あなたの終わりを眠りと共に   作:アメフラシ

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 これはあくまでもサンプルです、某買い物王とハーメルンの二次創作しか見てない状態で書いたプロモーションビデオ、実際のプレイとは……というやつです。アンケートを三日は貼っておきたいのでそれまでの繋ぎとなっています。



Apocrypha&Zeroサンプル

 

『閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する』

 

 間桐邸、冬木に住まう子どもたちからお化け屋敷と言われているその館にて、狂気に囚われた男が禍々しい呪文を唱えている。それは少女への救いを口にしていながら、本質は醜い嫉妬と矛先を間違えた怒りと願いの具現、実に人間らしいその男は魔術師になることを忌諱する程度には常識的で、それ故に老獪な怪異に漬け込まれた哀れな普通の人間だ。

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 その声を、既に薄れた意識の反響動作として呟いている少女に正気なんてものは存在していない。ただ、体が反射的にその音を繰り返すだけの機械的な反応をしているだけ、虫の中で蠢く体を間桐の家で味わってきた恐怖を知っているが故に、発狂するわけでもなく声を紡ぐ。

 

『―――――Anfang』

 

 時折見える光は怪異と成り果てた翁の粋な計らいだ。既に魔術から離れた愚かな男が、使い捨てるのも当然のような男が自らを生け贄にしてもと帰ってきたのだ。奮起させて、絶望させて、折れてくれれば面白い。これが桜が現れる前なら傀儡としてはそれなりに役に立つとも考えただろうが、来てからとなっては必要のない玩具、冬木の聖杯戦争でろくな知識も持ち合わせていないこの男が勝てる道理はない。

 

「Anfang」

 

 されど少女は健気にも、言葉を重ねて言葉を連ねる。それが安寧をもたらすわけでも、それが幸せをもたらすわけでもない。願いの色といえば器を満たすに足らず、されどその本能的な願いは器を満たすに値する。重ねた矛盾は真実となり、道理も何も喰らい尽くす。その色は虚構、既に水に濡れた紫なれど、その本質は深淵である。

 

『――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』

 

 故に、聖杯は応えた。最後に定まった奏者として、生物的な欲望を持つ魔術も知らぬ赤子なれば、必ず勝てぬ運命としても、その願いは器を満たすに相応しい願いだと判断した。

 

「告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 召喚は終わりに近づいている。既に蝕まれた体に、少女の小さな掌に赤い焼き印が刻まれる。その瞬間の痛みに少女は声を漏らした。反響の終わりとはいかない、虫に汚された体はその恐怖から逃れようと健気にも叫び続ける。

 

『誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。 されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』

 

 それは奇跡と呼ぶに相応しいものであった。狂戦士を召喚する一説を痛みが切断し、正しく英雄を呼ぶための願いとして形となる。

 

「誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。っ!?……あぁ……汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ……」

 

 間桐が呼んだバーサーカー、円卓の欠片を使いその身には不相応な英雄、男は、男は翁を見つめる。これを引き換えに少女を救い出せると思っていた、それこそが望みだった、けれどその瞬間、光を見せていたはずの少女は黒い影と共に消え、眼前の翁が虫の塊となって消えた。

 救いたかった対象、憎むべき怨敵の一人、その二つが同時に消えたことで男は、既に狂気の中にいた男は再び発狂した。それは、少女が耐えていた、少女ならば耐えられていたその痛みに男は発狂したのだ。

 主を失った虫たちが眼前の男に向かって飛んでくる。刻印の継承はなった。これにて間桐の当主は男である。されど、喜びなどあろうはずもなかった。既に己の妄執に囚われた男は、少女を拐った影を探すように狂戦士へ命ずる。呼び出されたもう一人の英雄の影響で一瞬の正気を取り戻していた彼は、複雑な表情を鎧で隠して望まれた命令のままに動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは正しく運命だった。

 

 

「ありがとう……ございます」

 

 

