暁美ほむらを(まどほむ的な意味で)幸せにしたい!   作:百合に挟まらない女

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何故続いてしまったのか。

 オーケー。冷静に……そう、KOOLになれ東雲悠里。あ、これは誤字ではないよ。バイブスって奴だ。分かる人にだけ分かればいい。

 

 暁美ほむらのことを好いているか、だって? そんなもんYES以外の回答は用意されていない無駄な問答だ。まどマギでそれまでの美少女アニメ観を吹っ飛ばされたオタクなら皆そう答えるに違いない。

 子曰く、ほむらちゃんを嫌いなオタクなどいない──とのことだ。

 

 健気で一途で儚げな暁美ほむらを世界中が愛している。多分、脚本を担当した彼だって可愛い子をいじめたい思春期みたいなノリで過酷な運命を押し付けたに違いないのだ。

 

 だがしかし、彼女が求めている答えは──そう、質問の本質はそこではない。ライクではなくラブの問題だ……と思う。

 

 幾らコミュ力が終わっている上に過去数十年と戦闘だけに命を捧げてきた私とて勘違いしたりはしない。

 つまり彼女は『貴女って私の事を恋愛的な意味で好きな(愛している)の?』と聞いてきたわけだ。多分……わざわざ今更友愛について確認なんてしてこないだろうし。それすら伝わってなかったら悲しいどころでは済まないよ。

 

 さて、私は暁美ほむらを愛しているのだろうか?

 何とも難しい質問だ。画面の前、或いは紙面の前で彼女を見ていたあの頃よりも確実に絆されてはいる、とは思う。感情移入によって生まれた同情と憧憬では言い表せない程の拗れた感情を抱いている自覚はある。

 世界で一番守りたいのは彼女だし、幸せになって欲しいのも彼女だ。これだけは無い胸を張って言える。昔から変わらぬ願い。

 

 ただ、彼女からの愛が欲しい訳では無い。彼女が鹿目まどかと平和に幸せに暮らす世界を見る為なら命を捨てる覚悟がある、というだけの話だ。欲を言えば、二人がイチャイチャしている姿を見るだけの観葉植物になりたい。

 ああ、観葉植物では移動ができないな、常に二人を見張れるような、絶対に手放せない何か──ああ、そうだ。

 

「私はほむらのソウルジェムになりたいんだよね」

「………………は?」

「あ」

 

 ち、ち、違うんだ、口に出す気はなかったの。本当だ、信じて欲しい。

 ほむらのソウルジェムになれば四六時中一緒にいることになって、健やかなる時も病める時もまどほむを余すことなく堪能することができるんじゃないかなって、思ってたらつい……。

 決して邪な──変態的な思考で言った訳では無いのだ。まどマギで目覚めてしまった哀れな百合オタクの、純粋な願いがつい口を出てしまっただけなのだ!

 

「貴方……」

 

 やめて! そんな(どれだけ手を尽くしても毎回魔法少女になっては暴走して鹿目まどかを絶望に叩き落とす)さやかちゃんを見るような目で私を見ないで!

 

「ち、違うの。今のはつい本音が出てしまったというか、内なる欲望がこぼれ出てしまっただけなの!」

「何も違くないじゃない!」

「全然違げーし! 私がほむらのソウルジェムになりたいのは変態的な意味じゃなくて、常にほむらに私を持っていてもらうことで24時間365日まどかと──」

「まどか? 貴女まどかまで狙っているのね?」

「だから違うって!」

 

 まどほむの間に挟まって百合を邪魔する輩が居たら即グリーフシードにしてやると心に決めている私が、まどかを狙う(恋愛的な意味で)なんて有り得ないじゃないか!

 

 全く非道い言い掛かりである。こちとらまどほむを見届ける為に文字通り魂すら捧げているというのに。

 

「どの世界線でもやたらと私に好意的だと思っていたら、そういう理由だったのね……」

「ちーがーいーまーす! 私が目指してるのはあくまでまどほむなの! まどユーとかユーほむとか、そういう『どこに需要あるん?(笑)』ってカップリングではないの!」

「ま、まどほ……何?」

「まどほむだよ、まどほむ。鹿目まどか×(カケル)暁美ほむらの王道カップリング。杏さやとかマミあんもイイけどやっぱりほむまどが一番すこ。なぎマミ? いや、なぎさちゃんとのカプは犯罪臭がしてちょっと……」

「何を言っているかさっぱりわからないけれど、貴女が変態だってことはよく分かったわ。今後はまどかの半径300m以内には近付かないでちょうだい」

「同じ教室どころか校舎にも入れないんだが?」

 

 『私の』ではなく『まどかの』って言ってしまう所にまどほむを感じる。好き。付き合って欲しい……まどかと。

 

「つまり私はほむらとまどかがイチャイチャしているのを眺めていたいだけなんだよね」

「……やっぱり変態じゃない」

「そうとも言うかもしれない」

 

 人様の恋愛模様を眺めてニヤニヤするなんて、冷静に考えなくても変態だわ。いや私は恋愛じゃなくても矢印さえあれば美味しくいただけるタイプなんだけど。

 

「気持ち悪いし理解したくもないけれど、理解はしたわ」

「それは良かった……え、気持ち悪い?」

 

 如何にもショックを受けました、という表情を作ってみる。他人に気持ち悪いなんて言っちゃいけないんだぞほむらちゃん。

 でもまあ気持ち悪いよね。私も『貴方と他の子がイチャイチャしてるのを見たいです♡』とか言われたら連絡先全部ブロックして距離取るもんね。なんでカミングアウトしたんだ私は。ノリって怖い。

 

「……ふふ、貴女そんな顔もできるのね」

「エッッッッ」

 

 オタク特有のハイテンションで色々と誤爆してしまった事への後悔で頭を抱えていると、ジト目でこちらを見ていたほむらが堪えきれなくなったように笑い出す。

 

 やめろ、そんな『しょうがないわね』って顔でこっちを見るんじゃない。軽率に惚れてしまうだろうが。

 私が百合に挟まる男女絶対グリーフシードにするウーマンでよかったな? 命拾いしたぜ、あんた。

 

「貴女が敵にならないなら、まあいいわ。まどかには余計なこと言わないでちょうだいね……ユーリ」

「エッッッッッッ!!!」

 

 過去数十年、フルネームか貴女としか呼ばれなかった私は、推しからの唐突な名前呼びで死んだ。

 神はいなかった。いや、暁美ほむらこそが神であったのだ。完。

 

 

 

 いや、終わらねーよ。ワルプルギスの夜を倒してまどほむを見届けるその日まではな!

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