多々走らねば、生き残れない!!   作:芦毛スキー

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妬み嫉みぐらい普通にある。



(そら)から降ってくる

俺-マネーピットにとって、エクスクイジットは寮の同室であり小煩い学級委員長サマという感想しか持たないが…周りはそうでもないらしい。

 

『エクスさん!』

『ファンです!』

『次のレースも頑張ってください!』

 

エクスクイジットがはじめてG1レースを勝った時それはそれはクラスを挙げてのお祝いパーティーになったものだった。

だがG2・G3では時折負けもあるものの、G1だけは決して取りこぼさず次から次へと連勝していくとなれば。

 

「…ヘーキか?」

「…ありがとう、ピットくん」

 

はじめは、携帯の画面を見て困惑していた姿を見たことだった。

で、それから廊下の曲がり角近くで立ち尽くす姿に近づいてみれば、その曲がり角の向こうで出るわ出るわの…。

 

『最近、あの子調子乗ってるよね〜』

『いくらあれだけG1勝ってるからってさぁ』

『SNSでも「つまらない」って言われてるよねェ』

『もうそろそろ新しいスターとか…』

『ないない!次のレースもどうせ……』

「ピットくん」

「……あ゛?」

「大丈夫だよ、ありがとう。……ほら、行こう?」

 

そう言ってエクスクイジットは笑う。俺はその笑顔に何も答えられなくて、黙って歩き出すしかなかった。

だがその翌日から、エクスクイジットの様子がおかしくなったのだ。

まず朝起きられなくなったようで俺が起こさないとダメになった。

休み時間も机に突っ伏して外界を遮断するようにしているし、クラスメイトとの会話も必要最低限になった。

…というのに、

 

「はい、頑張ります」

 

ファンに対しての対応は恐ろしいまでにいつも通りで、理想的で。

SNSでも常に完璧で、笑顔を振りまき続ける。

そんな姿を見ていると……俺は、なんだか無性にイライラした。

そしてある日の放課後のこと。

 

「……っ」

「ピットくん!?」

 

俺は見てしまったのだ。

エクスクイジットが階段から突き落とされるところを。

幸いにも俺の足の捻挫を犠牲に当の本人に怪我はなく、その現場を目撃した生徒が教師を呼びに行ってくれたことで何とかなった。

だが、問題はそこではない。

 

「っ」

「ピットくん!」

「ヘーキヘーキ」

 

俺は見たのだ、エクスクイジットを受け止めるまでの一瞬。

彼女を突き落とした犯人を。

……それは、エクスクイジットのファンだと言っていた奴のひとりだった。

その日から俺は彼女のファンと名乗る奴らを警戒するようになった。

そいつらは平気で他人を傷つけるようなことを言うくせに、実際傷つけようとした。

そんなヤツらが怖くて、恐ろしくて。

…エクスクイジットが、宙を舞う姿がフラッシュバックするから。

 

「大丈夫…?ピットくん」

「あぁ、荷物持ちありがとな」

「…うん。はやく捻挫、治るといいね」





【金食い虫】:
マネーピット。
嫉妬以前に欲がそうないウマ娘。
でも同室であり、何かと世話を焼いてくれるエクスクイジットのことを少なからず大切に思っている。
ので、そんな彼女が突き落とされたのを見てトラウマ。
まぁ命からがら受け止めたからエクスクイジットに怪我はなかったんですが(なお【金食い虫】本人は足を捻挫の模様)。
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