簡単に、容易に。
他人というイキモノはひどく簡単に変わる───。
そのことにエクスクイジットが気づいたのは偶然でもなく…必然だった。
「…?」
はじめは、コソコソと。
人知れず人知れず、けれど視界の端にその姿があるような、そんな。
嫌なニヤニヤ笑いと目つきに、ざわりと肌が粟立った。
「…」
次に感じたのは、かすかな違和感。
それは、ほんのささいなもので……けれど、そのささいなものが積み重なってゆくにつれ、エクスクイジットの周りは少しずつおかしくなっていった。
「…」
そして最後に、決定的に。
ある日を境にして、他人の──自分を見る目が変わっていったのだ。
いや……正確に言うのならば『他人から見た自分の評価』が変わっていったというべきか。
それまで人並みにクラスの学級委員長として頼られたり、仲良くしていたはずなのに。
ヒソヒソ、クスクス…。
けれど、
「よォ、」
「!」
「なぁに湿気たツラしてやがる」
キミだけは、マネーピットだけ、は…。
*
マネーピットの目からしてみても、詳しいことは分からないながらも世界が段々
「…?」
前までは頼るために話しかけてた癖に。
あとは昼食に誘ったりだとか、一緒に帰ったりだとか。
「……」
けれど、そんな行動が少しずつ減っていき……。
気づけば、エクスクイジットはマネーピット以外との接点を徐々に失っていっていた。
そしてある日、気づく。
「!」
(アイツ……)
(なんであんなところにいやがる?)
そんな疑問もそこそこに、マネーピットはエクスクイジットの元へと駆け寄ろうとし──しかしすぐに足を止めた。
(……あァ?)
(なんだ…?)
その時マネーピットの耳に飛び込んできたのはひどい言葉。
マネーピット自身もこれまで『守銭奴』と、それに関連する揶揄を受けてきたが自分がされるのと…何だかんだ懐に入れた(いつの間にやら入ってきたともいう)相手が言われているのとでは…勝手が違う。
「待って!」
思わず握り拳を握って飛び出そうとすると慌てて止められて。
「なんで」
そう、低く漏らせばゆるく頭を横に振られた。
…まるで諦めたように。
「なんで、」
「ピットくん。……あのね、」
エクスクイジットはどこか諦めたように笑ってみせると、それからゆっくりと口を開いた。
「僕はね、実は……ずっと前から気づいていたの」
(……?)
それはまるで懺悔のようにも聞こえて。
「キミは変わらないでね」
(!)
その言葉に思わず目を見開く。
そんなマネーピットに構わずエクスクイジットは続けた。
「…そして、ずっと僕のそばに」
【金食い虫】:
マネーピット。
懐に入れた奴には甘いし、構われまくったらいちおう懐く。
素直じゃない猫みたいな感じ。
時々憎まれ口を叩くこともあるけどそれは本心じゃないしね。