在達の秘密を丸裸にしかけた時……ケセドが放ったオートマタ達の一小隊に何者かが接近した。
ケセドは遠隔でオートマタ達を操り、相手がいつ襲いかかって来てもいいように、警戒レベルを引き上げた。
―――音声信号解析、盗聴開始。
―――予測進路入力。
だが通常時ならばともかく、現状ではこちらから仕掛ける訳にはいかない。
何故この世界に引き摺り込まれたのか、そしてそれを成したのは何者なのか、そして何故己だったのか、全てが不明な現状においては、不用意な接触は本来避けるべきなのである。
―――解析完了、音声データ出力。
「かーったくよぉ、なんであれ泥っちまうんだよ」
「単純にお前の運が無かったんだろうよ」
「知るか、
「誰だって一度は通る道だろ、今更だよ今更」
「良かった〜俺のは無事で〜んちゅっ」
「「「「うわキモ……」」」」
「酷くね!?」
―――会話音声並びにマスクデータ解析。
―――日本サーバー保存データと照合。
それは五人組のプレイヤー達だった。リアルの友人五人でスコードロンを組み、エンジョイ勢としてGGOを楽しむごく一般的なプレイヤー達。
―――個人別仮戦力データ作成、当機の
―――ステルス起動、隠密行動開始。
サーバーから情報をぶっこ抜くという丸っきりアウトな手段を使い、接近中のプレイヤー達が脅威では無いと見抜いたケセド。
しかし、幾ら敵では無いとはいえ、上記の理由がある以上接触を避けるのが得策と考え、オートマタ達のステルス機能を発動させた。
……しかし悲しきかな、この世界はゲームなのだ。
「ん?おっと、もしかしたら当たりかもよ?」
「マジか!?やったじゃん!」
「ちょっとは期待してたけど、マジか」
「うっひょー!丸儲けだぜぇ!」
「これでレアドロとか出たら当分は食い繋げるな……」
―――!
それもステータスという概念が存在しているゲームである以上、当然ながら幾つものステータス構成の中には、隠密を見抜くことに特化した構成も存在する。
―――結論の再定義を試行。
―――対象の距離、武器構成から戦闘は避けられないと判断。
・モード変更:調査モードから戦闘モードへ。
・神秘同調率上昇:70%
・ターゲットロック。
オートマタ達が構える銃器の照準器から、蛍光オレンジの光が伸びる。
如何にも目立ちそうな光が壁に向かって伸びているというのに、プレイヤー達は気付かない。
それは何故か?答えは簡単、ハッキングの一言で全てが片付く。
何度も言うが、この世界からすればデカグラマトンの預言者達は人智を超えたAIなのである。
それ即ち、このような仮想空間であれば、ポインターの光など幾らでも誤魔化せるということを意味する。
―――フルオート射撃、開始。
「やっぱボスとかもい――」
「対物ライフルとかどこで手にh――」
「そろそろ真面目に――」
オートマタ達が持つライフルから放たれた凶弾は、即座に前を歩いていた三人のプレイヤーをポリゴンの欠片へと変じさせた。
そのまま流れるように全滅を狙うが、残り二人のプレイヤーは驚愕しながらも横に転がる事で回避した。
「ッ!なんだコイツら!?」
「わからん!!いきなり出てきやがった!」
―――三名排除、残り二名。
―――攻撃を続行。
「カズ、豚カルビ、ストライダー…!クソがぁ!」
「てかコイツらかってぇ!?全然削れねぇぞ!」
「あァ?……てかお前
「機関部にクリーンヒットだよ畜生!」
「嘘だろ……!?」
仲間をやられたことに激昂する一人と、遮蔽物の影から
これまでのプレイによって鍛え上げられた正確な射撃は、ケセドの兵士達に着弾、そのボディを打ち砕かんとするも、プレイヤー達に視覚化されたHPバーには殆ど変化が無い。
「畜生……どうする!?」
「どうするっつったって逃げるしかねぇよ!人数でも負けてんだぞ!」
「っ、畜生!畜生ッ!」
―――対象を中心に包囲網を形成:中断。
―――戦闘モード続行、警戒レベル低下。
数的不利を理由に撤退を決断したプレイヤー、しかし状況は依然として不味いまま。
ある一部分を除き、全てが包囲されているという現状は、そのまま撤退の成功率が低いということを示している。
「どうする……一か八かあそこに突っ込むか?」
「馬鹿、あんなあからさまに開けられた穴とか明らかに罠だろ!」
「じゃあどうすんだよ!?」
「…癪だが、デスって帰るしか無いかもな……」
「クッソ、恨むぞ運営ぇぇ……!」
あくまで今回は様子見だけの予定だった為、瞬間的に脱出できるようなアイテムは持ち合わせておらず、彼らが所持していたのは起動までに時間がかかる設置型のみ。
もはやこれ迄か……と二人のプレイヤーが諦観に支配されのも無理はなかった。
……最も、ケセドからすれば何故逃げないのか疑問でしかないのだが、それをプレイヤー達が知る術はない。
「どっちみちやられるけどよぉ、どうせなら……」
「あぁ」
ケセドがオートマタ達のカメラを通じてプレイヤー達を観察していると、二人は覚悟を決めたように顔を付き合わせ、互いに頷いた。
そして―――
「オラァァァァ!!せめて情報代くらいは貰ってやんよォォ!!」
「これでも喰らえクソ野郎共!」
互いに背中を庇い合いながら、手に持っていたそれぞれの得物の引き金を引いた。
ケセドからすれば、この状況で戦闘続行を選んだ判断も理解不能だったが、それよりも理解が追いつかなかったのは―――
―――!?、β-2中坡:ダメージ蓄積率58%。
二人の内一人が放った銃撃が、己の操る駒に明確なダメージを与えたことだった。
―――結論:…………理解不能…
―――β-2の稼働状況を確、認?
混乱しながらもオートマタ達を動かし、的確な射撃で反撃のチャンスを潰しにかかったその時、ケセドは二人のプレイヤーの内片方が握る
―――対象の銃口から高出力のエネルギー光束を確認。
―――情報を元に考察、対象のカテゴリー:光学兵器と分類。
全裸の人物よりも、銃を持ってない人の方が目立つとも言われたキヴォトスにおいて、宇宙戦艦用の主砲を作ってしまう
かつてのシャーレとの戦いの中で、同種の武装によって同胞が少なくない傷を刻まれた兵器。
そんな兵器を、このプレイヤーは所持している。
―――対象の危険レベルを最大まで上昇。
―――迅速な対応が必要と判断。
「っ、なんだ!?」
「コイツら、急に動きが……」
そして、蹂躙が始まった。
………尚、ケセドがこのGGOに実装されている光学銃に関するデータ群を既に入手していたことに気付いたのは、この後すぐのことだった。