もしもマコト様がヤベー奴だったら   作:8OROCHI丸

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ここでようやくマトモな戦闘シーン?


理解者 対 施政者

その存在は、未だ動きを見せず。

ただ、先生たちを見下ろす。

 

“(…参ったね)”

 

先生は、途方に暮れていた。

あのビナーの内包する神秘は未知数。対策委員会はほぼ満身創痍で限界。この場をどう切り抜けるか、それだけを全力で考えていた。

誰も動かない、誰も動けない。それは疲労か、将又ビナーの神秘に圧倒されているのか…。

 

 

 

──だが、例え如何なる状況で有ろうとも、動く者が一人いた。

 

「…キキ、キキキ、キキキキッ…!!あァ、なんという濃密な神秘だ…!こうも()()()()()()昂ってしまうなぁ…」

 

砂を一歩一歩踏みしめ、ビナーに近づくのはマコト。

 

“…マコト?”

 

「ビナー、といったか……。キヴォトスに伝わる創世記(ジェネシス)、その中の十柱が一つの名を冠する者…。成程な、私はオリジナルは知らんが、貴様が神であると言われれば納得せざるを得ない神秘だ」

 

ザッ、ザッ、ザッと、歩みを止めることをしない。

 

「しかし、例え神の名を冠するとして、貴様は我々の前に明確な敵意を以て顕現している。…で、あれば。我々にとって倒すべき敵である」

 

──瞬間、マコトの神秘量が()()()()()

 

「…森羅万象には必ず表裏が存在する。昼には夜、太陽には月、()()()()()()……。そして、聖なる者(セフィラ)には邪悪なる者(クリファ)…!!」

 

背中に背負っていた狙撃銃を構え、ビナーに照準を合わせる。狙いは、頭ではなく胴体。

 

「我々はゲヘナ!悪魔を冠する者!活目せよ、デカグラマトンッ!!眼の前にいる私は、貴様の天敵だぞぉっ!!」

 

マコトが、銃弾を撃ち放つ。弾丸は真っ直ぐビナーへと向かい──。

 

 

 

 

 

───胴体を、貫いた。

 

 

 

 

【ォ、オオオオオオオオオオオッッッッ!!!】

 

ビナーが、その衝撃と痛みに咆哮を上げる。よもや、自分の神秘を貫通してこようなどとは、さしものセフィラでさえ想像し得なかったことだった。

 

あの存在は、危険だ。

 

ビナーの演算全てが、マコトを倒すことに対してのみ割り振られる。第三のセフィラは今明確に、羽沼マコトを最も優先して倒すべき敵として認識した。

 

「先生、対策委員会とヒナ以外のゲヘナ生を連れて下がってく

れ。アレは私とヒナでどうにかする」

 

“…それは”

 

「なァに、心配するな。アレが神を冠するならば、()()()()()()()()()()()()()()()。安心して見ていると良い」

 

“…サポートだけ、させてほしい”

 

「…ふむ、かの先生のサポートか、如何ほどの物か、見せてもらおう」

 

先生は『シッテムの箱』にアクセスし、羽沼マコトをシャーレに所属させる簡易手続き、そして、演算情報をマコトのヘイローに送り込む。

 

「───成程、な。通りで、先生が強いわけだ…。キキキッ、キキキキッ…!!」

 

“マコト、一つだけ約束して”

 

「『無茶はするな』、だろう?先生の言う事など手に取るようにわかる。…当然だ、私は自分のできない範囲に手は出さん」

 

“…信じてるよ”

 

 

 

 

 

「…はぁ、アレを二人で止めるって、正気?」

 

ヒナは、呆れたように溜息をついた。

 

「キキキキッ!!なぁに、()()とこのマコト様ならば出来んはずはないだろう?」

 

「…久し振りに、下の名前だけで呼んでくれるのね」

 

「今この場においては、私たちは生徒会長と風紀委員長ではない。シャーレ所属の、マコトとヒナというただの生徒だからな」

 

ビナーは既に撃ち抜かれた箇所を自己修復し、臨戦態勢を取っている。だが、マコトとヒナは余裕を崩さない。

 

「…ねぇ、マコト。覚えてる?私達が2年生のとき、一緒に風紀委員として活動してた頃」

 

「…あァ、二人揃って『白銀鬼』なんて呼び方もされていたな。あの頃は良かったぞぉ?何せ力を振るえば全てが平伏してくれたのだからな」

 

「…でも、あなたは生徒会を選んだ」

 

「誰かがやらねばならぬことを私がやったまでだ。そのために風紀活動中に、態々懇切丁寧にOHANASHIしたわけだからな」

 

「結果、信任投票率はゲヘナ過去最高の81.5%…。歴代生徒会長の数値が軒並み一桁だったのを見る辺り、貴女は相当に認知されてるわけね」

 

