さて、特訓でいい汗を流したことですしそろそろ寮に行きますか。
そういえば寮では基本二人部屋でルームメイトがいるんでしたね。
初めて会う人になるかもしれませんが、良好な関係を築けるといいですね。
そんなこんなで自室の前に来ました。
いきなり入るのは失礼に値しますからね、ノックは基本ですよ。
コンッコンッコンッ
「は~い~」
中からなんとも間延びした不思議な声が聞こえた。
この声・・・何処かで聞いたような・・・
とりあえず名前を名乗ってから入りますか。
「この部屋に入ることになった真条ラムです、中に入ってもよろしいでしょうか?」
「い~よ~」
許可が出たのでとりあえず入りましょうか。
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「改めまして、貴女のルームメイトとなる真条ラムと申しますどうぞよろしく・・・」
「あー真条さんですぅ~」
自己紹介をして相手の顔を見たときに分かった。
「・・・あら、パトラ子じゃない」
「は~い~久しぶりですぅ~」
どうやら私のルームメイトはこの少女「クレア・パトラー」のようだ。
彼女は私が空手を教えてくれた師匠と世界中を旅しているときにエジプトで知り合ったのだ。
おかっぱ頭でおっとりしつつ幼い顔つき。
いつもホエホエしていてなかなか可愛げのある子である。
彼女はパズルが大得意で結構その手の大会に出てるとか何とか。
後はコスプレが好きとか何とか。メイド、ナース、バニーガールなんでもござれだ。
ついでに彼女は基本的に「パトラ子」という愛称で呼ばれていることも言っておく。
そんな彼女と再開するばかりかルームメイトとなるとは、世界は案外狭いのかもしれない。
とりあえず彼女はベッドの上でくつろいでいるので私は部屋に届けてある自分の荷物を整理した。
たしかもってきた物は包丁、フライパン等の調理器具。調味料や紅茶。後は生活用品と本ですね。
うむ、われながら居たって普通だ!
もう少し趣味でも持ったほうがいいかしら・・・
「真条さん~、そういえば代表決定戦に参加するんですってほんとなのですぅ?」
案外耳が早いですね、クラスは別なはずなのに。
「一応本当よ。私は専用機もないしISに関しては素人みたいなもんなんですがねぇ?」
「でも戦いに関しての経験はとても豊富ですぅ~」
「まぁ今回の件で私が有利なのは本当に経験だけなのよねぇ・・・訓練機はどうも予約いっぱいみたいですから練習もロクに出来ませんしね」
本当にそこが痛い。やはり今日やってた跳躍格闘の特訓だけではどうしてもISの感覚がつかめないのだ。
手足の延長とイメージすればいいとのことだが試験で動かしただけでは大まかな動きは出来ても今日みたいに間接をフルに使った動きは難しいだろう。
となると策略で攻めるしかない。
しかし生半可な策略ではISには通じないだろう。精神戦に持ち込めばオルコットさんの性格だ。
煽れば冷静さは失いそうだが・・・
織斑さんについては・・・ただ思いっきりぶん殴れば何とかなりそうな雰囲気がありそうだがどうなることやら。
「対策を考えるのはいいですがまだ時間はあるのですよ真条さ~ん」
パトラ子にそういわれてハッとした。
そうだ、確かに代表決定戦まで一週間あるのだ、ならばフィールド、敵機体、パイロットの性格など細かい情報は何も無いのだ。
となればそんな何も無い状態で練る策などたかが知れている。
「確かに貴女の言う通りね、今はとりあえずゆっくりしましょうね」
「いえいえ~」
やはり持つべきは友ね、自分には無い視点、考えがあるのだから。
「お礼はプチカラットの宝石がいいですぅ~」
・・・・前言撤回やはり頂点に立つのは常に一人ね。
「プチカラット」は比較的安価で宝石を売る店だ。
安価といってもそこは宝石、ただの学生なら財布は心細くなるだろう。
「馬鹿なこと言っていますと正中線五段突きしますわよ?」
「決闘でお金有り余ってるくせにケチですぅ~」
む、確かに決闘で稼いだお金って全然手をつけてないんですよね。
だって私まだ学生ですし、将来のためにためるのはありでしょう?
そんな馬鹿なことをお互いに話し今日という日はは終わりに近づくのであった。
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「真条、ラム・・・でしたわよね・・・」
今日、あの世界で唯一ISを動かせるという男「織斑一夏」と口論をしているときに割って入ってきた人物。
一見するととても不健康な肌の色をしていて、病弱そうな人物だったのだが彼女から発せられた言葉は衝撃的な内容だった。
日本ではストリートファイトが流行っているとは聞いたことがある。
同時に決闘しているものは安全面も確保されていると聞いたのだが今日あの少女が言ったことを思い出す。
『こと決闘に関してはルールをしっかりと決めないと殺し合いに発展しかねません。』
『原則として眼突きや金的といった急所を狙うやり方はしないようにしたほうが良いと考えます。見たところ二人はあまり決闘慣れはしていないようですのであまり怪我をしないほうがいいでしょう。』
まるで経験したかのような物言いであったのだ。
つまり彼女はその殺し合いを経験したことがある?
国家代表候補生である自分ですらそんな経験は無い。
「恐ろしいですわね・・・」
まだそうだという確信は無いが、頭から否定できないのも確かである。
自分の実力なら織斑一夏なぞすぐに倒せる、むしろ注意するのは真条ラムなのかもしれない。
「ですが、そんな彼女がどう戦うのか・・・それは楽しみですわね・・・」
セシリア・オルコットのつぶやきは誰にも聞かれること無く空へと消えた。
ルームメイトをゲストキャラにすることにより話を進めやすくするという暴挙に!
原作キャラとのからみを期待していた人には申し訳ないですが、
これが最善の策なのです!許して!