多々走らねば、生き残れない!!   作:芦毛スキー

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貢ぐだけ。



◆欲のないキミのために

ただ、漠然と。

幸せにしたいと、エクスクイジットはそう思ったのだ。

不器用だけれど、その実とてもやさしい───マネーピットというウマ娘を。

 

彼女は自分のなすことに対価を要求するが、それは彼女のそれまでの労力に鑑みると微々たるものでしかなく。

等価交換の"等価"がまず分かっていない。

だから、彼女が幸せになる為にはどうすればいいのか、考えに考えた。

 

「……」

 

エクスクイジットは、マネーピットの"終わり"を知っている。

…いや、察するしかなかったという方が正しい。

夜な夜な「痛い」やら「ごめんなさい」やらとしくしく泣き魘される彼女を、エクスクイジットは知っている。

 

「だから」

 

だから。

 

「僕は、キミに幸せになってほしいんだ」

「……そうかい」

 

マネーピットの返事は素っ気なかった。

しかしエクスクイジットには分かっている。

彼女は素直じゃないのだということを。

 

「ところでピットくん」

「……なんだよ」

 

エクスクイジットはマネーピットのことが大好きである。

車椅子生活になった彼女ためのバリアフリーな家を建てたり、家具を誂えたりするのは当然で。

もちろんエクスクイジットはマネーピットに何不自由ない生活を送らせるつもりだし、彼女の望むことは何だって叶えてあげたいと思っている。が、

 

「こんな…服買わなくていいよ」

「えぇ〜?この服も似合うと思うけどなぁ」

 

欲がない。

マネーピットにはホンッッッットーに!…欲がない。

そもそも娯楽から嗜好品までそう興味を示さない。

食事は栄養さえ摂れれば何でもいいと言うし、服だって動きやすければそれでいいと適当なものばかりだ。

故にエクスクイジットはマネーピットの好みを徹底的にリサーチした。

そしてマネーピットに似合う服を片っ端から買い漁り、着せ替え人形の如く彼女に着させて楽しんでいるのである。

 

「こんなフリッフリなの……俺には似合わないよ」

「そんなことない!ほらほら、このワンピースとかすごく似合ってる!」

「……そ」

 

またエクスクイジットの趣味もいつしかマネーピットに貢ぐこととなり。

 

「これ、似合うと思うよ!」

「……ん」

 

マネーピットがその服含め、贈られた物の値段を知ることは生涯なかったという。

 

「似合ってるよ!かわいい!」

「はいはい」

 

褒めちぎるエクスクイジットを適当にあしらうマネーピットだったが、その表情はまんざらでもない様子である。

 

「ピットくん!」

「……はいはい」

 

 

こんな自分に貢いで何が楽しいのかと思わなくもないが。

 

(まぁ、)

「似合ってるよ〜!」

(コイツが楽しいなら…いっか)





【金食い虫】:
マネーピット。
貢がれて生活している。
いちおうはそこそこ苦言を呈するが最終的には押し切られる毎日。
なんか最近舌も肥え始めた。…気の所為?
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