腐れ縁だけど。
「そういえば」
「ん?」
「お前、俺を引き取ったこと他のやつに何か言ってんのか?」
「親には言ってあるよ」
「それ以外だよ、それ以外」
いつも通りに話をしていると、ふと脳裏によぎった疑問。
人ひとり、それも同室であるとは言え、どっちかと言うと嫌われていた人間を引き取って、何も言われないのだろうか。
「親は、キミに会いたいって言ってるからまた行ってみるかい?」
「……そうか」
どうやら、親にはちゃんと伝わってはいるらしい。
だが…。
「親は良くても…さぁ」
「だって」
「?」
「僕、キミ以外に親しい人いないもの」
「は?」
何言ってんだこいつ?
お前、学級委員長だっただろう?
そして偉大なるG1・7勝ウマ娘サマだろう?
「だから、キミが何か言われることはないよ」
「……そうか」
「うん」
そう言って、目の前のウマ娘は笑う。
その笑顔につられて俺も笑った。
本当は、言いたいことがあれやこれやあったが、『聞いてくれるな』と無言の圧があり、それ以上は聞かないことにした。
*
エクスクイジットの友だちは今も昔も、未来永劫マネーピット、ただひとりである。
元より真面目ではあれど人見知りの気があった彼女を、それとなく助けてくれたのはマネーピットだけで。
他の人はみな押し付けるだけ押し付けて、エクスクイジットのことなど気にも留めなかった。
「手伝う。対価は…一番安い駄菓子でいいよ」
けれど、彼女だけが。
『エクスさんなら大丈夫よね』とクラスメイトも、ましてや先生も言う中、マネーピットだけがエクスクイジットに手を差し伸べてくれた。
「うん」
だから、彼女はその手を摑んだのだ。
自分の手を引いてくれた彼女の手を、離したくないと強く思ったから。
「ありがとう」
*
「お前さ」
「ん?」
「何で俺のこと引き取ったの?」
それは、いつか聞こうと思っていたこと。
いや、今でも聞きたいと思っていることだ。
そんな俺の疑問に対して、目の前の少女…よか、もう妙齢のウマ娘は少し考えた後こう答えた。
「……さぁね? なんでだろう?」
「…そうかい」
美しく成長したが浮いた話のひとつもねぇ。
…いや、そもそも俺みてぇなコブがいて共になりたいってヤツとかいるわけないか。
というか、そもそも。
「僕は、キミだけいればいいんだよ」
そう告げてうっそりと笑う姿に「知ってるよ」と慣れたように返す。
「キミは?」
「……。そうじゃなきゃ、今も此処にはいねぇよ。ど阿呆」
「…ふふ。うん、そっかそっか」
「だから…ちゃんと大事にしてくれよ。俺は、お前に買われたんだからさ」
腐っても、朽ちるまで。
どうか、どうか────共に。
これで…とっぴんぱらりのぷう。