1986年10月4日19時
屋敷の食堂に、蔵臼、夏妃、朱志香、絵羽、秀吉、譲治、留弗夫、霧江、戦人、桜座、真里亞、南條、ヱリカの13人が、夕食を食べていた。
「それにしても、ヱリカはお箸を使って、魚を食べるのか?ナイフとフォークは使わないのかよ?」
私の食べ方に、疑問に思ったようで、戦人が聞いてきました。
「日本人なら、お箸を使いましょうよ!」
「でも、ヱリカちゃん。シチューは流石にお箸は使わないわよね?」
霧江の指摘に、私は何も言えなくなってしまいましたので、魚を食べて誤魔化しました。この行動に、皆は苦笑をして、その場は収まりました。
私は皆の反応を見るために、少しだけ、仕掛けることにしました。
「右代宮家当主である金蔵さんと、お話がしたかったのですが、晩餐には参加なされないのですか?」
金蔵の名前に反応したのは、蔵臼、夏妃、南條の3人だけでした。他の人達は、金蔵が死亡していることを知らないようです。
(この反応で、あの3人が金蔵死亡の隠滅の共犯だと、わかりました。過去のゲームと余り変わりませんね?違っていたのは、碑文の謎の石板が無いことですね。今回の戦人さんのゲームでは、碑文の謎は関係無いのでしょうか?)
水を飲んでいると、絵羽が蔵臼に質問していました。やはり内容は、金蔵のことのようです。
「親父殿は、書斎で食事中だ。静かに食べたい時もあるだろう。」
皆が食事を終えると、真里亞が私に視線を向けています。手紙を読んでも良いか気にしています。小さく頷くと、真里亞が立ち上がりました。
「どうしたのよ…真里亞?」
「ベアトリーチェからこの手紙を貰ったよ!」
手提げ鞄から、片翼の鷲の紋章の洋形封筒を取り出した真里亞に、蔵臼、留弗夫、絵羽、桜座の4人の表情が、一瞬変わりました。
「その封筒をベアトリーチェから貰ったのか?」
「ちょっと待って、そのベアトリーチェと名乗る女性を見た人はいるの?」
「蔵臼伯父さん達には、悪いんすけど…俺、ヱリカ、紗音ちゃんが証人になるぜ。実際に、ベアトリーチェと名乗る女性を見たので…」
戦人の発言に、仕方なく私も見たことを報告しました。
「確かに、私もその女性を見ましたよ。」
「なんやって!?何で、言わんかったんや!?」
「私は次期当主である蔵臼さんか、現当主である金蔵さんが、皆を驚かすために呼んだ来客かと思ったので、言わなかったのですが…違うんですか?」
私の理由に納得した秀吉は、蔵臼に問い詰めるが、当然ながら蔵臼は、ベアトリーチェの存在など知るわけがない。
「私が知るわけないだろ?」
「なら、お父様が呼んだのかしら?」
「真里亞さん。手紙を読んでもらえますか?」
私が真里亞に頼むと、手紙を読み始めました。
「〔右代宮家の皆様。私は右代宮家顧問錬金術師、黄金の魔女ベアトリーチェです。現当主、金蔵様との契約期限が切れましたので、貸し付けていた黄金の回収に参りました。ですが、それでは皆様が納得なされませんので、ゲームを開催致します。
このゲームで、私を捕まえることができたなら、回収を放棄致します。制限時間は、5日24時まで… ただいまより、利息を回収致します。時間切れの場合は、私の勝利となります。引き分けはありませんので、御了承ください。
黄金のベアトリーチェ〕」
「利息の回収だと!?」
「お父様に聞いてみましょう。子供達は、ゲストハウスに戻りなさい。」
私、戦人、譲治、真里亞、朱志香、嘉音、南條の7人は、ゲストハウスに戻ったのでした。