もしもマコト様がヤベー奴だったら   作:8OROCHI丸

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おかしい、筆が乗る。
書ける、もりもり書ける。

このモチベーション、どうして他の小説に割けなかったんですか??(n回目)


万魔殿議長の邂逅

「……」

 

ヒナは無言でアコに圧を掛ける。

 

《そ、その……これは、素行の悪い生徒たちを捕まえようと……》

 

「便利屋68を捕まえるのは別にいい。問題なのは、どうしてシャーレとアビドスと、対峙しているのかを聞きたいのだけど?」

 

《え、えっと……委員長、全て説明しますので…》

 

「……いや、。だいたい把握してるし、()()()()()()()()

 

《…それは、どういう?》

 

 

「聞けぇい!!風紀委員会の者共よ!!我が名は万魔殿議長、羽沼マコトである!!」

 

 

キキィィィッッ!!と音を立てて、一台の軍用車が止まる。

中から出てきたのは、万魔殿議長補佐、棗イロハ。そして、羽沼マコトだった。

 

「空崎ヒナ、ぎりぎり間に合ったか?」

 

「ええ、交戦は免れたようね。マコトからの連絡がなかったら、間に合ってなかったかも」

 

《ぱ、万魔殿議長……!?そんな、情報は漏らさなかったはずなのに……》

 

マコトの登場に、ヒナが現れたとき以上の狼狽を見せるアコ。

 

「キキキキッ!万魔殿の情報を舐めてもらっては困るなぁ、風紀委員会行政官、天雨アコ!今回の独断専行、どう落とし前をつけるつもりだ??」

 

「ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除…。そういう政治的な活動の一環ってところね?」

 

《……》

 

二人から詰められ、アコは何も言葉を発することが出来ない。下手なことを言えば、ヒナはともかくマコトの逆鱗に触れかねない。そうなれば……。

 

「…ねぇアコ。私たちは風紀委員会であって生徒会じゃない。シャーレ、ティーパーティー、それに連邦生徒会長…。もしエデン条約締結のために必要だったとしても、そういうのは万魔殿の管轄のはず。あなたのしたことは立派な越権行為、咎められて然るべき行為であることを忘れないで」

 

《……はい》

 

「…残念だがな、天雨アコ。空崎ヒナの言う通り、貴様の行為は主目的から逸脱している。万魔殿から風紀委員会に命令を下したならまだしも、独断専行で他学園自治区に乗り込むなど言語道断!もしこれでシャーレの先生に何かあったらどうする?アビドスに対する仕打ちが露見したらどうする?貴様が全責任を負えるのか?生徒会ですらない人間一人を切ったところで、ゲヘナの受ける誹りが減るわけでもなし!わかるか?貴様は自分の勝手な行動のせいで、ゲヘナを滅ぼしかけたんだぞ!?問答無用で懲罰室に入れてやろう!!」

 

激昂しているマコトの言動に、アコに諭すように話していたヒナが少しだけ慌てる。

 

「ま、マコト。確かにアコはやりすぎた。だけど、万魔殿の懲罰室は…」

 

「戯けがァッ!!!」

 

マコトの怒号に、その場にいた全員が目を見開く。マコトの纏う神秘が、どんどんと膨らみ、周囲の重圧を否応無しに上げていた。怒りのあまり、目が血走っている。

 

「外交問題を起こしかけておいてお咎め無しなど片腹痛い!二度と越権行為などさせんよう、身体に叩き込むしかあるまい!それが分からぬお前ではないだろう、風紀委員長!!」

 

「それは、そうなのだけれど……」

 

さしものヒナとて、ここまで激昂しているマコトを見るのは初めてであったため、なんと返していいかわからず口籠る。

 

「…あー、マコト先輩?とりあえず、行政官の仕置きは帰ってからにしません?先生やアビドスの方々も唖然としてますし、とっくに便利屋には逃げられてますから。捕縛対象がここに居ないのなら、はやいところ風紀委員会を撤収させたほうがいいと思います」

 

「………イロハ…。……あぁ。そう、だな。一度、落ち着こう」

 

イロハの言葉に、落ち着きを取り戻すマコト。同時に、マコトが放っていたプレッシャーも鳴りを潜めた。あまりの重圧に忘れていた呼吸を、全員が取り戻す。

 

「……っ、はぁっ…!あ、あれが、ゲヘナのトップ……!?風紀委員長よりも、怖い…!!」

 

セリカが、怯えたようにマコトを見る。他の対策委員会や、風紀委員も同じようで、全員少し震えていた。

 

「…マコト。アコの処遇は、私に任せてくれないかしら。もう二度と、こんなことはさせないようにするって約束する」

 

「…………分かった。行政官天雨アコの処遇は、風紀委員長空崎ヒナに一任する。これは万魔殿議長からの命令であると心得よ」

 