 眼前にあるフードの奥に骸骨の仮面を被った「何か」に少女は怯えとは違う安堵を抱いていた。それは、あの地獄から抜け出せたことへの感謝か、その「何か」が発している力なのかも判別がつかない中で幼い少女はただ無機質的な礼をした。返事はない、少女を背中に乗せたままに町を疾走する「何か」は喋れないのだろうか、それとも会話する気もないのだろうか、意味もなく自分の太股を掴むその腕に触れた。それは死人のように冷たかった、けれど少女にそれを判別するような手段も知識もなかった、故に冷たい掌をしている人なのだなと一人納得して夜の闇に溶け込むように二人、路地裏へ降り立った。

 

 

「全てを把握どころか何も知らない様子ですね……まあ、構いません、亡霊の住み家に居続けるのも、己の願いのために狂戦士を呼び出すような危険な存在の近くに子どもを置いておくのも命に関わるので」

 

 

 声は女のものであった。少女は体に受ける風が消えると同時に、自らの心にあった恐れや、狂気が消えていくのを感じた。それは間桐の家に訪れてから久しく忘れていた安らぎであり、眼前の存在がそれを生み出しているとわかるとその華奢な体に頭を埋める。

 怖かった、痛かった、少女は泣き叫んだ。家族から引き離され、体を蝕まれ続け、その痛みの発露に「何か」は口を開くことなく黙って少女を抱き締めてくれた。それは母のような慈愛の抱擁であり、年長者の持つ独特の安心感をもたらすだけの重みがあった。吐き出し続ける感情を受け止めながら、声もなく使った魔術で人払いをしていた「何か」は涙が枯れる頃を見計らって自らに貼り付いた少女にお互いの顔を合わせられるよう距離を取った。

 仮面が外される。そこには、少女の目から見てもこの世にある中で、これに匹敵するもののないような絶対的な美があった。美人は冷たく見えるとは良く言ったもので、少女は途端に「何か」が恐ろしく見えてきた。骸骨の仮面を被っている存在が恐ろしくないかと聞かれれば当然恐ろしいが、心の温もりの後に体の冷たさを認識させられたのならば脳が混乱するのだろう。

 

 

「……」

 

「まあ、畏れも構いません。ですが、私は貴女の無垢な願いに、生きたいという願いに応えたのですから、向けるのならもっと美しい感情にしてください」

 

「あなたは……」

 

「私ですか……いえ、先に貴女の名前を伺っておきましようか。それが礼儀というものです」

 

「私は……」

 

 

 けれど、目の前の「何か」は会話の成立する相手であった。常にどこか上から目線ではあるが、確かに日本語という言語が通用する存在だった。人間は日常にある非日常に恐怖を覚える。それは、スーツに素足で靴を履いていない人間であったり、感動的な映画で貼り付けたような笑みを常に浮かべている人間であったり。それと比較すれば「何か」は日常に溶け込むこともできるような正しく人間と呼んで差し支えない存在のように思える。

 けれど、少女が頭を悩ませているのはそれではない。信頼できるかどうかはともかく、あれのように自らを害することはないことがわかっている彼女の気分を害するわけにはいかないのだが、少女はどちらを名乗れば良いのかという大人びてしまった子どもにあるような迷いに口を開くことができなかった。

 

 

「……貴女が望むもので構いません。偽りでない限り、私は貴女の全てを許しましょう。久しい無垢な願いの塊なのです、気まぐれに消すのは面白くない」

 

 

 その質問にも口を開けなかった。自らをあの場所へ送った遠坂の名を使うのも恐ろしく、地獄のような責め苦を与えた間桐を使うのも恐ろしい。その内にある感情を見抜くように「何か」は言葉を繋ぐ。

 

 

「……言ったでしょう、偽りでなければ貴女の全てを許すと、私が呼べれば良いのです。貴女の出自も育ちも何もかも興味がありません、ただ名乗りなさい、望む名を、貴女が欲する名を」

 

「……サクラ……桜です」

 

「サクラ、ええ、良い名前です」

 

 

 笑いながら冷たい手が頬を撫でる。次は恐ろしくなかった、わかっていたからだろうか、「何か」の浮かべる笑みがあまりにも美しかったからだろうか、片膝を地面に置いて「何か」は改まったかのように名乗りをする。

 

 

「サーヴァント、従者……そうですね、家政婦……これも駄目ですか……ならお手伝いのようなものです。キャスター、真名をモルス」

 

