大ドイツは異世界でも生存圏を作りたい!   作:ちんすこー

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ドイツにはロマンが詰まってる


ドイツ異世界に行く
ドイツ異世界に行く


ドイツ極右組織公式webサイトより

 

 

我々は勝利した。

 

おごり高ぶった大英帝国の栄光を根底から破壊した。

ゲルマン人の生存圏に違法に居座るソビエトの共産主義者を駆逐した。

傲慢にも自分が世界の中心にならんとした植民地人の自由主義者をマンハッタン諸共吹き飛ばしてやった。

 

我々は再び栄光を掴んだ。

 

奴ら連合国は先進国としての義務を放棄し、あろうことか国際ユダヤと結びつき我々を攻撃してきたのだ。

しかし、我々は負けることはなかった。負けたのは既得権益に溺れる帝国主義者と教会の連中だけであり我々の闘志に打ち勝つことは出来なかった。我々はヒトラー総統の名の下に立ち上がり再び真なる栄光をその手にした。

 

我々は世界を覇権する。

 

東には生存圏を、西には大洋を、北にはゲルマン民族の箱庭を、南には共に歩むべき友を。

極東に存在する黄色い毛無猿は我々に媚び諂い、見事その膝を屈するだろう……

 

だが、実際はどうだ?

我々は世界の覇権を支配できただろうか?

それどころか我々の覇権は縮小し続けている。

 

これも、民族的精神の欠片もないユダヤ人どもの仕業である。

そして、やつらを匿い協力する黄色人種どもも同罪だ!

 

今日(こんにち)のライヒの現状は芳しくない。

 

国内には敗北主義者と自由主義者に溢れている。

国外に目を向ければ、西と東には復讐主義者どもが腐った納屋に籠り、南の友は悲しいことにユダヤ人にたぶらかされてしまった。

 

これも全てはドイツを堕落させた敗北主義者のシュペーヤ派のせいだ!

 

ヒトラー総統の言葉を借りよう

 

ドイツ(ゲルマン)人は自立する!』

 

ドイツよ今こそ立ち上がる時だ!

ゲルマン民族のゲルマン民族によるゲルマン民族の為の楽園を作り上げる時だ!

 

再び奴らに思い出させてやろう。

我らの軍靴が奏でる音を、火砲が奏でる美しい響きを、キャタピラが鳴らす心地いいリズムを……

 

陸から、空から、海から

全てを蹂躙しよう。

 

大義は我々にある。

奴らに正義の鉄槌を下す時だ!

 

これは天の意志である。ゲルマン民族は神に祝福されているのだ!

我々は最終勝利を手に入れる。

そう、すべてはゲルマン民族のくぁzwsでdftgyふじこlp―――――――――

 

 

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現在、大ドイツ国は混乱に包まれている。

 

2033年3月23日

ちょうど100年前、全権委任法が成立しヒトラーの独裁体制が整った年。

かつては世界を二分した大国ドイツ、そこに住まう人々は今日も普段通りの生活を送るはずだった。

 

時計は正午を刺し、気温が低いながらも太陽はそのうちに秘めたエネルギーを遺憾なく地球に発揮する。

天気のよい春盛。

ピクニック気分で人々は外に出る。

そこには日常があった。

 

そんな時、突如空が黒に染まった。

 

夜になったわけではない。

時計を確かめれば確かにお昼時を刺していた。

星や月が見えない。先ほどまで快晴だったのだ、普通なら星が見えてもおかしくないはずである。

しかし、そこには黒しかなかった。

人々が混乱しているさなか、地上に再び光がさした。

 

もちろん人々がこれで納得するはずがない。

すぐさま携帯端末を取り出し、SNSを確認する。

 

繋がらなかった。

 

人々は皆が同時にアプリを開いたため、サーバーが落ちたのだろうと推測し特に気にすることはなかった。

 

 

 

最初に異変に気付いたのは国境付近にいる人々、特に国防軍人であった。

 

