真実を知るもの   作:なす水島

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「銀髪の少女」

ラウラはクラス全体を見渡した。

これから自分が身を置くクラスなのだ。

どのような人間が集まっているか見て損はないだろう。

 

まぁ先ほどの黄色い悲鳴を聞くに騒がしそうではあるが。

そう思っていたときだった。

 

短い銀髪。不健康そうな肌。どこか虚ろな目。

あの人だ。あの人がいた。

 

そう思ったら体が勝手に動いていた。

 

 

―――――――――――

 

ラウラと名乗った子がこちらに来ている。

 

(来ると思ったよ。皆を幸せにしてやりたいんだろう?・・・なんて冗談かましてる暇はないわね)

 

そう思っているとラウラが目の前で止まった。

クラスの全員がこれから何が起こるのか予測できなかった。

 

「マジョラムお姉さま、IS学園にきてたのですね!」

 

そう言うと同時にラウラは真条の胸に飛び込んでいた。

その腕を真条の背中に回し自分の頭を真条の胸にこすり付けていた。

その様は甘える猫そのものであった。

 

 

「え、お姉さまって…あの二人姉妹なの!?」

「そういえばお互い銀髪ね…案外そうなのかもしれないわ」

「私と違って結構似ているではないか。しかし妹がいたとは初耳だな」

 

周りが盛り上がっていることに真条は気づいた。

 

「あ~~~言っておくけど姉妹じゃないわよ?この子が勝手にそう呼んでいるだけ」

「お姉さま!私は別に本当の姉妹になってもいいんですよ?」

「ややっこしくなるからお黙りなさいラウラ。それにそろそろ戻らないと織斑先生からお叱りの言葉を受けるわよ?」

 

そう言うと真条は担任のいる方を見た。

 

(…山田先生はなんか「生き別れの姉妹の再会ですか!良かったですねぇ…え、ちがうの?」な感じになってるし、織斑先生にいたっては無表情だけどあれ絶対笑いをこらえてる・・・)

 

「む、確かに。今はHR中でしたね」

「そ。だからさっさと戻りなさい」

 

そう言うと少しさびしそうにしながらラウラは教壇の方へ歩いていた。

その時に一夏の方をみた。

じっと見つめられて一夏は若干たじろぐ。

 

「な、なんだよ・・・?」

「貴様があの人の弟か。・・・まぁあの人の名に恥じぬように自分を鍛えるんだな」

 

ラウラは先ほどとは打って変わって凛とした態度で一夏に言葉を投げた。

 

「お、おう?」

 

困惑しつつ一夏は答えた。

真条はそんなラウラの様子を見ながらもう一人の転校生のシャルルを観ていた。

 

(あの肩幅・・・肉のつき方・・・仕草や声から察するにどう考えても女なのよねぇ・・・)

 

シャルルを一目見て男性ではないと考えていた。

確かに中性的な男性といわれればそうも見えるだろうが、あいにく真条はさまざまな人間を見てきたのだ。

声、動作、足音などからその人物の性別なんですぐにわかるのだ。

 

 

(狙いは・・・考えるまでもありませんね。おそらくは一夏さんでしょうね。まぁISの情勢なんて別にどうでもいいのです)

 

 

自分はベルサーを倒す装置なのだから。

戦うときに戦えればそれでいい。

 

真条はそう思いつつ授業に使うノートを取り出した。

 

 

―――――――――――

 

時はお昼休み。

真条は今屋上にいる。

というのもクラスメートからの質問攻めにすこしうんざりしたので非難したのだ。

 

「なんとなくこうなるとは思ってたけどねー・・・」

 

そう言いつつ空を見る。

いい天気だ、雲ひとつない透き通った蒼だ。

そう思っていたときだ。

 

「マジョラムお姉さま」

 

あぁ、客人が来たか。

しかしあのクラスの質問攻めをどうやってかわしたのか。

大方無視したんだろうが。

 

「貴女相変わらずその呼び方なのねラウラ」

 

真条が振り向くとそこにはラウラがいた。

 

「はい、私たちが、私だけが持つ特別なお姉さまの呼び名ですから!」

 

自慢げにラウラは胸を張る。

 

