自他ともに認めるニコイチ。
故障によって車椅子生活を余儀なくされたマネーピットは、それ以外も入院や治療や+αのためにそれまで稼いだ賞金諸々がパァに吹っ飛んでしまった。
しかし、稼ごうにも「僕が養うからいいよ」と家主であるエクスクイジットに止められるので、日がな一日テレビを見たりネットで頼んでもらった本を読んで時間を潰すしかなくなってしまった。
だって恩を返したくとも「キミが幸せに生きてくれるのが一番」と返されるだけだし、料理をしようにも「危ない」からと出禁にされる。
…レシピを見ればちゃんと作れるっていうのに。
「暇なら、僕とデートでもする?」
エクスクイジットはマネーピットの車椅子を押して、近くの公園へとやってきた。
まぁ基本家の中にいる生活なので気分転換になるといえばそうだが…。
「……今もそうだけど、お前ひとりでどっか楽しんでこればいいのに」
「キミと一緒に居たいんだよ。それとも、僕とじゃイヤ?」
「…………別に……」
照れながら小さく呟くマネーピットに、エクスクイジットは嬉しそうに微笑む。
「じゃあ、行こうか」
「あ、おい……」
エクスクイジットはマネーピットの車椅子を押して、公園の中を散歩する。
その途中、広場でフリスビーをしている子供や犬と戯れている人などを見掛けた。
「平和だね……こういう時間も悪くないよ」
「……そうだな」
エクスクイジットはマネーピットの車椅子を押しながら、ふとあるものに目が行った。
「……ねぇ、あのベンチで少し休まない?」
エクスクイジットの視線の先には確かにベンチがあった。
がしかし、
「…キッチンカーのヤツが食べたいんだろ?」
「…えへ。分かっちゃった?」
「分からいでか」
くぅ、と鳴った腹の音に、エクスクイジットは恥ずかしそうに頬を掻く。
「お前なぁ……」
「だって美味しそうなんだもん」
「子どもか!……ったく、しょうがないヤツだな」
マネーピットは車椅子を動かしてベンチまで移動すると、そこに停止。
そして首から下げていた財布(エクスクイジットに持たせるとめちゃくちゃ豪遊してくるので代わりに管理している)(だがその豪遊はすべてマネーピットへの貢物になるとする)から「これぐらいか?」と紙幣を取り出し、エクスクイジットに手渡す。
「ありがとう」
「ちゃんと節制しろよ?」
「分かってるって」
マネーピットから紙幣を受け取ったエクスクイジットは、それを大事そうに持って駆けていく。
ベンチでひと休みしながらキッチンカーの食べ物をいくつか、ふたりで分け合う。
そんな穏やかな時間を過ごしていると、ふとエクスクイジットが呟いた。
「……ねぇ、ピットくん」
「なんだ?」
「キミは僕がひとりで出かけてくればいいんじゃないかって言うけど」
「おう」
「僕はキミがいなくちゃ」
「…?」
「…いや、忘れて」
【金食い虫】:
マネーピット。
何もさせてもらえないが、財布の紐は握っている。
たぶん金が絡んだ暗算がめっちゃ早いタイプ。
損益算とかそういうの。
【この上なく素晴らしい】:
エクスクイジット。
インドア系の仕事をしている。
もしかするとちょこちょこコラムを書いたりとか。
対【金食い虫】相手には財布の紐がユルユルになる。
すっげぇ貢ぐ。はっきりわかんだね。