私は気まぐれだとよく言われる。
自分では分からないがそうらしい。
でもしょうがないじゃないか。
未来はいつでもぶれているんだ。
私はそれに合わせて生きているだけだ。
だから私の膝の上に誰かを乗せてもまるで問題ないのだ
何でこうなったかって?
たしか・・・
――――――――
「ダディ、ダダダダディ♪」
鼻歌を歌いながら廊下を歩くのは真条ラムその人である。
いま彼女は散歩の最中なのだ。
IS学園は大きい。
それ故彼女が行ったことがない場所はまだまだあるのだ。
そんな彼女に声をかける人物が
「あ、ラム。なにしてんのよ?」
「あら凰さん、お散歩ですよ」
「はぁ?アンタってほんっと変わってるよね。なにも学校なんか散歩しなくてもいいじゃない」
そういいつつ凰は真条についていった。
「そういやラム」
「なにか?」
「アンタこの前の決闘であたしにやった零距離からの拳って何なの?」
「あぁあれね、あれは寸勁よ」
「あれ寸勁なの?」
「えぇ」
そういうと真条は拳を構えた。
「正拳突きをするときには20箇所の間接を使うのよ」
そして放たれるは空気を切り裂く正拳突き。
(うわぁ、あんなのまともに喰らったら色々もってかれそうね・・・)
「で、私がやった寸勁は20箇所の動きから肩、肘、手首の3箇所をひいたもの。17箇所も動かせたら充分に刺せるわ」
「確かにアレは効いたわ。一瞬脚がいうこと聞かなかったわよ」
「それが狙いですからねぇ。まぁあくまでも相手を倒すための始動技みたいなものだけどね」
そんな話をしつつ歩いていた。
「んじゃラム、あたしは用事あるからこれでね」
「そう?またね」
凰が遠くに行くのを確認すると真条は当てもなく歩き始めた。
「私の心はセラミック~♪」
そして再び歌を歌い始めたのだった。
――――――――――
ふとしたときに何か変わった雰囲気のする部屋に着いた。
見たところISの整備室みたいなものだろうか?
そんな部屋があったら入るのが真条だ。
「・・・・ふむ」
そこには様々なパーツがまばらに置いてあったりコードが部屋中に敷き詰められていた。
そして奥を見てみると一人の少女がノートパソコンに向かって必死に作業をしていた。
少しだけ真条は少女に近づいた。
見れば空のように綺麗な水色髪、整った顔立ち。普通の状態ならさぞかし同姓からも異性からも人気者になりそうな容姿である。
普通の状態ならばだ。
「・・・もし」
真条は彼女に声をかけることにした。
「・・・・・なんでしょうか?」
彼女は返事をしながらも手は止めてはいないしコッチも少し見た程度だ。
どうやらかなり急いでいるようだ。
「これはISね。見たところ専用機のようだけどまだ未完成なのね」
「・・・それがどうかしましたか、この機体は私が完成させます・・・」
(あら、何かあったのかしら?ちょっと相手の気分を損ねたようね)
真条は少し考えるそぶりを見せた後。
「あ、気に障ったなら謝るわ。それよりも貴女・・・」
真条はジーっと少女の顔を見る
「な、なに・・・?」
少女は流石にじっと見られていて作業を続けるほど精神が図太くはなかった
「貴女ご飯たべていますか?それに睡眠もとってなさそうね。まぁ研究者とかにはよくありますけどね」
「そ、それで?」
「あぁ、作業内容は保存しといたほうがいいですよ?」
「・・・??」
少女は疑問に思いつつも保存をしたらしい。
それを確認した真条は勢いよくPCに繋がっているコードを抜いた。
「あそーれプッキュン!」
「!?なにをするの・・・!」
少女はいきなりのことで驚愕したがその目には怒りの色が見える。
まぁいきなり自分の作業をジャマされれば怒りもするだろう。
「貴女はどう見ても疲労を蓄積しています。そんな状態で行なう作業の効率なんてたかが知れています。だから今から貴女に休息を与えましょう」
「・・・休息?」
そういうと真条は彼女を持ち上げた。
お姫様抱っこの形になったがまぁ別に気にしていないようだ。
「ちょ・・・恥ずかしい・・・」
「はいは~い目の下にクマすら出来かけてる子はだまっていてね~。ていうか軽すぎるわよ。もう少し食べたほうがいいわね」
真条は少女を自分の部屋に連れ込んだ。
どうやらパトラ子は友人の部屋に出かけているようだ。
遅くなるとの書置きがあったのだ。
「さってと」
「きゃ・・・」
真条はベッドの上に座り少女の頭を自分の膝の上においた。
要するに膝枕だ。
「ななな、なにを・・・」
流石に恥ずかしいのか少女が尋ねてきた。
真条は少女の頭を撫でた。
「・・・がんばるのもいいですが、休息はしっかりと取りなさい。体調が悪くなって何もできなくなったら本末転倒よ?」
「・・・・」
「貴女が何のために必死になっているかは分かりません。でもそいうの、焦れば焦るほどどんどん悪い方向に行ってしまう沼みたいなものなの」
「沼・・・?」
「えぇ、もがけばもがくほど落ちていく底なし沼・・・私はそれにはまっていく人間を何人も見たわ」
真条の言葉を少女は静かに聞いている。
「遠回りでいいのよ、遠回りで。貴女の人生は今日この一瞬ではないのでしょう?」
「でも・・・私は・・・」
「いいのよ、今はゆっくり休みなさい・・・大丈夫よ、今日の休息で遅れが出たならその分の埋め合わせはするから」
ポンポンと真条は少女の頭を撫でた。
「そういえばあなたの名前聞いてないわね」
「・・・ここまで・・・しておいてそれは・・・酷いと思う・・・」
睡魔がやってきたのか少女のしゃべりは重い
「私は真条ラム・・・あなたは?」
「私・・・・簪・・・更識 簪・・・・」
「そう、簪さん、おやすみなさい・・・」
そういいおわるころには既に簪は夢の世界に旅立っていった。
「良い夢みれますようにっと・・・」
真条はそういうと天井を見る。
(さて、この子がいつまで寝てるかによって面倒事が起こるか起こらないかがきまるわね)
自分が人にここまで優しくするなんてらしくないが、たまにはいいかとも思う
なにせ自分は気まぐれと呼ばれているのだ。
――――――――――
簪はその後良く寝れたようで体調は良くなっていた。
この後しばらく「真条は気に入った女性を部屋に連れ込んで骨抜きにする」という噂が立ったが真条は知る由もない。
なんかタラシ回になった。
落ちたかどうかは知りませんが簪ちゃんは真条さんに感謝しているようだぞ。