 

 静かに腕を差し出す。それは、絵本の中にある騎士のようで、お姫様のような容姿にはどうにも違和感があるけれど、それを踏まえたとしても理不尽なほど少女の瞳に焼き付いている。

 

 

「重ねて問いましょう、サクラ、貴女は私のマスターであり主のようなものです。そのサーヴァントに何を望みますか?」

 

 

 この日を桜は、後のサクラ·マッケンジーは一度たりとも忘れることはなかった。誰よりも人を愛して、誰よりも人に裏切られてきた英雄を彼女のように忘れず信仰し続けた。

 

 それは正しく運命だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絶対に手に入れてやる。

 

 少女は決意した。

 彼女の家はアメリカに家を構える魔術使いの一家であった。時計塔の依頼を一時的に無視して日本を訪れ、そこの博物館にて特別公開のために輸送されてきた世界で最も価値があると考えられている聖遺物を、ギリシャの大英雄が所持していたと魔術師の間で語られているそれを一目見るために行ったその場所にあったのは偽物のレプリカであった。思わず博物館で大声をあげそうになった彼女は、家族へのお土産としてそれを4つほど購入して博物館を出ることとなった。

 ちなみに、博物館のパンフレットに古代ギリシャの漁師が使っていたと考えられる物と書かれてあったり、透明度の高いガラスを使って奇跡的に作られた一点ものであるだとか、海から船に上がった時に体を暖めるための物だったとかの神秘の秘匿があるからといって好き勝手に描かれた展示説明には腹を抱えて笑った。二人の姉にメールで送ったらバカウケだった。これで三年は笑って過ごせるようなお話である。

 

 しかし、彼女の目的は聖遺物を見ることではない。そして、姉たちと一緒にビデオ通話で笑い転げることでもない。彼女の獣のような直感が、時計塔の依頼にこの日本の新宿が関係しているのではないかと睨んでいるのだ。根拠はないが、性根の腐っている奴ばかりの魔術師の巣窟である時計塔にただ従うのは気に入らなかった。今回の依頼も父の友人である獅子劫のおじちゃんを仲介した頼みでなければ受けるつもりもなかった。

 そんな彼女は、お気に入りのスクーターを走らせて町を駆け回る。何もないなら別に後から現地のルーマニアへ向かえば良いし、何かあるなら報酬を上乗せしてもらおう、貰った報酬で何を買うか考えながら進む彼女の前には人払いの結界、ビンゴだ。

 

 破壊するわけでもなく、気配を遮断するマントを着用しながら中へ入る。大したことのない魔術師らしき影が数人、これなら自分だけでも殺せる。

 スクーターの中から宝石を取り出す。彼女の魔術を行使する際に必要な触媒であり、色は彼女が好む赤のダイヤモンド、貴重なものだが背に腹は代えられない。

 火の属性、生命と死の象徴、破壊的な魔術と相性の良い彼女の五大元素、二人の姉の持つ稀少な属性とは違い、周りからはノーマルと笑われてきたそれは家族で一番強い彼女に、いざという時の荒事を任されてきた彼女に相応しい色だと家族が言ってくれた最高の属性。

 

 

『転換』

 

『放射』

 

『対象』

 

 

 その魔術の名は等価魔術、自らの所有している物の中から直接体が触れていることを条件に発動するそれは、その物質の消滅と引き換えにその価値に応じた効果を発動する魔術。彼女たち三姉妹が父から受け継ぎ、父が祖父から受け継いできた相伝。

 今、その手の中から熱線が放たれる。

 どれ程の防御礼装を用意していたとしても、赤色のダイヤモンドの価値はこの世界において絶対的だ。世界の市場の平均を参照する彼女の魔術はそれを貫く。脳を物理的に焼却され、倒れ伏す魔術師たちから金目のものを漁りながら気絶している女性を揺り起こす。この人がいたから『対象』を付与する必要があり、赤のダイヤモンドが消費されてしまったのだ。生きていてもらわないと困る。

 

 

「大丈夫っすか?」

 

「ああ……はい」

 

