1986年10月4日9時30分
私、古戸ヱリカは、右代宮家の方々と船に乗って、六軒島に向かっているところです。何故ならば、予定していた旅行が急遽延期になってしまったのです。何やかんやで船に乗せてもらえることになりました。天気がいいので、船旅日和ですね。
「ヱリカちゃん、災難だったね。2日間は帰れないんだっけ?」
「恥ずかしながら…途方にくれてましたので。」
私が苦笑すると、譲治さんは甲板の方に行きました。船内で、体を丸まったような状態で寝ているのは、戦人さんですね。乗り物が苦手のようで、船内に留まってます。
「ヱリカお姉ちゃんは、魔法信じる?」
私に質問してきたのは、真里亞さんです。その質問から察するに、魔法を信じているようです。以前までの私なら、存在しないと言い切りますが…
「そうですね。人によると思います。私は…魔法が存在したら、面白いと思いますよ?信じるかどうかまでは、わかりませんが否定は…悪魔の証明ですので…もし魔法があるならば、解明したいですね。探偵ですから。」
すぐに、否定しないでやんわりと真里亞さんに言ったら、可愛らしい笑みを浮かべました。
「ヱリカお姉ちゃんは、魔女を否定してない?」
「見たことありませんが、否定は出来ませんよ。証明する方法があるなら、魔女を見てみたいですね。」
「うーヱリカお姉ちゃんは、魔女の呪いにやられないね。魔女は否定する人間を呪うから…」
「それは怖いですね。」
私と真里亞さんが会話を楽しんでいると、真里亞さんの母親である桜座さんがやって来ました。
「真里亞!魔法や魔女の話しはしないって、約束したでしょ!何で、約束守れないの!」
「でも…」
「真里亞。こっちに来なさい!ヱリカちゃんもごめんなさいね。」
私に一言謝罪すると、真里亞さんを連れていきました。複雑な家庭なのでしょうかね。
ゲーム盤が一時停止されると、ヱリカは戦人を睨んでいる。駒ヱリカの扱いに文句があるようだ。
「何ですか!?駒の私の扱いが、変なんですけど!?」
「お前が操作できるのは、六軒島に到着した後だ。赤で宣言してないしな。船の中で、駒を動かしても意味無いだろ?伏線はちゃんと用意するから許せ。」
戦人の言葉に、ストレスが爆発しそうなヱリカだが、船内はまだ、ゲームマスターである戦人の影響下のため、渋々、従うしかない。たが、駒ヱリカは探偵。その視点では嘘は混じらない。
「それはゲームマスターである戦人さんに課せられたルールです。それがなければ、ゲームになりませんから。」
ゲーム盤の進行が再開される。
1986年10月4日9時45分
私は船内で、寝てしまっていたらしい。まだ、海上を進んでいるので、六軒島には到着していないようだ。
(甲板にでも、出てみますか?暇ですから…)
甲板に出てみると、青空が広がっていて、海の漂う潮風を感じた。
「やっぱり、海は広いですね。」(向かうのは、六軒島でしたね。屋敷があると聞いていましたが、台風で島から出られず、殺人事件が発生したら、ミステリーになりますが……余り、考えない方がいいですね。)
青い海を眺めていると、朱志香さんが声をかけてきました。
「やっぱり、海は広いぜ。ヱリカさんはそう思わない?」
「確かにそうですね。朱志香さんは、六軒島に住んでるんですよね?島暮らしのことを聞いても?」
「……別に構わないぜ。無人島なんだよな…元は。私の感想では、窮屈だな。学校に行くには、船で行かないとだめだし…私にとって、六軒島は檻の中…自由に外から出られない……かな。私の感想では…」
「ごめんなさい。」
「謝らなくてもいいぜ。六軒島に到着したら、島を案内するからな!」
「楽しみにしてますね。」
朱志香さんとの会話を終えた私は、六軒島に到着するまで、海を眺めてたのでした。