「…ありがとう。聞いたわね?アコ。通信を切って、校舎で謹慎していなさい。逃げたら……わかるわね?」

 

《…………はい》

 

アコはそれ以上何も言うことができず、大人しく通信を切った。ヒナは通信が切れたことを確認すると、シャーレの先生と対策委員会に向き直り、深々と頭を下げた。

 

「…ごめんなさい。今回の一連については私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪させてもらう。今後、ゲヘナの風紀委員会がアビドス自治区に対して無断で侵入することは無いし、させないと約束する。…どうか、許して欲しい」

 

そのヒナの謝罪に対して、マコトとイロハ以外の生徒──先生も含めてだが──は驚きを示した。

 

「ま、待って委員長!あの校則違反者たち……便利屋はどうするんだ!?」

 

イオリが開口一番、そんなことを言い出すが…。

 

「イオリ、あなたも懲罰室に入る?」

 

「あ、ぅ……そ、それは……」

 

ヒナに睨まれ、何も言えなくなってしまった。

 

「風紀委員会、総員早急に撤収。遅れたら私と模擬戦よ」

 

そんなヒナの言葉に、風紀委員全員が慌ただしくゲヘナに帰還する準備を始めた。

 

「…ごめん、マコト。あとは、お願いするわ」

 

「ああ。此処から先は、我々(万魔殿)の管轄だ。たっぷりと天雨アコに灸を据えてやれ」

 

 

 

《風紀委員会の全兵力……すごい速さでアビドスの郊外へと消えていきました……。あれほど大規模な兵力を、一糸乱れずに統率できるなんて……、風紀委員長、すごい方ですね》

 

アヤネが、そんなことをポツリとつぶやく。

 

「キキキキッ!空崎ヒナは我がゲヘナのトップ戦力、ゲヘナは強い者が覇権を握るからな。風紀委員会は、事実上空崎ヒナのカリスマ性で維持しているだけに過ぎん。そのカリスマが何よりも統率力を出しているのだがな」

 

マコトは、さっきまでの激昂ぶりが嘘のように笑っている。

 

「…改めようか。初めまして、アビドス廃校対策委員会の面々、そして……シャーレの、先生」

 

“初めまして、だね。”

“イロハから、マコトの話はよく聞いていたよ。”

 

「キキキキッ!うちのイロハは優秀だろう?」

 

“そうだね。いつも世話になってるよ。”

“書類仕事の時は此方が申し訳なくなるくらいに、ぱっぱと終わらせていってしまうからね。”

 

「そういう話を是非ともまだまだ聞きたいが……ん?」

 

砂を踏む、トス、トスという足音が近づく。

 

 

「…なんだか、大変なことになってたみたいだね〜?」

 

先生と対策委員会、そして万魔殿のいる場所に現れたのは、アビドス高等学校唯一の三年生であり、自らをおじさんと自称する『小鳥遊(たかなし)ホシノ』であった。

 

「ホシノ先輩!?大変どころの騒ぎじゃないわよ!あわやゲヘナの風紀委員会と一触即発だったんだから!」

 

《ホシノ先輩は、今までどちらに!?》

 

「うへー。ごめんね〜?少し長くお昼寝しすぎちゃってさー」

 

「ひ、昼寝ですってー!?」

 

「ん。ホシノ先輩は自由人」

 

和気藹々としだした廃校対策委員会を目の前にして、マコトは少し置いてけぼりにされていた。

 

「…あー、話をしていいか?」

 

「あ、ごめんね〜。えっと、……ゲヘナの、生徒会長ちゃん?」

 

「羽沼マコトだ。今回の件は、万魔殿からも正式に謝罪をさせてもらう。大変、申し訳なかった」

 

マコトは、先程ヒナがしたように深々と頭を下げた。

 

「風紀委員会が原因で発生した器物の破損や損害賠償は、万魔殿の方に請求をして欲しい。今回の一件、風紀委員会の独断専行とはいえ、一委員会どうしの範囲を超えた、学園単位での問題に発展しかけてしまった。故に、責任は生徒会長であるこの羽沼マコトにある」

 

「…うへ、なんだかむず痒いや。頭を上げてよ、生徒会長ちゃん」

 

ホシノがマコトに対してそう言う。

 

《先程、風紀委員長が生徒会長からの連絡がなければ…と仰っていましたが、もしや今回の件を把握されていたのですか?》

 

「い、言われてみれば確かに…」

 

「交戦前に来たっていうことは、相当情報を入手するのも早いんじゃないですか〜?」

 

「ん、行動が早い」

 

対策委員会の面々が、口々にマコトに質問を投げかける。

 

「…私の手の者が、風紀委員会の行動を報告してくれていた。それを聞いて急ぎ風紀委員長へ連絡を取り、何が何でも交戦を止めねばならんと早々に向かってもらっただけだ」

 