「なら……『転換』『暗示』『忘却』……よし、次に目が覚める頃には全部忘れてるはずっすよ」

 

 

 魔術を知らぬ相手なら、そう思ってコンビニで買ってきたミネラルウォーターを触媒にする。水は安い場所なら安く購入できるが世界を平均するとそれなりに高値になるのが面白いし、便利だ。

 

 

「さーて、どうするっすかね」

 

 

 後始末のことを考えていなかった。彼女が魔術師の企みを阻止しようとして死体を青空に晒していたことは一度や二度じゃない。けれど、この国はひとつの殺人事件が全ての場所で放送されるような国だ、大事になるのは目に見えている。とはいえ、人払いの結界があるのはありがたい、魔方陣に乗っていた死体を焼却して買ってきたココアを飲む。人の焼ける臭いは最悪なため、最大火力の瞬間黒焦げにしてある灰を空へと撒く「カレキニハナヲサカセマショー」だったろうか。

 

 彼女は理解していた。

 この魔方陣が己の運命を定めるものになると、腕に刻まれた刻印、この世界各地で見てきた聖杯戦争、基本的に暗殺を依頼されてきたが、此度はマスターとして戦わなくてはならないということを。

 

 

 閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する。

 

 Anfang。

 

 

 触媒なんて物はない、下手に英雄を選んで失敗したのなら面倒なことになる。己の魂に導かれる英雄を、できればお金がいっぱい欲しいという俗世的な欲望に引かれてくれる英雄を。

 

 

 告げる。

 

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 

 

 魔方陣が光を帯びていくのがわかる。確かに、己の呼び声に応えてくれているように。誰を呼ぶことになるのか、大半の英雄に縁のあるものは家の保管庫にあるため、それなりに知識はある方だ。大英雄ヘラクレスか、魔剣の担い手シグルドか、ここが日本の東京なのだから徳川家康なんかもあり得るだろう。

 

 

 誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ。

 

 

 光が増していく、そして遂に召喚されるかのような瞬間に……彼女のスクーターが眩い光を放ち始める。

 

 

「え、いや、おかしいっすよね!え、スクーターを作った英雄とかこられても困るんすけど!?」

 

 

 そして……

 

 

「ん~、よし。サーヴァント、黒のアサシン、真名はモルス、君が私のマスターかな?」

 

「あ……私のお土産が……」

 

「え……」

 

「おまえー!何の英雄かは知らないっすけど、私のお土産をよくもー!!!」

 

 

 サーヴァントが召喚された、彼女が大事に持ってきたお土産の、魔眼殺しの原典であるそれのレプリカを触媒として……。ここからもう一度買いに行く時間なんてものは存在しない、姉が楽しみにしていたそれは召喚の際に力に耐えられず消滅した。

 

 

「わかったから、これが終わったら本家の物をあげるから、離してって!」

 

「ホントっすか?」

 

「うん、ホント、私は嘘が嫌いだからね!」

 

 

 斯くして黒の陣営でありながら、ユグドミレニアに仇なすコンビの顔合わせは明るく終わった。これから、聖杯大戦に参加する二人は親睦を深めるために買ったたこ焼きを食べながら改めて自己紹介をするのであった。

 





 感想に未来と過去の自分への会話が欲しいという声があったのでここに置いておきます。



 会話13

「未来、それも何世紀も後の私ですか……何かと拗らせているようなので、激薬を与えますかね。キルケーさん、こっちに来てもらえますか?」


 会話11

「過去の私、記憶すら朧気ですが、それでもあの頃は幸せだったと断言できますよ……ええ。ん、何ですか神祖、え、キルケーさんを呼んでくる……止めてください、こんな姿を見せられるわけないでしょう!あ、ちょっと、待って……」



 こんな感じです。お互いへの嫌悪とかはないですね、頑張った後の自分にご褒美をあげたい頑張る前の自分みたいな認識です。











 明日は何も思い付かなければ投稿はないですが、アンケートの結果によって明後日からFGO編が始まります。アンケートは明日まで有効となっていますので、のんびり選んでいただけると幸いです。

どちらが先?

  • 一話完結のギリシャ異聞帯
  • 短編のオケアノス
  • 幕間の二人
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