「別にいいけどね・・・ほかの皆は?」

「はい、全員お姉さまの格闘術を身に着けるために日々訓練してます!」

「だから、私のはただの空手だってば・・・まぁ北辰館でも神心会でもないけどさ」

「ですがお姉さまはあらゆる状況に対応できるためにさまざまな格闘技を取り入れてるのでしょう?我々はその姿勢を取り入れてるのです」

 

こうして真条と話している彼女は本当にうれしそうだった。

 

彼女は過去に真条と戦ったことがあるのだ。

真条が師匠と武者修行の旅をしていたときドイツに寄ったこともあり。

『たまたま』師匠の知り合いがドイツ軍にいたのでそこでIS配備特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」の隊長をしていたラウラと手合わせをしたのだ。

バリアグローブなんてものは持っていなかったので普通に殴りあったのだ。

結果は真条が勝ったのだ、IS戦ならラウラに軍配が上がりそうだが肉弾戦はこなしてきた数が違うのだ。

真条に負けてからというものラウラは真条を「マジョラムお姉さま」と慕うようになったのだ。

真条も慕われることはまんざらではなかったりもする

 

「あの時お姉さまに負けてから私の視野は広がった気がします。前の私だったらあの男を見た瞬間殴っていたかもしれません。ですが人はどこまでも強くなれるのだと、変われるのだというお言葉を聴いてから私自身そう思えるようになったのです!」

「貴女も変われた人間の一人だものね」

「はい、教官の存在がなかったら私は落ちこぼれのままでしたから」

「だから一夏さんにあのような言葉をかけたわけね」

 

そう言いながら真条は再び空を見た。

 

「ところでお姉さま・・・」

「なにかしら?」

「どうしてIS学園に入学したのですか?たしかドイツにいたときはISに乗る気はないと言っていた筈では・・・」

「・・・」

 

真条は空を見つめたまま動かない。

その虚ろな瞳は蒼い空を映していた。

だが彼女が見ていたのはその遥か彼方の宇宙だった。

 

「・・・必要になったからよ」

「必要?それはいったい・・・」

「そろそろ休み時間が終わるわ。教室に戻りましょう」

 

そう言いながら真条は扉に向かって歩く。

その後ろをラウラが犬のようについていった。

 

空は雲ひとつなく気持ち悪いぐらいの青空だった。

 

 

――――――――――

 

 

学校が終わり真条は自分の寮へ戻っていた。

途中で自販機がありそこで飲み物を買おうとしたとき先客がいた。

「・・・あら簪じゃない」

「あ・・・真条・・・」

 

簪は少し体がビクっとして反応をした。

 

「あの・・・真条・・・・体、大丈夫・・・?」

 

どうやら簪はこの前の血を吐いたことを気にしているらしい。

優しい子だ、あの後こちらが脅したというのに相手の体の心配をするとは。

 

「大丈夫よ。それに言ったでしょ?あれは口を切っただけだって」

「う、うん・・・」

 

その言葉を聞くと真条は簪の頭に手をのせた。

 

「この間はごめんなさい。でも私にも知られたくないことはあるの」

「え・・・」

「あの時の私はすこし切羽詰ってたのも事実だったのよ。あんまり気にしないほうがいいわよ」

 

そう言って簪の頭を撫でていると徐々に紅くなっていった。

 

(なんか面白い・・・)

 

しかしいつまでもこうしているわけにもいかない。真条は手を簪の頭から下ろした。

 

「あ・・・」

「ん、なに?」

「え、なんでもない・・・」

 

そう言うと簪は早足で自分の部屋に戻っていった。

 

「・・・まぁいいか」

 

真条は自分の部屋にむかって歩いた。

 

 

――――――――

 

 

「パトラ子ー。帰ったわよー?」

 

自分の部屋だがルームメイトがいるしノックする真条。

 

「は~い~おかえりですぅ~」

 

中から気の抜けた声がする。

相変わらずだなと思った真条が扉を開けると。

 

「お、遅いわよラム!もう少し早く帰ってきてよね!」

 

そこにいたのはなぜか凰であった。

 




パトラ子は部屋の奥でぐうたらがデフォ
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