《な、成る程……。しかし、そのおかげで、私たちも余計な損害を出さずに済みました。その点については感謝申し上げます》

 

「で、でも!柴関ラーメンは!?便利屋のせいで、

壊れちゃったのよ!?」

 

「ん、賠償は万魔殿にって言ってた。柴関ラーメンの店を立て直すのも、きっと協力してくれる」

 

「そうですね〜♧」

 

 

「…はぁ。マコト先輩、とりあえず謝罪は済ませましたし、要件を終わらせて帰りましょう」

 

「そうだな。代表者は小鳥遊ホシノでいいか?」

 

「うへ?おじさん??」

 

マコトはホシノの前に立つと──。

 

 

「万魔殿議長、羽沼マコトの名の下に宣誓する!!我らゲヘナの万魔殿は、アビドス高等学校が危機に瀕した際、必ず力を貸すことを誓おう!!」

 

それは、学園代表者としての宣誓。ゲヘナの生徒会長と、アビドスの代表者が向き合っての宣誓。つまり、学園間での誓約とも取れる。正式な書類がないとはいえ、生徒会長自らが誇りを掛けて宣誓した条件を破れば、権威の失墜は目に見えて明らか。これは、マコトが判断した通すべき意地なのである。

 

「ついでに、風紀委員会も万魔殿の権力を行使して使役してやろう。キキッ!これで罪滅ぼしになるかは分からないが、万魔殿の連絡先を伝えておく。大抵はイロハ…、私の後ろにいる棗イロハが対応をするだろう」

 

「……うへ、いいの?廃校間近の高校に、ゲヘナなんてマンモス校が手を貸すなんてさ」

 

「それが通すべき義理だと、私がそう判断した。故に、何時でも頼るといい!キキキッ!!」

 

“…どうやら、話はまとまったかい?”

 

少し置いてけぼりにされていた先生が、にこやかに話しかける。

 

「ああ、済まないな先生。少し置き去りにしてしまったようだが…、後日、シャーレには改めて謝罪に出向く。今日のところは許して欲しい」

 

“ううん、大丈夫。マコトは、しっかりしてるね”

 

「それが施政者としてあるべき姿だと勝手に考えてるだけなのでな!キキキキッ!ああ、そうだ。もう一つ、詫びとして渡さねばならぬものがあるな。イロハ!」

 

「はい。では、廃校対策委員会の皆さん。万魔殿より、僅かばかりの心付けです。お収めください」

 

イロハは、近くにいたセリカとシロコに一つずつキャッシュケースを渡した。

 

「うっ…!?け、結構重いわね!?何が入ってるの?」

 

「1億ほど入ったケースを2つ分、合わせて2億ほどですね」

 

「「「《“2億!!?”》」」」

 

イロハは何ともないかのように言うが、廃校対策委員会の面々からすれば大金中の大金だった。

 

「う、うへー??そ、そんなに貰っちゃっていいのー?」

 

「迷惑料、だからな。遠慮なく使って頂きたい。足りなければ、もう1億ほどは融通を効かせられるが…」

 

「い、いいよいいよ〜。そんなふうに簡単に手に入れちゃったら、楽な方に逃げちゃいそうだからね」

 

「む、そうか……。では、我々もこれで帰還させてもらう。何かあれば、すぐに万魔殿へ連絡を。必ず、駆けつける」

 

「ん、ゲヘナがバックに付いた。心強い」

 

「そ、そうね!これなら、少しは借金返済の足しに…!」

 

《な、何だか凄いことになってきました……!?》

 

わいのわいのと賑やかになってきた廃校対策委員会を尻目に、マコトは先生の近くへと歩く。

 

“? 私になにかあるのかい?”

 

「…アビドスの砂漠で、カイザーコーポレーションが何やら活発に動いている。念の為、用心してもらいたい」

 

“!?”

 

「詳しいことは私よりイロハに聞いてくれ。イロハ!このまま先生の補佐として残れ!!」

 

「はいはい、わかりました。…運転は、ご自身で?」

 

「キキキッ!当然だ!ではな、廃校対策委員会の面々並びにシャーレの先生!近い内にまた会おう!!」

 

軍用車に乗り込み、颯爽と去っていく。

 

 

 

「……大丈夫ですかね」

 

“? どうしたんだい?イロハ”

 

「マコト先輩、運転だけは下手なんですよね…」

 

 

 

 

 

数分後、砂漠地帯で車の爆発する音が聞こえたとか聞こえないとか。




マコト様(ガチ)のバタフライエフェクト。
風紀委員会の被害零(?)!シャーレ・アビドスの被害零!
あまりにも早くヒナが到着し風紀委員会を撤収させたため、ホシノとヒナの邂逅はなかった!
その都合上先生へと話をするのがヒナじゃなくてマコトになった!
アビドスの資金が少し(ゲヘナ比)増えた!

ぴったり5000文字らしくてちょっと嬉しい。
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