ドイツの勢力圏から正式に独立してからというもの敵対心を露わにしているフランスやロシア諸国。

両勢力とも軍事的協調をおこない対ドイツ包囲網を敷いている。

近頃はドイツ侵攻の姿勢を隠そうともせずドイツ国境に軍をならべ侵攻の機会を虎視眈々と狙う状況にもなっていた。

もちろんドイツもそれを座して待つわけがなく、両者とも国境に軍を並べ睨み合いを続けていたのだ。

 

国防軍人からするとこれから殺し合いが起きそうな相手と対峙じている時に、空が黒く染まり、戻ったかと思ったらその相手が消えているのだ。

現場は大混乱だったが、腐っても大国の軍隊。早々に状況を収拾し政府に報告をした。

 

この時、大ドイツ中央政府もまた混乱状態におちいていた。

 

なんといっても情報が錯綜していたのだから。

国境に張り付いている陸軍からはもちろん、海軍からは水平線が拡大しただとか、DLR(ドイツ航空宇宙センター)からは衛星との通信が一切できなくなったとか、外務省からは海外からの通信ができなくなったなどと、にわかには信じがたい情報が多く舞い込んできた。

 

中央政府は国家緊急事態宣言を発令し、行動を始める。

 

大統領はすぐに閣僚を集め会議を行った。

 

現状分かっていることは、空が黒くなり再び戻った時に異変が発生したこと。また、43の大管区と5つの総督府、1つの保護領など俗に外国からはドイツ本国領とされる地域のみが確認されていること。外国はもちろんドイツが管理している衛星とも連絡が途絶えたこと。フランスやロシア諸国の軍隊が消え、国境を越えたあたりでは地形が変化していること。などだけだ。

 

閣僚たちもあくまで政治家であり、専門的な知識を持っている者は少ない、そのため専門家を収集し対策チームを編成した。

それら専門家は現在のドイツの現状や周辺の土地の変化、水平線の拡大、大気中の酸素濃度の変化、星の配列の変化からドイツ本国だけが何かしらの力によって地球とは別の星または、別の世界に転移してしまったと報告。

 

これを受けドイツ政府は、あらたに接続したと思われる土地の偵察を空軍に命じた。

海軍も海運が再開できるように海底の測量を始めることになる。

陸軍は、空軍の偵察が終了したところから精密な調査を行った。

 

その後、3週間ほどかけて新たに接続した大地の測量が終了、おおまかな地理が判明した。

ドイツの接続した大地……大陸は東西に約3600km、南北に約2100km、面積は約730万㎢とオーストラリア大陸とほぼ同じ大きさだった。

ドイツはその大陸の西側の土地に食い込むように転移していた。

また、2つの山脈が確認されスワイツ(スイス)総督府から始まるアルプス山脈に接続する形でドイツの南に一つ、旧ロシア諸国との国境から600kmほど離れたところに一つある。

 

そして、これがもっとも重要なのだが、この大陸で人やそれに類する知的生命体を確認できなかった。

ドイツ政府はそれが分かるや否やこの大陸をパラディス(楽園)大陸と名付けその全てをドイツ領と宣言した。

 

ドイツでは国家の転移が発表された時もっとも心配されたのは食料問題である。

ドイツの食料自給率は65%で、どこかの島国よりかはマシだがとても足りる状態ではない。一応、フランスやロシア諸国との戦争にそなえ大規模な食料生産プラントの建築が急がれていたが、それが完成するのは2年以上も後であり、人間食わないで生きていけるのは3週間が限界だ。

大陸により、将来的には食料や資源の問題が解決することになるが国民が欲しているのは何年も先のパンではなく明日のパンなのだ。

30年前に独裁政権が倒れ民主主義に移行したドイツでは国民の発言力が強い。

できれば、パラディス大陸の開発に注力したかったドイツ政府だったが、国民の声に押される形で空軍に大陸周辺の偵察を実行させることとなった。




・この世界の歴史

前述の通り、この世界線ではドイツや日本が第二次世界大戦に勝利している。
その後、起きた日独冷戦では初期こそドイツが有利だったが次第に日本が盛り返し、ドイツが負けた。
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