もしもマコト様がヤベー奴だったら   作:8OROCHI丸

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マコト様は元々ヤベー奴だって?
別ベクトルでな!!


砂漠に囲まれし高校

マコトがイロハから、『先生がアビドス高等学校に向かった』と報告を受けたのは、先生が着任してから3日ほどが経過した頃だった。

 

「アビドス高等学校?何かあったのか?」

 

「どうも、アビドスの生徒から救援依頼が届いていたらしく…。調べてみたら、かつて連邦生徒会にも同じ内容を送っていたらしいですが、重い腰を上げることはなかったようですね」

 

「で、新しく着任した先生にダメ元で、といったところか。…聞くだけでは、随分なお人好しと見える」

 

「ええ。それとなく聞いてみましたが、『“私は、全生徒の味方であるべきだからね”』などと言われましたね。…着任早々、どうしてそこまで義務感に駆られるかはわかりませんが」

 

「さてな。連邦生徒会長の差し金か、あるいは義務感に駆られやすい人間に目星を付けたか…。ま、今の我々には関係ないだろう。引き続き、監視を…ん?」

 

執務室の外から、慌ただしい足音が響き渡り、ドアが開かれる。

 

「し、失礼します!!マコト議長に、急ぎの報告が…!!」

 

「騒々しいな。何ぞ緊急の要件か?」

 

「は、はっ!風紀委員会のほぼ全員が、万魔殿に断り無くアビドス高等学校へ外征に向かいました!!」

 

その報告を聞いたマコトは、浮かべていた笑みを消す。

 

「…なんだと?」

 

「わ、私は止めたのですが、『アビドスへ逃走を図った便利屋68を捕らえるため』と言われ、無茶苦茶な理由でもなかったため通してしまい…!!」

 

「戯けが、態々校則違反者を要請もなく風紀委員会全体が追うものか。そもそも追うとしても空崎ヒナが単独で向かうほうが早い。便利屋はあれでも、空崎ヒナの居ない風紀委員会程度簡単にあしらえる。どうせ行政官の天雨アコの独断だろうが……。イロハ!」

 

「既に空崎風紀委員長に繋げています。どうぞ」

 

「仕事が早いな!キキキキッ!!」

 

イロハが繋げた通話機を受け取る。

 

《…マコト?イロハから緊急の要件だって聞いたけど》

 

「ああ。率直に聞くが、風紀委員会にアビドス高等学校へ便利屋68の捕縛命令を出したか?」

 

《他の自治区への移動命令なんて、万魔殿を通さずに出すわけ無いでしょ。第一、ゲヘナ以外の自治区は武装親衛隊が出張るでしょ?》

 

「本来はそのはずなんだがなぁ。どうやら、風紀委員会のほぼ全数がアビドスへと向かったらしい。なにか聞いているか?」

 

《…え?い、いえ、何も聞いていないわ》

 

「だ、ろうなぁ。大方、空崎ヒナ以外で風紀委員会を動かせるなんぞ、行政官天雨アコ以外居ない。恐らく独断であると思われる、急いでアビドスへ向かえ」

 

《確かに独断専行は良くないけれど、なんでアビドスに?》

 

()()()()()

 

そのマコトの言葉に、ヒナがハッと息を飲む音がした。

 

「あの阿呆め、便利屋を捕縛することなど建前に過ぎん。本命は先生の確保だろう、エデン条約締結前にシャーレの強権を獲得し、トリニティに対して優位に動こうという算段だろうが、今行うのはあまりにリスクが多すぎる。最悪の場合、シャーレの独占を理由に各学園を敵に回しかねん」

 

《…わ、かったわ。急いで向かう》

 

「私も出向く。万が一にも先生とアビドスに何かあれば、世論は確実に『ゲヘナ悪し』で動くだろう。それだけは何があっても避けねばならん。アビドスで会おう」

 

《ええ》

 

ヒナの返答を最後に、マコトは通信を切る。

 

