お茶菓子を食べながらチェスをしている縁寿とフェザリーヌは、物語の考察をする。第一の晩~第四の晩を読み終えたばかりである。
「バトラの物語は、やはり狂言殺人が組み込まれているな。第一の晩は密室殺人のようだが、客間は施錠されていないようだな。」
「ミステリーなら、御粗末かしら。考察するほどでもないわね。既に、ヱリカは第一の晩を解いてるから。」
「バトラは第一の晩などは、遊びだろうな。」
「【ベアトリーチェが真犯人である】で、確定してるから、隠す理由もないわけね。」
溜め息している縁寿は、第ニの晩の考察をする。
「蔵臼と夏妃は第ニの晩であるが、この時は死亡は確定していない。」
「その後よね。父さん、母さん、朱志香お姉ちゃん、譲治お兄ちゃんのゲストハウスからの失踪事件。」
「この失踪の真相は、駒戦人がヱリカに説明しているな。」
フェザリーヌは物語内で、駒戦人の推理をヱリカに提示している描写に注目している。
「駒戦人の推理が答えであるな。」
「お兄ちゃんは何がしたいの?」
「私にもわからぬ。だが、戦人はヱリカのゲストハウスの籠城を崩すためだけに、6人をゲストハウスから失踪させた。殺人事件の布石にするためだろう。」
ゲストハウスの籠城が、機能しなくなったため、生存者全員が、失踪した6人を探すために、屋敷に向かうことになる。
「ここまでは、狂言シナリオの通りだろう。」
「不可能殺人ではないわね。この物語なら、お兄ちゃんの考えていることがわからないわ。」
「言い忘れていたが、探偵ヱリカがベアトリーチェを目撃時には、紗音がいた。だが、戦人は赤き真実で、【紗音人格は、ベアトリーチェ人格に抹消された】と、宣言している。探偵ヱリカが目撃したベアトリーチェは、何者なのだろうか?」
フェザリーヌの発言に、縁寿は物語を読み直して、確かめると、ヱリカは赤き真実で【ベアトリーチェを目撃時…私と一緒にいた戦人、紗音の2人は、真里亞に手紙を渡していません。】と、考えている。この赤き真実は、探偵ヱリカ視点の目撃のため、有効である。
「真里亞お姉ちゃんに、手紙を渡したベアトリーチェは、誰なのよ?」
「それはわからないが、真里亞がベアトリーチェは、他の人間に憑依することができると、ヱリカに話しているため、これを手掛かりとした場合は、紗音以外の女性がベアトリーチェに変装したとしても、ノックス第10条には違反しない。」
「それじゃ【この物語には、ベアトリーチェが2人存在している】ことになるわ。赤き真実で、宣言できているから…」
「そうなる。戦人の考えたロジックは、ベアトリーチェを2人存在させることだろう。ベアトリーチェに変装して、名を名乗れるのならば、ヱリカはこのロジックを解くことは、難しいだろう。ヱリカはこのロジックの手掛かりを手に入れているが、気づけなければ、意味がない。」
「悪質なロジックだわ。アンフェア過ぎないの?」
「戦人は物語内に手掛かりを配置した。ヱリカは手掛かりを手に入れているため、アンフェアではない。伏線が…無理矢理過ぎるが。」
お茶菓子がなくなったので、チェスを中断して、一旦フェザリーヌは姿を消した。
「……ヱリカは探偵だから、その視点は真実なのよね。お兄ちゃんの考えたロジックは、まだあるかもしれない…」
縁寿は物語を再度、読み直すのだった。