挨拶代わりに
とにもかくにも、動かないとこのまま死んでしまう。不良達にボコボコにされ痛む身体を起こし、フラフラと歩く。
しばらく歩いてると、見覚えのある女性がいた。
「わわわっ!ちょっ!まってえぇえ!」
ユメ先輩である。手に持っていたであろうビラはそこかしこに散らばり、風に飛ばされて酷いことになっている。
(ユメ先輩が生きてる世界線に来たのか…?いや、制服着てるってことは多分過去か。)
「やー、助かったよ。拾うの手伝ってくれてありがとう!…どうかな、君もアビドス高校に入らない?」
お礼ついでに勧誘してくるユメ先輩。この人も案外図太いところあるよな…
青髪巨乳は図太くなる縛りでもあるのか…?(某アリウススクワッド)
「どういたしまして。分かりました、入学させてください。」
これも言わば人助けである。おじさんのお手伝いもできるしね!
「やっぱりそうだよね~…ってえええ!!??い、今なんて!?」
「だからアビドス高校に…」
「い、良いのホントに!?何にもない所だよ!?生徒も私ともう一人しかいないし…」
馬鹿正直に言っちゃうんだもんなぁ…そりゃ誰も来ないってもんである。
「ありがとう!これからよろしくね。君の名前は?」
「夢関ケイです。よろしくお願いします、ユメ先輩。」
「先輩…!いつ聞いても良い響きだねぇ!」
感極まるユメ先輩。
「じゃあ早速案内するよ!ホシノちゃんびっくりするぞ~」
「電車で行くんですか?」
「うん、結構遠いからね…あ、駅弁買おうよ駅弁!お腹空いたでしょ?」
なんと気の利く女性であろうか、俺感動。
「あー…すみません僕、お金なくて…」
「だーいじょうぶ!ここは私が奢ってあげよう!…あんまり高いのはやめてね?」
自分達も相当切り詰めてるだろうにほぼ初対面の不審者に弁当を奢ってくれる天使、いや女神。おじさんが心配する気持ちもよく分かる。
迷惑をかけたくは無いが腹が減って仕方がないので、ありがたく栄養バーを買ってもらう。
「ほんとにそれで良いの?お弁当じゃないじゃんそれ。」
「少食なもので…」
「先輩感心しないなぁ…若い内にもっと食べとかないと!」
バシバシと背中を叩いてくるユメ先輩。おぉう、前時代的スキンシップ…ちょっとおじさんっぽさを感じる。こういうとこをエミュってるんだろうなぁホシノちゃん…
電車が止まるまで、質問責めの嵐に遭った。
俺の親の話になったら急に黙り込んでしまったユメ先輩。どうしたんだろう?「(この世界には)いないです」って答えただけなんだが…
会話が止まり、気まずい空気が流れる中、ようやく電車が停まった。
「あっここで降りるよ。ほら、もう見えてるでしょ?あれがアビドス高校だよ!」
「…というわけで、新入生の夢関ケイ君です!趣味はお絵描きなんだって!ケイ君、こっちはホシノちゃん。ちっちゃいけど君の先輩だよ!」
「ちっちゃいは余計です…それとお前、何企んでるのか知らないけど、怪我する前に帰った方が良いよ?」
いきなり敵意剥き出し尖ったナイフおじさんである。殺気が気持ちええんじゃ~^
「(ガン無視)そういえばユメ先輩、入学試験とか受けなくて大丈夫なんですか?一応…」
「あー…あったような気もするけど…まあ無しで良いy」
「じゃあ、私から一本取れたら合格ってことで。私が勝ったら、今すぐ帰ってくれる?」
「もー!ホシノちゃん!折角来てくれたのに…」
「怪しすぎるでしょう…わざわざこんな高校を選ぶ意味が分かりません。」
俺が!お前に!勝てるわけねェだろうが!
「早くかかって来なよ。」
「ふっふっふ…ハンデ下さい。」
なんなんだこいつは?みたいな顔をするホシノちゃん。そんな表情するっけ君…
「…分かった。じゃあ私はここから1歩も動かないから、さっさとかかってきて。」
「ホシノちゃん、それは流石に舐めすぎじゃ…」
いや、案外妥当だと思います。
てか一本取れたらって何?剣道的な?
…待てよ、ここでガチで殴りかかったら俺はクソヤロウ認定されるだろう。
ここは創作のイケメンキャラのように、素早く頭ポンポンして仲間認定コースを目指すべき(可能かどうかは別とする。)
「行きますよぉ!行く行く!」
構えるホシノちゃん。勢い任せに突っ込もうとするが、次の瞬間視界が暗くなる。
そして痛い!主に顔面が痛い!
「な…何をしたんですか!動くのは反則じゃあ…」
「いやケイ君が勝手に転んだだけだよ」
勢い良く飛び出したは良いものの、顔面から転ぶという失態をお見せしたらしい。
恥ずかしさをかき消すように顔を上げる。
ここで、今の状況をおさらいしよう。
ホシノちゃんに飛びかかろうとしてずっこけた俺。もう少し前には直立不動のホシノちゃん。
顔を上げた先には…
「白ッ!!」
思わず叫んでしまう。
決して邪な感情はなく、清き決闘の場での事故である。どうか許して欲しい。
「なっ…!なっ…!なぁあぁあ!?」///
みるみる真っ赤になり、スカートを押さえるホシノちゃん。いかに戦闘のエキスパートといえど、そういうところは女の子だn
思考を纏める前に顔面に蹴りを入れられる。
「変態っ!変態っ!死ねっ!死ねっ!」ゲシゲシ
地べたに伏せた体勢のまま、乙女チックな恥じらい攻撃を食らい続ける。
普通のラブコメなら「いてて…」ぐらいで済むところが流石はキヴォトス人。もはや喋る余裕など無いのである。
「そ、そこまでー!」
一方的な蹂躙にストップをかけるユメ先輩。
「先輩!さっさとこの変態を追い出しましょう!さあ早く!」
「いや、今回の勝負、ケイ君の勝ちで~す!」
死にかけの俺の右手を持ち上げ、満面の笑みの先輩。何故俺勝利?
「…はぁ!?なんでですか!そいつは…」
「だってホシノちゃん、滅茶苦茶動いちゃってるじゃないの」
「んなっ…」
ハンデとユメ先輩に助けられ、無事にアビドス組の仲間入りを果たせた。
「はい、これでケイ君も今日からアビドス高校の生徒です!入学おめでとう!」
「ありがとうございます!」
「…動かないとは言ったけど、別に動いたら私の負けとは言ってないし…」ブツブツ
「ほら、ホシノちゃんも!拍手ー!」
これ程殺意に満ちた拍手を、今後贈られることはないと思う。これ俺大丈夫か?最悪殺されない?
夢関ケイのヒミツその①
前世でいじめられまくっていたお陰で、身体は痣だらけ。
その②
汚いもの扱いされすぎて常に手袋をしている。自分も自分が汚いものであると割と本気で思っている。
今作は長編ものというよりは、多数のルートがある感じのやつにしようと思っています。ですので、ケイ君を簡単に殺せます。お話作りが楽で助かる~
基本的に
出会い→仲良くなる→(^^)
の流れで行こうと思っています。