多々走らねば、生き残れない!!   作:芦毛スキー

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【この上なく素晴らしい】を慕うウマ娘はみんな子なり孫なり縁ある子ってことで。



◆慕う子どもたち

友人であるエクスクイジットに引き取られ、そこで暮らし始めてはや数年。

抱き上げられることにもなれれば、見張り付きではあれどシャワーを浴びるぐらいはできるようになったころ、俺たちの家にやってくるウマ娘が何人かいた。

 

「あの子が来たみたいだぞ」

「ああ、またかい?」

 

そしてそんなウマ娘たちの中で、一際異彩を放つ子が一人。

 

「エクスさん! 遊びに来ました!あ、ピットさんもこんにちは!」

「……こんにちは」

 

元気よく挨拶してくる彼女は、…なんて言ったか。

この家にふたりで住み始めて少し経ったころから熱心にやってくるウマ娘であり、エクスクイジットにご執心な子である。

 

「やあ、いらっしゃい」

 

エクスクイジットはいつものように笑顔で迎えてはいるものの、少しばかり疲れているようにも見える。

それもそうだろう。

毎日のように来てはあれやこれやと「今日あったこと聞いて!」攻めにしてくるのだから。

そういうのは親にしろ親に。

 

「ねえねえ! 今日もお話しして!」

「……またかい?」

「うんっ! だってエクスさんと一緒にいるの楽しいんだもん!」

 

屈託のない笑顔を見せる彼女だが、……なんというかその笑顔が逆に怖いと感じるのは俺だけだろうか?

いやまあ確かにエクスクイジットはやさしくて美人で強かったから憧れるのも分かるけれど。

他にエクスクイジットを慕って遊びに来てる子を見ては俺の傍で、じぃと睨んでいる様にはちょっと怖くて涙ちょちょ切れそうになった。

 

「……別にピットさんがいるからいいもん」

「お、おう…」

「ねぇ、ピットさん。お話聞いて」

「ん。聞いてやるからゆっくり話せよ」

「はぁい」

 

 

少女の住む近くに、少女が尊敬するウマ娘-エクスクイジットがやってきたのはある年の春。

『ここに家ができるんだな』とは通学途中に常々思っていたがまさか住む人があのエクスクイジットとは!

だから本格的にエクスクイジットがその家に腰を落ち着けた際に気を見計らって少女はエクスクイジットと知り合いになった。

がしかし。

 

「おかえり、エクス。…その子は?」

 

誤算があったとすれば…マネーピットいうウマ娘の存在だろう。

かつてエクスクイジットの引退レースで勝ったウマ娘。

そのレースを勝てばエクスクイジットはかの【皇帝】を超えていたのだから、その偉業を潰した彼女は当時ひどいバッシングを受けていた。が…人の噂も七十五日。

いつしか彼女の名は人々の記憶から薄れていた。

…とはいえ、こうなっているとは思わなかったが。

 

「あんがと、エクス」

「ん、どういたしまして」

 

車椅子に乗るマネーピットはエクスクイジットの助けがなければ満足に生活できないらしく。

そういえばふたりは同室だと答えているインタビュー記事があったなと思い出しながら、こっちを見てもらおうと話しかけようとするも。

 

「……」

───ゾッ!

 

エクスクイジットがマネーピットを見つめる、その目の昏さに怖気が走った。

だが当の本人であるマネーピットは「いい感じの菓子とかあったっけ?」と呑気にもてなしのことを考えているばかりで…。





【金食い虫】:
マネーピット。
何だかんだ言いながらも子どもの相手は普通にできるし、話もちゃんと聞いてくれる。
【この上なく素晴らしい】を慕う子らが家に集まるようになったので最近は家にお菓子をストックしているらしい。

【この上なく素晴らしい】:
エクスクイジット。
実はそこそこ活躍産駒がいる。ので、慕う子もそこそこいる。
それはそれとして【金食い虫】に向ける感情は…?
幸せになって欲しいことは、確かだけれど。
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