「イロハ!車を出せ!急ぎアビドスへ向かうぞ!!」

 

「虎丸でなくてよろしいので?」

 

「戦争をしに行くわけではない。先走った馬鹿どもを止めるのに、武装するなど相手に余計な悪印象を与えかねん。外交問題は御免だ」

 

「了解しました、すぐに準備します」

 

イロハはそう言うと、少し慌ただしく執務室を出ていく。

 

「…政治は我々に任せておけばよかったものを」

 

そう吐き捨て、マコトも執務室を後にした。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

《風紀委員会、攻撃を開始します。対策委員会と便利屋を制圧して、先生を安全に確保してください》

《先生は外部の人なので、怪我をさせないように十分注意を》

 

風紀委員会行政官、『天雨アコ』の命令に従い、風紀委員会がアビドス廃校対策委員会と、便利屋68を取り囲む。

 

《敵、包囲を始めています!突破してください!先生、私たちと便利屋68の指揮を──》

 

対策委員会所属、『奥空アカネ』が、シャーレの先生に指揮をお願いしようとした、その時。

 

ザザッ。

という音とともに、通信が入る。

 

《アコ》

 

《……え?ひ、ひ、ヒナ委員長!?》

 

「委員長?」

 

「あ、あの通話相手が……?委員長ってことは、風紀委員会のトップ……?」

 

アコの言葉に、対策委員会所属の『砂狼(すなおおかみ)シロコ』と、『黒見セリカ』が反応を示す。

 

《い、い、委員長がどうしてこんな時間に……?》

 

ヒナからの通信に、明らかに慌てた様子のアコ。

 

《アコ、今どこ?》

 

そんなアコの心象を知ってか知らずか、ヒナは淡々と質問する。

 

《わ、私ですか?私は……そ、その……えっと……げ、ゲヘナ近郊の市内の辺りです!風紀委員のメンバーとパトロールを……》

 

「思いっきり嘘じゃん!」

 

「やっぱり、行政官の独断行動だったみたいですね……」

 

アコのバレバレな嘘にセリカは怒りを表し、『十六夜(いざよい)ノノミ』も若干呆れたように呟く。

 

《そ、それより委員長はどうしてこんな時間に……出張中だったのでは?》

 

あからさまに会話を逸らそうとするアコ。

 

《緊急の連絡を受けて、さっさと終わらせてさっき帰ってきた》

 

《そ、そうでしたか……!その、私、今すぐ迅速に処理しなくてはならない用事がありまして……後程またご連絡いたします!い、今はちょっと立て込んでいまして……!》

 

アコそう言いながら、さっさと通信を切ろうとする。

だが、ヒナは逃さない。

 

《立て込んでる……?パトロール中に珍しい、何かあったの?》

 

《え?そ、その……それは……》

 

ヒナからの追求に、しどろもどろになるアコ。

どう返そうか迷っていたその時。

 

《「他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用しないといけないようなことが?」》

 

《……え?》

 

その瞬間、空気が凍りついた。

シャーレの先生、アビドス廃校対策委員会、便()()()6()8()を包囲している風紀委員の元に、既に空崎ヒナは到着していたのだ。

 

《……えっ?》

 

「っ!?」

 

「え、あれっ!?」

 

「!?」

 

「い、い、い、委員長!?い、一体いつから!?」

 

「!!」

 

「……えっ。ええええっ!?」

 

その場にいた誰もが驚く。ヒナは、恐ろしい形相を浮かべていた。

 

「……アコ。この状況、きちんと説明してもらう」

 

そんなヒナの冷ややかな声を聞いたアコは、泣きそうになった。




マコト様(ガチ)のバタフライエフェクト。
風紀委員会vs対策委員会&便利屋の戦闘が勃発しなかった!

んまぁ後半99%ゲームストーリーの引用なんですけどね、初見さん。唯一「緊急の連絡を受けて〜」の下りだけ付け足してます。

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