何だかんだ引きずられていくタイプ。
トレセン学園の夏休みは基本合宿で潰れるが、冬休みや春休みはどうかと聞かれると大概の生徒が実家に帰る。
この長期休みは、学園としても生徒たちのメンタルケア等のための大切な期間だ。
そのため、多くの生徒が実家へと帰省するのだが──。
「あ~、めんどくせぇ……」
寮部屋のベッドで寝転がりながら愚痴をこぼす少女-マネーピットにはそんな予定はないらしい。
「あ?…まぁどっかしらに行きながら安いホテルとか公園とかで寝泊まりするつもりだけど?」
その様子に聞いてみれば出るわ出るわ。
年頃の、それも容姿端麗な者が多いウマ娘が行うには危なすぎる行動予定の数々に、同室であるエクスクイジットが「ウチに来なよ!」と提案する。
「え?でも迷惑じゃね?」
「全然!むしろキミが来てくれるなら大歓迎だよ!」
エクスクイジットは、マネーピットをかなり気に入っている。
ので、家族への電話では必ず一度はマネーピットの名前が出るし、また名前を出しすぎて『一度会ってみたいわ〜』なんて言われる始末。
「それに、キミはひとりで抱え込みすぎだよ!もっと周りを頼ってもいいんじゃない?」
エクスクイジットがそう言うと、マネーピットは少し考え込むような仕草をしてから口を開く。
「じゃあ……お世話になろうかな……」
こうしてマネーピットはエクスクイジットの家にお邪魔することになったのだが──。
「え?キミの荷物それだけ?」
エクスクイジットが驚くのも無理はない。
なにせマネーピットの荷物は普通の、その年代の子が使うリュックサック一つで収まっていて。
「私服?…ジャージありゃあいいだろ」
宿題はもう全部終わらせている。
他の入用のものは行ってから買えばいいし、服も昔対価でもらった他生徒の中学時代のジャージがあるからいい、と。
…当の本人は、言うのだが。
「ダメに決まってるでしょ!?」
「うおっ!?」
「時間がないから服は僕の貸すし。オーバーサイズってことでそこまで変にはならないと思う。でも、僕ん家に着いたらまた服買いに行くからね?分かった!?」
「お、おう…?」
そりゃあ、そうか…。
ノートやペンも購買にセット○円ってのしか買ってないし。
時折ちょっと良さげなの持ってると思ったら「対価でもらった」だしね。
「はぁ…」
「ンなため息吐かれても…。美人サンなお前ならいざ知らず、俺こんな鶏ガラだぜ?だから他のヤツが着るような可愛らしいの着たってサムイだけだろ?」
「そんなことないよ。キミは可愛いし、素材が良いんだから」
エクスクイジットの言葉に、マネーピットは目を見開く。
「……お前ってホント物好きだよな」
「そんなことない」
【金食い虫】:
マネーピット(ウマ娘のすがた)。
『守銭奴』ではあるが、金の代わりに現物をもらったりもする。
また元の生活のためか貧乏性みたいなところもあり、普通の人なら捨てるぐらいになったものでも「まだ使える…!」となっていることも。
そして服にも無頓着。
着れたらいいよねが凄いし、多分寒さ暑さにも鈍そう。昔は薄い布の服一枚だったからね。