うみねこのなく頃に   黄金の魔女の支配   作:ノック

30 / 61
新EP2 黒き魔術師の宴
ゲームスタート


1986年4月5日8時52分

 

東京にある高層ビルの最上階に、蔵臼と朱志香が来ていた。朱志香の服装は、普段着とは違い、学生服で来ている。

 

「朱志香。この場所に、連れてこられた理由は、わかるか?」

 

「………一応わかるぜ。」

 

少し、暗くなっている朱志香の表情に気にする様子がない蔵臼は、ネクタイを確認して、息を出すと、話始めた。

 

「朱志香には、婚約者がいるのだよ。今日は話し合いだけだが、今年の10月6日には、六軒島を出てその人と一緒に暮らしてもらう。」

 

「………そうかよ。」

 

蔵臼からの無情な発言に、朱志香は平気そうな表情で乗り切った。

 

「さあ。行こうか…」

 

重い足取りの中、婚約者相手がいる部屋に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

1986年4月10日10時

 

東京駅にいる朱志香は、人通りの多い商店街を通り、待ち合わせの場所である喫茶店に到着した。季節は春なのだが、異常気象の原因で、若干暑いようで、相手が来るまでの間にアイスティーを注文する。

 

「遅いぜ。もう過ぎてるぜ…」

 

朱志香がアイスティーを飲みながら、待ちくたびれていると、ジャケット姿の戦人が走って喫茶店にやって来た。待ち合わせの相手は、戦人のようだ。

 

走ってきたため、少々疲れているようだ。そんな戦人を笑いながら、メニュー表を見せる朱志香。

 

「譲治の兄貴から聞いたぜ。六軒島から出るんだってな?」

 

「父さんが勝手に決めたことだぜ。私は嫌だったのによ…」

 

朱志香の父、蔵臼は事業に失敗して各地に投資するが、失敗の連続であった。その上、他所からの借金もあり、窮地に追い込まれたのだが。朱志香を婚約者として、迎え入れれば借金を肩代わりするという。その男性は朱志香より5歳上で、会社の社長をしている程だ。

 

「いくら六軒島から出たくても、父さんの生け贄は嫌だぜ…」

 

「………悪い。朱志香、聞かなきゃよかったかな?」

 

「戦人は悪くないぜ。悪いのは、全部父さんだ……」

 

朱志香と戦人の間に息苦しい雰囲気になっていると、息抜きをするために戦人を誘ったのだ。朱志香は悪いことを忘れるため、戦人と一緒にゲームセンターに向かった。

 

 

 

1986年4月10日12時50分

 

ゲームセンターで一通り遊んだ朱志香と戦人は、お昼を食べるため、近くにある喫茶店に入った。お客は少ないので、近くの席に座りメニューを決める。

 

「何とかならないのかな?」

 

「どうしたんた。朱志香…」

 

「破綻にならないかな…」

 

朱志香は戦人の手に触れているが、それを気にする様子がない戦人に、少し機嫌が悪くなる。

 

「……死ねば破綻になるよな。」

 

小声で呟いた朱志香に、戦人は手をつねったので、痛みが走った朱志香は、戦人を見る。

 

「そんなこと…言うんじゃねえ!」

 

「戦人……」

 

いきなり、怒鳴ってきた戦人に動揺している朱志香。死ぬ発言に怒った戦人は、冷たい水を飲んで冷静になると、落ち着いていった。

 

「朱志香…死ぬなんて、言葉は二度と使わないでくれ。」

 

「…………わかったよ。今日はありがとな戦人。いつもは、学校以外で六軒島から出られないから、普段通りで過ごせないし…」

 

「良いぜ。俺も楽しかったしな。高校での朱志香は、真面目らしいじゃんか。」

 

朱志香は高校では、生徒会長をしている真面目な面があるが、普段は男勝りな言葉遣いで、母の夏妃に注意されている。

 

「………そろそろ帰るか。朱志香…」

 

「船の時間もあるし…わかった。」

 

 

 

 

 

船着き場に到着した朱志香と戦人は、青く透き通した海を眺めながら、船を待っている。

 

「8月は疲れるから嫌だぜ。」

 

「何がだよ?」

 

「文化祭だよ。演劇しなきゃならないんだぜ…」

 

「朱志香は演技とか手品得意だったよな。髪も束ねたら印象変わるしな。」

 

「やめてくれよ!?シェカにも言われて、るんだぜ…」

 

「ある意味似た者同士だよな。二人は…」

 

楽しく雑談している内に、船が船着き場に到着したようで、朱志香は六軒島に帰っていった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。