多々走らねば、生き残れない!!   作:芦毛スキー

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そして、それを嬉しく思っている主人公=サン。



元気なのが取り柄です!

どうやら俺を買った御方-有り体に言えば『馬主さん』-とやらは、相当無理をして、その資格を得たらしく。

そこからなけなしの金を突っ込んだのが俺、と。

故に。

 

『稼げ!』

 

お前(おれ)には、ソレしか価値がない。

せっかくの金を注ぎ込んだのだから。

 

(なるほろ)

 

そして俺はその御方の要望に応えるべく、ただ只管に働き続け……今に至る。

 

『これ以上は───!』

(ん〜っと、この前3着だったから×万円でぇ)

 

頭の中でどうにかこうにか捏ねくり回してどうだったかしら?と考えるのに外野がうるさい。

見れば俺の上に乗ってた奴が俺を買った御方に抗議しているらしいが…。

 

(また変わるな、ありゃ)

 

俺を買った御方にとって、俺は資金繰りの道具なのである。

だからたくさん走るし、疲れるなんて以ての外。

そのため俺は良さげ〜なところで力抜いて良い感じに走り終わっているのだけど。

 

(あの文句言ってる人には、──違うらしい)

 

たくさん走る分、体力配分は抜け目ないはず。

だって本気出してヒイコラして次出れません!ってなるよりも、ソコソコ走って体力OK!で定数的に稼ぐ方が…ねぇ?

頭働かせてナンボよ。

 

 

マネーピットの馬主となった男は…その実、ギャンブルをやらせてはいけない類の人間であった。

 

負けたら負けた分取り返そうとする。

または、ビギナーズラックをビギナーズラックと知りえないまま坩堝に嵌る。

そんな男と最悪なまでに噛み合ってしまったのが───マネーピットという馬であった。

 

男は知りえないことであったが、マネーピットは信じられないほどに体が頑健で。

コンスタント…といえば聞こえはいいが、実際のところは出走に次ぐ出走。

観客からも「あれ?この馬の名前、この前も見たな」とそこかしこでボヤかれるぐらいには、幾度となく出走していた。

まぁ、この男が至極真っ当な人物であったなら、人の言うことを聞き入れて改善…という道もあったろう。

だが。

 

『金、金、金!!』

 

男は、金に目が眩んだ。

そして、マネーピットは()()()()()

それを『才能があった』と言うか、『不幸だった』と言うかは───人によるだろうが。

 

"Money Pit《金食い虫》"と名付けた馬に、スネかじりとは何たる皮肉!

あぁ、この馬ならもしかして、もしやすると…とか。

欲に目が眩んだ人間とは、なんと兎にも角にも恐ろしく。

とはいえ、

 

(次、どこ走るんかな〜?)

 

当の本馬はヘラヘラと。

のほほん、のほほんと…次のことを考えるばかりで。





【金食い虫】:
マネーピット。
今日も今日とて丈夫。
幸運がGなので自分の身の上とかそういうものを何とも思わない。
そして、元気に走り回れる現状を楽しんでいる。
もしかすると…今世の頑強な体は前世の、だったりするかもね?
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