カードキャプターさくら&リリカルなのはA's〜Love in their hearts〜 作:1202155@
投稿ができなくて申し訳ありません。
ちょっと、いろいろとありまして。
これからは徐々に戻していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
慌ただしいアースラ艦内は警告音や通信士の話し声で少し騒がしくなっている。クロノは空座の館長席に座り、戦況を観察しながら、時折各セクションの状況を横目で確認する。本来であれば、自分が現地に向かい確認するのだが、相手の力が未知数であり、並みの魔導師では太刀打ちできないとなると、無闇矢鱈にアースラの戦力を手薄にすることは出来ない。もしかしたら、こちらを狙われてしまうからだ。更に言えばクロノは休暇中のリンディに代わり、艦長代行を務めている身。おいそれと、空座にするわけにはいかない。
「結界破壊班は直ちに負傷者の搬送を!なのはとフェイトが来たんだ。余計な手出しは無用。いつまで?別命あるまでだ!」
「なのはちゃん、フェイトちゃんが騎士と戦闘を開始!」
「想也さんが、民間人を連れて帰投。すぐさま、救護室に運ぶそうです!」
「わかった!想也にはそのままでいいと伝えておいてくれ」
次々上がる報告にクロノは無表情でため息をつきながらも、モニターに映る戦地の二人に小さな声でこう言った。
「頼むぞ……二人とも」
シグナムとフェイトが大爆発を起こしてぶつかり合ったその直後。
ヴィータと闘うため、距離を取るなのはは、呆気に横目でその様子を見ていた。
「!!フェイトちゃん!」
《マスター!》
「余所見してんじゃねぇーっ!」
いきなり起きた大爆発に驚くなのは。そこへ、ヴィータが怒号と共に突っ込み、グラーフ・アイゼンを振り下ろした。なのははそれを右手を広げて、シールドを展開し、受け止めた。しかし、運動エネルギーを利用し、勢いに乗った一撃になのはは押し込まれてしまう。ようやく、ビルの屋上に着地したなのはは、魔力ブーツのピンを全力で振り抜いた一撃を受け止められ、ヴィータは苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべる。
「かっ……硬ェッ!」
ギリギリと火花が散る。なのははそれを苦もなく受け止めながら、レイジングハートを叩きつけるようにヴィータに向かって振るう。
「ーッ!スマッシャーッ!」
桜色の光がヴィータを勢いよく吹き飛ばすが、その不意打ちにもヴィータはしっかりと受け身を取り、防いでいた。
ヴィータは鉄球をつかみ取ると、それを空中へ展開。12発の鉄球を左右に振るったグラーフアイゼンで打ちつけ、6発ずつ、なのはめがけて打ちつける。なのははそれを見て、呼吸を整えると、レイジングハートを両手で構える。彼女の目にはレイジングハートから投影された、ターゲットマーカーが映し出されており、捉えた12個の鉄球をマルチロックオンする。そして、トリガーコードを唱えた。
「アクセルシュート!」
放たれた12発の弾丸で別々に動く鉄球をそれぞれ迎撃させる。
その間にヴィータは巨大な鉄球を作り出しており、それを勢いよくなのはめがけて撃ち放つ。
突然の攻撃になのはは驚いてしまうが、すかさず、ブーツのフライヤーフィンを展開。軽やかに空中に飛び上がると、後方へ飛翔しながら、レイジングハートをモードチェンジ。バスターカノンモードに切り替える。
「いくよ、レイジングハート!想也くん直伝!」
《ええ!派手に行きましょう!》
左手をロッドに、右手をトリガーグリップに手を掛ける。直後にカートリッジを2発ロードし、ショートバスターを放つ。それは巨大な鉄球の側面を掠める。外したと思われたが、なのはは笑みを浮かべており、さらにカートリッジを2発ロード。バスターを放出したまま、体を捻る。すると、砲撃がしなるように、移動し、鉄球を薙ぎ払うように横一線に砲撃が放たれる。この薙ぎ払う砲撃の名はーー
「ハルバード!バスター!」
なのはから逃れるべく、ヴィータはコメート・フリーゲンを放ち、それを囮として、結界からの離脱を図ろうとしていた。そのため、本来はギガント・フォルムにして放つこの攻撃を、ハンマー・フォルムで打ち込んだ。
「いまのうちに!」
《こっちはもう、撒けそうだ!結界から離脱する!》
《ええ。わかったわ!バレないように気をつけて!シグナム!》
《こちらは暫くかかりそうだ!》
《俺がそっちに向かおう》
三人にに連絡を取り、各々に離脱の準備を終えたヴィータは、思念通話でそれぞれに連絡を取ると、結界の外殻めがけて飛ぶ。しかし、その脚は彼女の後ろから聞こえてきた轟音によって、止まる。恐る恐る後ろを振り向くと、そこには真っ二つに砕けた鉄球が落下していた。その割れた衝撃で出来た向こう側では、桜色の魔方陣が、その存在を示すかのように、煌めいて見えた。
「まじかよ!?……でも、この距離なら、いくら何でも撃てないだろ!」
そう高を括るヴィータ。しかし、彼女の選択は間違っていた。
鉄球を砕いたなのはは、硝煙の向こうにいるヴィータにその砲口を向ける。その目に迷いはない。
右足踏み出すと、魔方陣が足場となって展開。
余剰魔力から形成された魔力翼がシリンダー先から展開される。それは、魔力を放出する際の勢いを相殺するための、スタビライザー。そして、環状魔方陣が砲身の周りを周り、魔力の砲身を形作る。それは、魔力をより遠くへ放出するための準備。
レイジングハートはなのはの為に、照準の補助・補正を行い、精密狙撃の下地を整え、カートリッジのロードを行う。
なのはは、準備が整うと、トリガーコードを叫んだ。
「ディバイーン………」
環状魔力陣が回転。砲身にチャージされた魔力が桜色に煌めいた。そして、トリガーを引くと同時に勢いよく、魔力が解き放たれた。
「バスタァアアアアアアアアアアーッ!」
《extension!》
極大の魔力砲撃が凄まじい速度で撃ちだされた。それは、結界の外郭付近にいるヴィータめがけて、一気に迫る。
「まじかよっ!」
この距離から撃たれると思っていなかったヴィータは、舌打ちしながら、右手を翳し、防御魔法で防ごうとした。だが、それが間違いだった。なのはの砲撃は貫通力に特化している。こと、ディバインバスターに関しては、なのはの持つ技の中でも、その傾向が最も強い。しかも、以前のものよりも、カートリッジシステムを搭載したことにより、強化されたこの一撃は、ヴィータの魔力をシールドの上から、削り……いや、抉り取ってゆく。
「このやろぉおおおおおおおおおお!」
怒りに顔を染め、防御の出力を上げる。しかし、それは意味をなさなかった。何故なら、次第にシールドに罅が入っていたからだ。
「なー
次の瞬間、ヴィータは桜色の光の中に飲み込まれた。