多々走らねば、生き残れない!!   作:芦毛スキー

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望まれない子。
報われない子。

…ちょっくら、お試し話。
といってもサクサクなお話でしょうが。



生きても死んでも

まぁ報われる報われない以前にも何もかんもに愛想尽かされた人生だった。

生まれて死ぬまで、外界に足を踏み出したこともなくば、起き上がったことすらなく。

ただ吸って吐いてでこの世の酸素を無駄に浪費して。

初めの方は「必ず元気になるから」とか言ってた大人たちも、時が経つにつれて見向きもしなくなった。

 

『いつになったら』

 

目線だけしか動かせなくなった頃にはそんな言葉、もう日常茶飯事で。

排泄の世話もろくにされない、されても舌打ちが常。

いつの間にやら出来た弟妹(きょうだい)とやらも、『こうならなくてよかった』と哀れみの目を向けるばかり。

 

(草)

 

そして遂には…自身の命の綱だった機械のコンセントを引っこ抜かれた。

そりゃあその機械なくば生きていけない身の上ですから?

お察しの通り、俺は…。

 

『…あぁ、やっと清々した』

 

────暗転。

……んで。

 

『あぁ…生まれた』

 

次に目を覚ました俺にかけられたのはそんな落胆の言葉だった。

…後に小耳に挟んだところによると、俺は『望まれない子』であったようで。

しかし、母親がいい所の出であったからワンチャン…みたいな。

でもなぁ、

 

(俺、父親似らしいっすね草)

 

母親からとんと毛嫌いされてます〜!!

 

(まぁこうなる前も)

 

弟妹からも毛虫並みに嫌われてる俺!

 

(でしたからなぁ(自虐))

 

好かれる道理はなく。

そして時間は刻々と過ぎていき。

母親に嫌われて、人様には迷惑かけてで…。

 

『アイツら…ッ!この、俺を舐め腐りやがって…ッ!!』

 

俺、買われました。

いや、この御方にとっちゃあ買ったというより()()()()()なんだろうけど。

いやあ、アレはすごかった。

まさに手八丁口八丁ってヤツ?

俺に関しての有りもしない美点を述べて、まんまと買わせやがった。

…それはそれとして。

 

(この人、シロウトなんだろなぁ)

 

俺を世話してた人様が『〜万ぐらいになれば御の字』って言ってたのを軽々吹っかけられ。

 

(かわいそ)

 

そうして、俺には名前がつきました〜。

 

───"Money Pit(金食い虫)"ってね!

 

 

"マネーピット"という馬の話をしよう。

父は日本競馬を席巻し尽くしたかの馬で、母は由緒正しき…とされるが、()()()というだけで確証はなく。

いや、本来なら確証があるはずなのだが、いかんせん…流れてくる噂もあるもので。

いわく、この馬の父は日本競馬を席巻し尽くしたかの馬…を父に持つ一介の馬で。

それがマネーピットの母である由緒正しき牝馬に幸か不幸か、という。

そんな話だ。





俺こと【金食い虫】:
マネーピットくん。
転生者→馬だし、長年の病院生活+αでSAN値がアレ。
またの名を笑わないともうやってられない馬。
どちらにせよ『金食い虫』なのは人時代からか。
たぶん馬に転生ってなっても『歩ける!』とか『息がラク!』とかしか思ってないと思う(こなみかん)。
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