真実を知るもの   作:なす水島

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「Hinder One」

 

我々の戦いは一方的な虐殺で終わるはずだった。

 

これまでだってそうしてきた。

 

この星の文明レベルなら我々に害をもたらすモノはないはずだった。

 

だというのに。

 

なぜ、何故。

 

我々の前にあの鷹がいるのだ。

 

死の星となった惑星から飛び出した鷹が我々の前にいる。

 

我々の全信号が告げる。

 

この星は簡単には落ちないと。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

シルバーホークはアイアンフォスルに向けてバルカンを乱射する。

アイアンフォスルはその弾丸の嵐を己の体に仕込まれた砲から鱗の様な弾丸を発射し防ぐ。

弾丸と弾丸は互いに相殺し合う。

 

「―――――チッ!!」

 

痺れを切らせたシルバーホークは鱗の雨をバルカンで相殺しつつ一気にアイアンフォスルへ撃ち込んだ。

手ごたえは―――――あった。

 

しかし。

 

「チョバムアーマーか・・・」

 

シルバーホークの攻撃はアイアンフォスルの表面の装甲を削ったに過ぎなかった。

アイアンフォスルの誘導ミサイルがシルバーホークに襲い掛かる。

 

「甘い!」

 

シルバーホークはミサイルをバルカンで打ち落とすと同時に爆雷を敵に落とした。

徐々にアイアンフォスルの装甲がはがれていく。

 

そのときである。アイアンフォスルが身を翻したのだ。

 

「撤退する気?」

 

しかし『次元気流』にいるときには相手も撤退は出来ないはず。

 

そう考えていたときだ、アイアンフォスルの尻尾にあたるパーツが2つに分かれたのだ

そして間から現れたパーツを見てシルバーホークのパイロットは戦慄した。

 

「巨大な…砲門!?」

 

理解した瞬間だった。

 

ソナーのような音が三回響くとその砲門からは巨大なレーザーが発射された。

ただのレーザーではない。

それは『ベルサー』が開発した兵器。

 

『バースト』である。

 

 

シルバーホークは辛うじてバーストを避けることに成功していた。

だが。

 

「・・・!?撃ちながら姿勢制御!?こちらを圧殺する気か!」

 

徐々にアイアンフォスルが向きを変えているのだ。

このままではいずれやられてしまう。

 

「・・・ならば!!」

 

シルバーホークは一気に接近し始めた。

その距離は敵のバーストの砲門の目と鼻の先である。

 

「接近戦で一気に倒す!!」

 

シルバーホークは背中のウィングユニットに装備されている砲を敵に向けそのままミサイル、バルカン、爆雷を一斉に撃ち込んだ。

 

「うぉおおおおおおおおお!!!」

 

シルバーホークの零距離射撃はすさまじくアイアンフォスルのダメージは蓄積していった。

だがアイアンフォスルもただやられている訳ではない。

バーストを撃ちながらもシルバーホークに誘導ミサイルを撃ち込む。

 

「アーム・・・展開!」

 

シルバーホークの周りにバリアが張られる。

ミサイルはそのバリアに刺さりはしたが本体にはダメージが見受けられない。

 

「これで・・・終わり!!」

 

シルバーホークはありったけの弾丸を撃ち込みバックブーストで距離を離す。

 

『キシュアアアアアアアアッッ!!!』

 

アイアンフォスルの断末魔が響き渡る。

次の瞬間鉄の化石は内部から激しい光を発し大きな爆発を起こした。

機関部からの爆発はすさまじくアイアンフォスルは塵も残さずに消えていった。

 

「これで、終わりか・・・」

 

次元気流もなくなってきている。

 

「敵は、いない・・・早く戻らないと・・・」

 

シルバーホークはそう言いレーダーやカメラに映らないよう亜空間の中へ入りIS学園の近くに降り立った。

 

 

「シルバーホーク・・・解除・・・」

 

その言葉と同時にシルバーホークは解除され操縦していた者が姿を現す。

 

「初めての、戦闘であれだけ出来れば・・・・上出来かしら?」

 

その者に鳥が近づく。そう、あの銀色の鷹である。

女は歩いてはいるがその歩き方はふらつき彼女の体調が悪いことをうかがわせる。

 

「…わかってるわ、あれはたかが先遣隊…本体は未だに健在。でも今は……戦えることがわかっただけでも…ゴホッ!!」

 

彼女はその場で大きく咳き込んだ。

その時遠くから一人の少女が自分の元に走ってきた。

銀色の鷹はすばやく飛び立った。

 

「真条…風邪じゃなかったんじゃ……なんで出歩いてるの!?」

 

そう、シルバーホークの操縦者は真条ラムだったのだ。

彼女が何故ベルサーと戦っていたのかは本人以外誰も知らない。

そして真条はそれを教えるつもりは今のところないのだ。

 

そんな彼女に声をかけたのは簪である。

彼女は空に飛ぶ閃光を目撃した後も真条を探していた。

アリーナの方で騒ぎがあったので余計に心配になったのだ。

 

その時裏庭で咳き込んでいる真条を見つけたのだ。

シルバーホークはどうやら見ていないようだ。(もっとも、真条はその辺の確認はしていたが)

 

「ゴホッ…ふふ、少し……そとの空気を吸いたくなってね…ゴホッ!」

「そんなのダメ…!どのくらいの風邪があったか知らないけど……いまひどい状況!」

「大丈夫よ、このぐら……ガフッ!」

「……真条!?」

 

ぬるり

 

真条は口元に添えた手からそんな感触が伝わってくる。

妙に生暖かいソレを確認するために真条は己の手元をみた。

 

「………真条!?大丈夫!?」

 

そこには

 

「……ふふ」

 

紅くきれいな模様が広がっていた。

 

「い、今すぐ医務室に!」

「必要ないわ、ただ口の中を切っただけよ」

「口の中切っただけじゃ・・・・そんな風に、ならない!」

 

真条はスッと立ち上がり簪を見つめた。

 

「そういうことにしておきなさい、それと、このことは皆には黙っておいて」

「…いきなり、そんなこと言われて納得できるわけない……!」

「無理にでも納得しなさい、もし誰かに喋ったときは…」

 

そういうと真条は簪に向かって正拳突きをした。

 

「――――ひっ!」

 

簪は目を瞑るが痛みはこない。

恐る恐る目を開けてみると拳は目の前で止まっていた。

 

「その可愛い顔が歪むことになるから、そう憶えておいて…」

 

そういうと真条は歩き始めた。

その歩きは先ほどよりはマシになったといえる程度であった。

 

簪は動けない。

一瞬でも向けられた殺気に震えていたのだ。

 

自分に優しくしてくれた彼女が殺気を向けてきた。

優しさを知っていたからこそ、冷酷な眼に恐怖を感じたのだ。

 

簪はゆっくり歩く真条の背中をただ見ていた。





PCがぶっ壊れたのでしばらく更新できなかったなす水島です。

アイアンフォスルはもうBGMがサビに入る前に倒すからぶっちゃけザk…

なんか簪ちゃんが目立つなぁ・・・
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