「キキキキッ!だが、今の1年連中は私なぞ知らんだろうよ。その証拠に、風紀委員が鎮圧する生徒の9割は1年だ。あとの1割は温泉開発部と美食研究会なわけだが……。奴らめ、そろそろ私が出張るぞ」

 

「…ふふ。そのためにも、あのデカブツを倒さなきゃね」

 

「その通りだ。…腕は鈍っておらんな?ヒナ」

 

「そっちこそ、最近は前線に出てきてないから、私の足を引っ張らないでね?」

 

「キキキキッ!言うようになったじゃないか、()()()()()()()()ヒヨッ娘が」

 

「昔の私とは大違いよ。…頼りにしてるわ、()()

 

「任された、()()

 

ビナーの神秘を前にして、一切の絶望無し。

 

「「─神秘、解放─!!」」

 

マコトとヒナの神秘量が、劇的に増える。

 

「長くは保たん、10分でケリをつける」

 

「同感ね…。覚悟しなさい、セフィラ─!」

 

 

 

 

 

 

…それは、まさしく蹂躙だった。本来であれば、キヴォトス中の生徒の力を借りてようやく互角にも満たぬほどの圧倒的な存在。それが、デカグラマトン。

 

……だが、第三のセフィラの演算能力は、たった二人の生徒相手に過負荷状態になりかけていた。

 

ヒナの持つガトリング、終幕:デストロイヤーは一弾一弾全てにヒナのありったけの神秘が込められており、いとも容易くビナーの外殻を剥がしていく。ビナーは内包されたありとあらゆる武装を用いて迎撃するが、翼を翻し縦横無尽の動きを見せるヒナに、有効打を与えられずにいた。

外殻が剥がれ、防御力が低下した場所には、マコトが的確に弱点である場所に集中砲火を浴びせ、これまた容易くビナーの身体を貫通させていく。

 

一つ剥がれた外殻を自己修復する間に二つ外殻が剥がされ、その二つを修復しようとする前にマコトによって撃ち抜かれる。

現状のビナーは、迎撃よりも防衛・生存に重きを置くことしか許されなくなっていた。

 

 

 

その様子を、遠目から見る先生たち。

 

「…ゲヘナって、あんなに強いの…?」

 

セリカが、そのあまりの強さに戦慄した表情で呟く。

他の面々も同じような感想を抱いているようで、どうにも緊張した面持ちだった。

 

そんな中、共にいた黒服は、ずっと独り言を呟いていた。

 

「何故、恐怖(Terror)を知っている?何故、たった二人でビナーに抗える?何故、クリフォトの力を宿している─?何故?何故?何故?何故?何故?何故?──羽沼、マコト…、もしや、『色彩』が……?」

 

“…何ぶつぶつ言ってるの黒服”

 

「…彼女は、羽沼マコトは、何者なのです??」

 

黒服は、先生の言う事など気にも留めぬ様相で聞き返してくる。

 

「分からない、知らない、ありえない、ありえてはいけない──。あのような力を持つ生物が、生徒という枠組みに収まっているなどと…。……まさか、()()()…??」

 

“黒服”

 

先生は語気を強める。

 

「──ああ、これは失敬。研究者としての性が出てしまいました。よもや、彼の神に二人だけで抗えるなど、想像もしていませんでしたので」

 

…戦いは、もうじき終わりを迎える。

 

 

 

 

【出力、20%未満に低下】

【自己修復シーケンス、作動不良。自己修復不可能】

【アツィルトの光、チャージ不可能】

 

ビナーの演算機能は、全力で警鐘を鳴らしていた。

既に全機能の8割以上が機能不全に陥っており迎撃も修復も不可能になっていた。

 

一方、マコトとヒナも相当に消耗していた。

 

「はぁ…、はぁ…っ!マコト、そろそろ切れる…!」

 

「キキキッ、こっちもだ!そろそろ終わらせるとしようっ!!」

 

本来の神秘量を大幅に凌駕している影響で、目立った外傷こそ無いが限界が近づいていた。最後の力を振り絞り、ビナーへと総攻撃を加える。

 

「『終幕:イシュ・ボシュテ』──!!」

 

ヒナは使える神秘をありったけ込めて、ビナーへと弾丸を撃ち放つ。最早ビナーはさしたる抵抗もできずに、叩き込まれる衝撃に耐えきれず砂漠へと倒れる。

 

「新たなる神…、私達の、勝ちだ──!!!」

 

マコトはトドメとばかりに、倒れて無防備になったビナーの脳天に、一発を喰らわせる。

 

 

 

 

 

 

──第三のセフィラの頭上から、()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

巨体は砂の海に沈み、それきり出てこなかった。




当方、『ゲマトリア、色彩によって滅ぼされたパラレルワールドのキヴォトスの先生だった説』なんていうトンチキなものを推しておりまする。

此処らへんマジで独自設定多いんで…(震え)
気づいたらマコト様が確定クリティカルウーマンになってたんだけどなんで?


ちょっとだけ描写を変えました。

パヴァーヌ編

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