薔薇庭園に逃げたベアトリーチェは、魔力の消耗が激しく、魔法を使うことさえ、出来なくなっていた。
「魔力の消耗が…影の者を倒さぬ限り、操られ続ける。それは、死者への冒涜だ!」
ベアトリーチェを追っていた秀吉と絵羽が、追い詰めた。
「……妾の最期か。」
諦めた表情で、両手を広げるベアトリーチェに、無表情にライフルを向けて、発砲する。
「させません!」
突然、ナイフが秀吉と絵羽の胸に刺さり、肉体を操っていた影の者が消滅した。
「お主は……シェカ卿!?」
「助かりましたね。ベアトリーチェ卿。」
ベアトリーチェを助けたのは、勇気の魔女シェカだった。
「今更何のようだ!」
「誤解です。確かに、私は儀式をやりましたが…影の者は、私ではありません。」
「影の者はシェカが、呼び出したのではなかったのか!?」
「儀式の生け贄は、一度の死でいいんですよ。生命は玩具ではありません。魔女ではありますがね。」
「なら、儀式を取り止めよ。」
「それと話は別です。黄金郷の扉を開けない限り、私の目的は果たせない。」
シェカの発言に、ベアトリーチェは邪悪な黒い駒を取り出した。
「この駒は何なのだ?」
「私の意思を宿らせた駒。殺意を極限まで、高めさせた駒ですよ。影の者に憑依された人間にしか反応しませんので、安心してください。」
「森の結界を破壊した理由は?」
「あの結界があると、魔法使えなくなるんです。」
「………それを聞いて、安心した。妾は休む。」
ベアトリーチェは姿を消すと、シェカは黒い駒を取り出すと、影の者に変化して姿を消した。
1986年10月4日15時30分
屋敷内を探し回ったが、秀吉、絵羽を発見できないでいる戦人、霧江、留弗夫の3人は、一旦ゲストハウスに戻るために、屋敷を出ようとした。すると、1枚の洋形封筒が落ちていた。
「……魔女の手紙。」
「読むぜ…《秀吉様と絵羽様の遺体は、薔薇庭園にて、お返し致しました。 黄金のベアトリーチェ》遺体だと!?」
「……くそが!?何人殺すつもりなんだ…」
「戦人君。薔薇庭園に行くわよ。」
「………わかった。」
1986年10月4日16時15分
屋敷を出た霧江、留弗夫、戦人は、薔薇庭園にて秀吉、絵羽の遺体を発見する。胸にはナイフが深く突き立てられており、【誰が見ても死亡と確認できる。】
「絵羽伯母さんと秀吉伯父さんは、誰かに連れ去られて、この場所で…殺されたのか。なんでなんだよ!」
戦人は雨に濡れようが、お構い無しに地面に座り込んだ。留弗夫は戦人の手を掴み、霧江とゆっくりゲストハウスに戻った。
ゲストハウスで、出迎えたのは譲治だった。戦人の表情を見て、何かを察したようで何も言わないで、客室に通した。
「………何人殺せば…気が…」
「戦人君…」
「譲治の兄貴…今は、一人にしてくれよ。」
「………わかった。」
戦人は疲れたようで、眠ってしまった。譲治は留弗夫を見て、頭を下げる。
「………よしてくれ。魔女の手紙が入れられてた。内容は《我が名を称えよ》らしいな。」
留弗夫はゲストハウスの見張りに戻った。