真実を知るもの   作:なす水島

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「選んだ道」

彼女は僕にこういった。

 

選択肢はあるがお前の幸せはこっちに来ることだ。

 

それは非常に打算めいて。

 

でも溶けそうなほどの甘美な誘惑で。

 

でも。

 

どうして貴女はそんなに・・・・・

 

 

―――――――――――

 

 

「一緒に・・・ラムさん、それはどういうことなんだ?」

 

一夏が真条さんに質問する。

彼は知らない。

自分が今の家族を捨てれば彼女に保護されることを。

 

「あぁ、一夏さんには言ってませんものねぇ。シャルロットさんさえよければ彼女は真条家の人間として生きることができるのです」

「そんなことが!?」

「我々は来るものを拒みません。戦いの果てに孤独になった人間も。裏切られ帰る場所がなくなった人間も。その辺の野良犬だろうが能力があれば家族として生きていけるのです」

「じゃあ、シャルロットが合意さえすれば・・・」

「えぇ、彼女は真条家に受け入れられ過去のしがらみなんてすべて捨てられるのです。」

 

そう、それは僕も望んでいること。

誘導されているところもあるが、彼女の暖かさはきっと自分の家族のようなものよりも心地よいもの。

僕がはい、といえばこの話は終わる。

 

 

だけど

 

 

「ねぇ、真条さん・・・・」

「なにかしら?」

「どうして・・・」

 

彼女は気付いていないのか?

ならば僕が伝えよう。

 

 

「どうしてそんなに辛そうな顔をしているの・・・・?」

 

 

そう言うと真条さんは自分の顔に手を当て無表情になる。

 

「・・・・私はそんなにひどい顔をしていたのかしら?」

「うん、うまくいえないけど何かをこらえるような・・・そんな感じだったよ」

 

まるで・・・何かに謝るかのような顔だった。

彼女が何を考えているかなんて私にはわからない。

 

でも、僕は彼女にそんな顔をさせたくは無い。

彼女は言った「あなた次第」だと。

 

 

なら僕は彼女を支えて笑顔にしよう。

あの時彼女が抱きしめてくれた温もりを今度は僕が彼女にあげよう。

 

 

それが家族だと思うから。

 

 

―――――――――――

 

辛そうな・・・・か。

そんな顔を私はしていたのか。

 

冷徹になりきれていない。

彼女を身内に引き込み「守るべき存在の一人」にし、自分の戦う決意を固める。

そうでもしなければ寂しさに負けてしまいそうだから。

 

私だって人間だ。

使命を全うする機械であればどんなに楽なことか。

 

家族が増えて楽しく過ごせたっていい。

シャルロットが家族になるのだって純粋に楽しみにはしている。

 

 

だが・・・・

 

 

家族に招いた私が彼女をいずれ置いていくことになるのだ。

身勝手。

あまりにも身勝手だ。

 

彼女は温もりを求めて真条家に来るのだろう。

私がその温もりをあげようとは思っていた。

 

しかし自分はどうやら使命からは逃れられないようだ。

戦いとソレを続行するためのクスリ。

 

遠くない未来私は姿を消さなくてはならない。

それはもう変えられない未来。

完了された未来なのだ。

 

 

 

「・・・真条さん?」

 

考え事に浸っていた私をシャルロットが声をかけてきた。

少し現実から離れていたらしい。

口が止まった私を彼女が不安そうに見ている。

 

「なんでもないわ」

「そうはみえないけど・・・」

「でもソレは今の話には関係ないのよ」

 

関係はあるのだが言わない。

彼女が心変わりするかもしれないからだ。

最低だろうがなんだろうが彼女を引き入れることには変わりは無いのだ。

 

「真条さん・・・」

 

シャルロットがこちらを向く、その目は決意が秘められている。

あぁ、そろそろね。

 

「僕は、シャルロットは、貴女の家族になりたいです・・・」

「・・・・そう」

 

ほら、やっぱりこっちに来た。

そういう風に誘導したんだもの。

当たり前・・・

 

「そして・・・真条ラムさん、貴女を支えて生きたい!」

「・・・・支える?」

「そう、僕は貴女に誘導されて家族になるんじゃない。僕自身の意思で貴女と生きていきたいから家族になるんだ」

 

支える?

私を?

 

「元の家族はいいのかしら?」

「・・・未練がないといえば嘘になるよ。でも、僕は決めたんだ。貴女と一緒に歩いていくって・・・」

 

あぁ、この子は思ったより強い子だったのか。

さっきの私を見て、弱さを悟られた。

彼女が出した答えは、私の予想を超えた。

流されるだけだった少女は。

確固たる意思をもっていま立ったのだ。

 

 

 

 

 

なればこそ。

彼女は私が守らねばならない。

 




話が全然すすまない~ハァ~ベンベン
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