1986年10月4日20時
シェカ、戦人は屋敷の方に急いで走っている。だが、シェカは疲れの影響でか、余り早く走れないでいる。
「……ちゃんと、待って。」
「悪い…屋敷に行って確かめないと…」
「でも、ちょっと待って…」
屋敷玄関前に来た戦人とシェカ。すると、何かが焦げた臭い漂ってきた。
「なんだよ、この焦げ臭いのは…」
「屋敷の換気扇が動いてないんじゃ…」
屋敷ホールに飾られているベアトリーチェの肖像画を見ながら近づくと、設置されている碑文の謎の石板を見た。
「戦人君!ちょっと来て…」
階段前にいる戦人を呼んだシェカは、その場に座り込んだ。
「どうしたんだ……あれは、魔女の手紙!?」
碑文の謎が刻まれた石板に、洋形封筒が置かれていた。夜のため、暗くて見にくいが、確かに封筒が置かれている。
「……戦人君。開けていい?」
「俺が開ける。」
封筒から手紙を取り出すと、書かれていた内容は、〈2階貴賓室〉と書かれていて、マスターキー1本が入っていた。
「2階貴賓室……」
「マスターキー?なんで、封筒に…」
「とにかく行ってみるしかない。」
「……わかった。戦人君…手…繋いでいいかな?」
シェカの頼みに、無言で手を繋いで手紙に書かれていた2階貴賓室に向かっている。
「犯人の顔は見てないか?」
「見てない…いつのまにか、気を失ってたから…」
「そうか。」
2階貴賓室に到着すると、扉には赤色のペンキで、魔法陣が描かれていた。
「戦人君…絶対…離さないで…」
「ああ。」
扉は施錠されていて、戦人はマスターキーを鍵穴に差し込んで開ける。室内に入るが、電気をつけていないため、暗いままだ。戦人は電気をつけると、床には血を流した譲治の遺体、奥のベットには紗音の遺体が見えた。
「譲治の兄貴……紗音ちゃんまで…なんで…」
戦人が譲治の遺体に近付こうとしたら、シェカが戦人の部屋から出して抱き締める。
「だめ、戦人君…」
「シェカ…」
「台風が過ぎたら警察を呼べるから…今だけは、だめだよ。」
「………わかった…」
戦人が落ち着くと、貴賓室を出る。
「余り、騒がしすぎると、紗音ちゃんと譲治君が眠れないよ。」
「……………そうだな。」
「扉の裏側に、魔女の手紙があったよ。」
シェカは持っていた洋形封筒を戦人に渡す。破いて、手紙を取り出すと、〈1階客間〉と金蔵の書斎の鍵が入っていた。
「客間と祖父様の書斎。」
「行かないとだめだね。」
「………ああ。」
戦人とシェカは1階客間から向かった。すると、ベアトリーチェが姿を現した。
「妾が戦人の代わりに、見届けようではないか。【紗音、譲治は死亡している】…やはり、赤で宣言できたのか。」
ベアトリーチェは悲しみにくれて、姿を消した
1986年10月4日20時10分
1階客間に到着すると、扉には魔法陣が描かれていた。2階貴賓室と同じ魔法陣である。扉を開けようにも、同じく施錠されていて、マスターキーで、扉を開ける。室内には、南條、源次の遺体を発見した。
「南條先生…源次さん…くそ!」
客間内は、壁に穴が開いていた。遺体の胸を撃ち抜かれている。床には薬莢が落ちていた。
「……【南條先生と源次さんも…死んじゃった…】」
「シェカ。行こう…」
「戦人……」
戦人は泣きそうなシェカを抱き寄せる。安心したのか、戦人の胸の中で泣いた。
「客間から出よう…」
「うん……」
客間から出たシェカと戦人は、金蔵の書斎に向かった。六軒島に生き残っているのは、シェカと戦人の2人だけ。だが、何かに導かれるように屋敷内を歩いている。
「祖父様の書斎だ…」
「ドアノブに…蠍の魔除け…?」
鍵穴に差し込んで、扉を開けて室内に入ると、霧江、留弗夫の遺体を発見した。背中を撃ち抜かれている。銃殺だ。
「親父…霧江さん…も…」
「………戦人君。ベットに…真里亞ちゃんが…」
ベットには真里亞の遺体が。他とは違い、傷などは無く、安らかな表情で死亡している。
「…シェカ。腕に注射の痕がある。」
「……毒殺だね。」
「……この部屋だけは、魔女の手紙が無いな。この島に、生き残っているのは、俺とシェカしかいないよな?」
「………待って、朱志香と嘉音君…お館様を見てない。」
「………屋敷にいる可能性がある。探そう…」
戦人、シェカは、金蔵の書斎を出ていった。