多々走らねば、生き残れない!!   作:芦毛スキー

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会いたかったの。

【追記】
一部修正。


◆覚えている僕、覚えていないキミ

エクスクイジットには、ずっとずっと()()()()()相手がいた。

相手はきっと、覚えていないだろう。

なにせ、あの頃あの子とはじめましての頃のエクスクイジットは、ただ平凡な、負けが珍しくない馬であったし。

負けることの方が、珍しいところにいた相手とは天と地ほどの差だったのだ。

 

(マネー、ピットくん…)

 

一方的に、そう知っていた。

どこにでもいそうな姿のあの子。

中肉中背、平均的という言葉が何よりも当てはまるような、そんな馬。

しかし、その背中は誰よりも大きく見えた。

エクスクイジットにとっての英雄(ヒーロー)が、マネーピットであったのだ。

 

(でも、今は……)

 

まるで自分の上に乗っていた生き物のような姿-ウマ娘になって。

そこそこ胸を高鳴らせながら案内された寮部屋に入ると、

 

「はじめまして。俺ァ、マネーピット。これ以上のことが知りたければ…金払え」

 

どかりとベッドに胡座をかいたキミがいた。

お金のジェスチャーをして、「個人情報はトップシークレット。故に金になる」と、にやりと笑い。

 

「う、うん……」

 

思わず頷いてしまった僕に、キミは満足げに頷き、

 

「おう、いい子だ」

 

そう言ってから、ぐっと伸びをして立ち上がった。

 

「さて、と……。エクス、だっけか?初回料金兼同室割引だ。ジュース一本奢りで教えてやるよ」

「え?…え?」

「なんだ、俺のこと知りたくないのか?」

「し、知りたい!」

「じゃ、さっさと行こうぜ」

 

結果、僕はキミに引っ張られて部屋を出る。

そこでようやく気付いたのだ。

 

(マネーピットくんって……)

 

意外と強引だ!と。

 

 

それからの日々はあっという間だった。

エクスクイジットが寮部屋に帰るたび、必ずと言っていいほどマネーピットがいた。

時間がかかったながらも固定のトレーナーがついたエクスクイジットとは違い、マネーピットはトレーナー間をたらい回しにされているらしく。

また学年一の頭の良さを持つのに、教えを乞われては「金払え」の一辺倒であるため、素行が…と教師には頭を抱えられて。

 

「有名人になりたいとか、そういうんじゃない。俺は金を稼ぐためにココに来たんだ」

 

どれほど叱られようが、そう言って憚らない姿にエクスクイジットは呆れ半分…。

だが、

 

「なに、それ」

「イヤン、エッチ。…金」

 

いつも通りのやり取りに「やだよ!」と返す余裕もない。

何故ならマネーピットの体には…。

 

「ハハハ、スゲーだろ?コレ。フランケンシュタインみたいでさぁ。生まれつきの痣なんだってよ」

 

まるで、部位毎に切り分けているかのような。

その、あまりにも痛々しい傷痕があった。

 

「生まれつきの……痣?」

「そ。だから、俺って実は解体されたりとか?」

「…また、そんなこと言って」

 

エクスクイジットは知っていた。

そんな冗談を口にしながら、マネーピットが夜な夜な「まだ走れる」やら「痛い!」やらと魘されながら叫んでいることを。

そして、その傷痕は……。

 

「あ、エクス」

「え?」

「金払えってのも嘘じゃないぞ?ジュース一本な」

「……うん」

 





【金食い虫】:
マネーピット(ウマのすがた)。
どこにでも居そうな中肉中背の子。
これぞウマ!って感じの髪色をしている。
事ある毎に「金」と言う姿から周りからは守銭奴と思われており、本人もそう自称する。
しかし賭け事やズルはしない(バレた後が面倒臭いから)。
またその体にはまるで肉の部位分けのような痣が走っているとか…?
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