もしもマコト様がヤベー奴だったら   作:8OROCHI丸

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とうとう登場。
短いよ。


違いを痛感する静観の理解者

マコト達が先生と合流したとき、既にホシノの救出が完了していた。

 

「小鳥遊ホシノ、無事だったか」

 

「あ、ゲヘナの生徒会長ちゃん…。うへ、ちょっと心配かけすぎちゃったね…」

 

「全くだ馬鹿者めが。きちんと仲間と先生に謝っておけよ」

 

“マコト、協力ありがとうね”

 

「キキッ!なぁに、気にすることはない。頼まれたから助けただけに過ぎん。空崎ヒナ、お前たちもご苦労だったな。今回の事で、風紀委員会の禊は済んだと私が認めよう」

 

「…ええ、ありがとう」

 

小鳥遊ホシノの救出が完了した以上、目的は達成された。

故に、先生はこう切り出す。

 

“…さぁ、皆。帰ろう”

 

その言葉に全員頷き、歩き出そうとしたその時──。

 

 

パチ、パチ、パチ。

 

 

「クックック…、素晴らしい。素晴らしいストーリーでした」

 

拍手をしながら現れた異形。全身を黒いスーツで包んだ、謎の人物。

 

“──黒服!”

 

「ええ、黒服です。いやはや、当初と予定が狂ってしまいましたが…。まぁ、この場においてはそんなことは些事でしょう」

 

「…黒服」

 

ホシノが、まるで親の仇かのように睨みつけているのを、マコトは見逃さなかった。

 

「いやはや、随分と嫌われたものですね」

 

「…貴様が、今回の一連の首謀者か?まだなにか用か?」

 

マコトは、神秘を少し放出し、黒服を威圧する。

 

「─────嗚呼。実に、実に惜しい。…我々の時に、貴女が居てくれたなら…、どれほど良かったことでしょう

 

「…?」

 

「いえ、何でもありません。私はもう何もする気はありませんよ。……私は、ね」

 

その含みのある言い方に、全員が怪訝な表情を浮かべる。

──その時、地面が揺れる。

 

“地震!?”

 

「いや、違う…!これは、砂が波打っている……??」

 

 

 

 

「…遠い昔。キヴォトスの端、誰も足を踏み入れない旧都心のとある廃墟で、奇妙な研究が進められていました」

 

揺れる、揺れる、揺れる──。

 

「神を研究し、その存在を証明できれば、その構造を分析し、再現できるだろう。すなわちこれは、新たな神を創り出す方法である……。誰もが嘲笑う滑稽な仮説でしたが、そんな理論に興味を示した者たちがいたのです」

 

砂が舞い上がり、辺り一面砂嵐のように視界が遮られる。

 

「…『ゲマトリア』と呼ばれる者たちがその研究を支援し、莫大な資金と時間が費やされ神の存在を証明するための超人工知能が作られたのです。神という存在に関する情報を収集・分析・研究し、それを証明する人工知能(AI)……。『対・絶対者自律型分析システム』は、そうして稼働し始めたのです」

 

“対・絶対者自律型システム…!?”

 

「……月日は流れ、都市は破壊され、研究所も水の底に沈みました。そのような研究が行われていたという事実すら忘れ去られるほどの時間が過ぎたにも関わらず、このAIは、己の任務を遂行し続けました。……そしてついに、AIの宣言が、廃墟に声高らかに鳴り響いたのです

 

 

 

 

──Q.E.D.(証明完了)』、と

 

 

 

……先生。これは証明され、分析され、再現された新たなる『神』の到来です」

 

“……神、だって?”

 

「『音にならない聖なる十の言葉』、と己を称する新たな神。

 

 

 

 

 

──DECAGRAMMATON(デカグラマトン)

 

 

「…デカグラマトン、古い言葉だな。デカは十、グラマトンは文字…。言い換えるなら、『神名十文字』……か?」

 

「その通りです、羽沼マコトさん、博識のようで…。…彼の者はまた、己の神命を予言する10人の預言者と接触し、神聖な道である『パス(Path)』を拓きました。──これぞまさに、新たな『天路歴程』」

 

黒服の独白を、全員固唾を呑んで聴き入るしかない。

 

「…これは本当の神なのでしょうか?……ああ、私にはわかりません。そのようなことは、実際のところどうでもいいのです。─ただ、彼の者自身の神性を証明する過程であるそれは、間違いなく心理の摂理に至る道、『セフィラ(SEPHIRA)』と呼んでも、遜色はないでしょう」

 

揺れが、大きくなる。砂の波打ちが、より一層激しくうねっている。

 

「……先生、あなたが()()()()()()()()()()()は、セフィラの最上位に位置する、天井の三角形の一角。…そのパスは理解を通じた結合。『違いを痛感する静観の理解者』の異名を持ちます」

 

「…っ!総員!伏せろおおおっ!!」

 

マコトの怒号が鳴り響く。その言葉に、全員身を屈める。

その瞬間、先程までとは比べ物にならない程の強烈な砂嵐が吹き荒れる。

 

 

 

 

 

 

峻厳の柱が一柱。至高の三角形が一角。

 

数字は3、色は黒、宝石は真珠、金属は鉛、惑星は土星を象徴する。神名は『エロヒム』、守護天使は『ザフキエル(Zaphkiel)』。

 

 

 

 

 

 

「それは……

 

 

 

 

 

 

ビナー(Binah)』です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      第三のセフィラ ビナー

 

 

     アビドスの砂漠において、()()()()

 

 

 

          ()()()()

 

 

 

砂嵐が、晴れる。()()()()()()()、あまりにも巨大な存在。

まるで、大蛇と鯨が融合したかのような形状。

 

何よりも特徴的なのは、頭部の()()()()

 

 

「デカグラマトンの預言者を相手に、あなたのいるシャーレは何処まで耐えられるでしょう?あなたのその繋がりの力が、果たして新たな神の御前でどれだけの意味を持てるでしょう?その少女たちの神秘は、()()()()()()()に比肩しうるでしょうか?」

 

 

──そうです。これは非常に興味深い研究なのです。

 

 

その言葉に、全員が戦慄する。今、この男はなんと言った?

 

新たな神の神秘──。それはつまり、ビナーと呼称されたあの超大型の生物に、キヴォトスの神秘が内包されている、と。

 

しかも、神秘量が未知数。あの巨体に、どれだけの神秘が内包されているのか、誰もわからない。

 

 

「……先生。あなたは神を目の当たりにしたことがありますか?」

 

唐突に、黒服が先生に尋ねる。

 

“………………あるよ”

 

先生は、余りにも重苦しく答えた。

 

「なるほど……、それは何よりです。…しかし今回は、あなたの知っている()()とは、少し違うと思いますよ。…想像以上に、完全体のまま顕現してしまいましたから」

 

黒服は、少し肩を竦めた。

 

「そしてもう一つ。…羽沼マコトさん、貴女は余りにも異端だ」

 

突如、黒服がマコトを名指しでそう告げる。

 

「我々ゲマトリアの感知しない存在…。()()にはあり得なかった存在…。何故?何故?何故?何故?何故?ああ、知りたい。デカグラマトンなどという存在よりも、よっぽど貴女が知りたい。…しかし、今この場において優先されるべきは、私の個人的欲望ではない。…さぁ、見せてもらいましょう」

 

 

 

 

貴女方が、どうビナーに立ち向かうか。




マコト様(ガチ)のバタフライエフェクト。

ビナー君登場!
しかもめっちゃ強い!!


多分INSANEかTORMENTクラスのビナー君になってしまった。

パヴァーヌ編

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