もしもマコト様がヤベー奴だったら   作:8OROCHI丸

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やっぱこういうコンセプトは個人的に書きやすくて実にいい!


そのうち偉大なる指導者(ガチ)チェリノとか書き始めるかもしれん。


全面戦争

アビドスでの事変から数日。

 

万魔殿の執務室は、いつもの様相を呈していた。

 

「全く、空崎ヒナめ。天雨アコにはあれほどきつく折檻しておけと言い含めおいたというのに……。言い渡したのが一月の無償奉仕とは、結局は情が入ってしまっているではないか」

 

「…マコト先輩だって、もしもイブキがマコト先輩のためを思って勝手に行動したとして、各方面から激怒されて容赦ない仕置きをできますか?」

 

「うーむ、無理だな!キキキキッ!!ま、アレはアレで許してやろう。ただでさえ委員長に詰められた挙げ句、風紀委員の視線にアレだけ晒されれば少しは堪えるだろう」

 

「そうならいいんですけどね。はい、コーヒーです」

 

「うむ、頂くとしよう」

 

 

優雅な朝と呼んで差し支えない状況だったが、一人の万魔殿モブが執務室を訪れた。

 

「失礼します!ご報告がございます!」

 

「ん?特に連絡は受けていなかったはずだが」

 

「はっ!先ほど、風紀委員会が勤務する施設前にシャーレの先生がいらっしゃったのですが、銀鏡イオリ委員がどうやら一悶着起こしているらしく…」

 

その言葉を聞いたマコトは、呆れたように溜息をついた。

 

「はぁーっ……。あいつめ、先日の仕打ちを忘れたわけじゃなかろうな…?何故そこまで先生に対して強気に出れるか、まるで理解が追いつかんが…」

 

「…どうします?」

 

「出るしかなかろう、このマコト様自ら灸を据えてやる。イロハ、念の為空崎ヒナに連絡を入れておけ」

 

「了解しました。お気をつけて」

 

イロハを残し、外へと出ていくマコト。

 

「…あなたも大概ですよ、マコト先輩」

 

なんとなく呆れたようなイロハの呟きは、誰に聞かれるでもなく虚空へと消えた。

 

 

 

 

風紀委員長に会いたいとゲヘナを訪れたシャーレの先生。それを留める銀鏡イオリ。

 

「大人としてのプライドとか、人としての迷いとかは無いのか!?」

 

事の発端は、イオリが風紀委員長に会いたいなら土下座して足を舐めろ、とふざけたのがきっかけである。先生は言われた通りに、土下座してイオリの足を舐めた。

 

“そんなものは無い。”

 

「おかしい!ヘンタイ!歪んでる!こんなヘンタイの大人に──」

 

イオリが、先生に銃を構えた、その時。

 

 

「銀鏡イオリ。何をしている?」

 

底冷えしそうなほど冷たい声。イオリが恐る恐る後ろを向けば、武装親衛隊を従えたマコトの姿。

 

「ぁ…、せ、生徒、会長……。こ、これは……」

 

 

「なぁ、銀鏡イオリ。貴様は何故、先生に対して銃を構えている?」

 

マコトの発する圧に、冷や汗が止まらないイオリ。

言えるわけがない。先生に土下座して足を舐めろって言ったら、ほんとにやると思わなかったから、咄嗟に銃を向けたなんて絶対に言えるわけがない。

 

 

「先生に土下座を強要した挙げ句、足を舐めろとほざくとはな。私の眼の前で、よくもそんな行為に出れたものだなぁ?銀鏡イオリ」

 

(あ、私死んだ)

 

イオリは死を覚悟した。

 

「…随分と楽しそうだったわね?イオリ」

 

そこに現れたのは、委員長である空崎ヒナ。それを見たイオリは一抹の希望を覚えたが、よくよく考えれば先生に対する仕打ちを知られたら、どちらにせよ死ぬのでは?としか思えなかった。

 

「い、委員長……?」

 

「……ごめんなさい、イオリ。今回は、庇えない」

 

ヒナは、とても悲しそうな顔をしてイオリに謝った。

 

 

「武装親衛隊、私が先生と話している間、銀鏡イオリを懲罰室に入れろ」

 

(やっぱり私死んだ)

 

イオリは抵抗を諦め、武装親衛隊にずるずると引きずられていった。

 

 

「……さて、我がゲヘナの生徒が済まなかったな、先生」

 

“ううん、大丈夫。気にしてないよ。”

 

「…そう言っていただけると有り難い。ところで、今日は何故ゲヘナに?」

 

”…アビドスのことで、少しね。”

 

先生は、少し翳りを帯びた顔で呟く。

 

「ほう、となると我々の力が必要になったか!ならば風紀委員会のところではなく、万魔殿の方で話したほうが手っ取り早いだろう。空崎ヒナ、今回の一件は風紀委員会にも働いてもらう。天雨アコも連れてこい」

 

「分かったわ」

 

 

 

 

「さて、改めて歓迎するとしよう、先生」

 

”…万魔殿って、凄いんだね”

 

先生は、万魔殿の建物を見て、そう呟いた。

 

「キキキッ!施政者足るもの、散財は御法度であるが、権力を保持していることは誇示せねばならん。ま、有り体に言ってしまえば見栄であるが……。サンクトゥムタワーもそう違うものではあるまい?」

 

”はは、たしかにそうだね。”

 

先生とマコトは談笑をする。

 

”…じゃあ、本題に入らせてもらうけど──”

 

先生は、あの日以降アビドスで起こった出来事を、マコト達に話せる範囲で全て話した。

 

 

 

「…小鳥遊ホシノが、攫われた、か」

 

「…小鳥遊、ホシノ」

 

その名前に、ヒナが反応をする。

 

「知っているのか?空崎ヒナ。あの日、お前と面識はなかったはずだが」

 

「…知っていると言っても、私が一方的に把握しているだけ。情報部に居たときに、各学園の要注意生徒をある程度把握していたから、その伝手で知ってるだけ。だけど……、そんな簡単に攫われるほど弱くないはず…」

 

「まぁ、あの神秘の濃さからして並大抵の方法では拉致などできまい。と、すると……。先生、全てを話しているわけではないな?」

 

“…マコトにはバレちゃうか。”

 

「ここでの会話は盗聴などの危険はない。できれば、大義名分のため包み隠すことはしないでいただきたいが……。何かどう足掻いても話せぬ事であれば、詮索はしないでおくが…」

 

“……ううん。助けてもらうんだから、ちゃんと全部話すよ。”

 

ホシノの退学届、アビドスの借金、またカイザーとの諍い…。敢えて隠していたことすべて、先生は吐露した。

 

 

 

「…成程、な。確かに、アビドス廃校対策委員会が生徒会に正式に認められた機関でないのであれば、言い分はカイザーが正しい……。が、悪いがそんなことは我々には関係ないな?」

 

マコトは立ち上がる。その目に、並々ならぬ闘志を宿して。

 

「我らゲヘナ学園、これより全面的にアビドス高等学校の支援に入る!これは万魔殿議長からの命令である!!」

 

「「「了解!」」」

 

その場に居合わせたヒナ、アコ、イロハが了承の意を示す。

 

「第一機甲中隊指揮権をイロハ、第二から第九までの小隊の指揮権をサツキへ譲渡する。我ら万魔殿の力、カイザーへ思い知らせてやろう」

 

「マコト先輩!イブキは〜?」

 

「おお、イブキか。今回は万魔殿と風紀委員会総出で動かす!イブキも第三小隊のリーダーとして、イロハやサツキの言うことを聞くんだぞ?」

 

「わかったー!」

 

「お任せ下さい。イブキには怪我一つさせません」

 

「ま、機甲中隊の出番がないといいんですけどね…。適当に頑張ります」

 

いつの間にか執務室に来ていたイブキ、そして万魔殿幹部『サツキ』。

 

 

「空崎ヒナ。先日の風紀委員会の失態は、今回の対カイザー戦次第で不問とする。天雨アコ、銀鏡イオリ両名は特に、奮闘を期待するぞ」

 

「分かったわ。聞いたわね?アコ」

 

「は、はいっ!励みます!!」

 

アビドスへの無断侵攻で、マコトには怒鳴られ、ヒナには呆れたように諭されたアコは、なにがなんでも失態を取り戻す気でいた。

 

“…ありがとう、マコト、皆。”

 

「キキキキッ!なぁに、気にするな。困っている生徒がいるならば、救い出すのは施政者の役目…。そうだろう?先生?」

 

“本当は、大人()がやらなきゃいけないんだけどね。”

 

「古今東西、一人で何かを為せる人間などそうは居ない。それを理解しているからこそ、ゲヘナに助力を請いに来たのだろう?」

 

“…ふふ、お見通しなんだね”

 

「…先生」

 

マコトと二人で話をしていた先生に対して、ヒナが話しかける。

 

“ん?どうしたの?ヒナ。”

 

「あのときは、本当にごめんなさい。私も出張が重なってて、気づくのが遅れて…」

 

“大丈夫だよ。マコトのおかげで、アビドスの子たちは戦わなくて済んだ。それだけで、大丈夫。”

 

「…ありがとう」

 

「さて、各々に宣告する!明朝、アビドスへ向けて総員出撃するぞ!!」

 

 

今ここに、カイザーとの全面戦争の火蓋が切られた。




書きやすいコンセプトなんだけど、何せ本当に万魔殿の情報が出てないので本当に9割捏造なんだよね。

足を舐める変態の異名は返上させられなかった…。
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