本格的な戦闘描写は次話からです。
東京通信社~ドイツ国防軍に迫る~ 日本太平洋連邦軍士官へのインタビューより
『ドイツ国防軍を一言で言うと?』
『難しい質問ですね。え~と、一言でいうならば“不完全な機械軍団”でしょうか』
『機械とは、高度に機械化されているという意味でしょうか?』
『いえ、そういうことではありません。かれら国防軍人が機械のようなのです』
『……?、よくわかりません。詳しく伺いしても?』
『連邦軍の早期離職率をご存じですか?』
『いえ、分かりません』
『連邦軍に入隊してから5年以内に離職する隊員の割合は6割です』
『そんなに!?……それで大丈夫なんですか?』
『離職者よりも入隊希望者の方が多いですからね問題はありませんよ』
『へえ、そうなんですか。これがドイツ国防軍が機械的というのとどのように関係しているのですか?』
『ドイツ国防軍の5年以内に離職する割合は1割未満です。しかも、これは全て最初の1年のみの数字であり、それから10年以内の離職者というのをここ40年の間確認できていません』
『ですがドイツには徴兵制が存在していますよ』
『先程言ったのは志願兵のみの割合です。徴兵はもっとすごいですよ』
『それは……?』
『ドイツの徴兵制度では4年の兵役が課されます。ですが、身体的についていけない者以外はそろってもう4年の延長を自分で申請しています』
『それは異常なことなんですか?』
『とても異常ですよ。いくらドイツの愛国教育が世界で最も進んでいてもこれは異常です。私は一応士官ですから、ドイツの士官とも話す機会をいただくことが数回あったんですよ。その時に見たドイツ士官たちの顔は今でも覚えています』
『何か変だったのですか?』
『彼らは我々のように笑い、泣き、怒る。けれども、それがどうしても外付けされた物に見えるんですよ。それは私だけではありません。他の士官も同様です。そのため、我々士官やそれ以上の者はその異常さから彼らを機械と呼び、それ以下の階級の者はその残虐な戦績とそれに対する無関心から機械と呼びます』
『私も取材の一環でドイツの人とはたまに会いますが、そのようには……』
『普通の人はそうでしょうね。ところでロボトミー手術って知っていますか』
『ええ、脳の一部を切除するあれですか?』
『何でもドイツ国防軍では兵士の恐怖心をなくすためにロボトミー手術を行っている……』
『そんなことが!?』
『まぁ、噂ですけどね』
そして彼は以下のように続けた。
『もし、連邦軍や国防軍と同程度の軍が民兵の集まりを無慈悲に吹き飛ばした場合、我々は虐殺と呼ぶでしょう。ですが、それを実行したのが国防軍なら処理と呼ぶでしょう』
―――――――――――
ロウリア軍対ドイツ防衛線
日が出ていない深夜。
あたりは夜の帳に包まれ、僅かな火元以外、闇と静寂に支配されていた。
上から見ればクワトイネ側を向く鱗のようにポツポツと光が広がっている。
鱗の中でクワトイネから最も離れた位置にあるのが本陣である。
そのテントの中で眠れない夜を過ごす老将がいた。
「パンドール将軍お眠りになられないのですか?」
テントの中に胡散臭い顔をした男がそう言いながら入って来る。
「アデムか……寝たくても中々寝付けなくてな」
「昨日もそのような事を言っておられませんでしたか?」
「何か嫌な予感がしてな、日を跨ぐごとにそれが強くなっている」
「ドイツの侵攻ですか?」
アデムはその胡散臭い顔を歪ませながら言う。
「そうだな。アデム、貴様はまだ納得できていないのか?」
「ええ、やはりドイツの準備が整う前にその橋頭保たりえたクワトイネを陥落させるべきだったと愚行いたします」
国家戦略局よりドイツが懲罰行動を起こす可能性大と警鐘を鳴らされてから、ロウリアでは大きく二つの意見に分かれた。
一つが兎に角防衛に専念し、本土を守るという物。
もう一つがドイツの橋頭保となるであろうクワトイネとクイラを撃破しドイツに備えるという物。
そして、アデムは後者の意見を持つ者であった。
「ドイツの準備といっても精々数か月だ。その間にクワトイネを堕とす確証があるか?それに堕としたとしても我々は反乱を起こすクワトイネの残党とドイツを同時に相手とることになる」
「クワトイネの富を以てして軍を拡充すれば……」
「無理だろうな。第一その富を確保しても兵を育てるのに時間がかかる。それに、我が国はこの規模の軍でもかなり無理をしているのが現状だ。アデムよ、貴様の戦術眼は素晴らしいものだ。しかし、戦略となると途端に弱くなる。そこを鍛えることだな。貴様は三大将軍になるだけの器がある」
「ありがたきお言葉。これから先もこのアデム、精進いたします」
アデムがそういうとパンドールは満足したように頷いた。
「ところでアデムよ。貴様は暗部の掴んだ情報をどう思う?」
「あまりにも荒唐無稽なものかと」
「ふむ、暗部の連中はドイツの防諜網をバカにしてるようだが儂を含む三大将軍や陛下などはそれを信じておらん。恐らくだがドイツの防諜網は相当な物だ、我々を混乱させるために本当の情報と嘘の情報とを同時に流しているのだ」
ドイツの対ロウリア防諜網。これに投入された人員は
ドイツがこの世界に転移した時に最も多くの被害を受けた物の一つに諜報員がある。
ドイツはこの転移により国外に送っていた熟練の諜報員を多く失ったのだ、この穴埋めを早急に行うためドイツはある程度の実力が認められた訓練生を訓練がてら対ロウリア防諜網に突っ込んだのだ。
しかし、それでも人員が大きく不足しているのに変わりはなかった。そこで彼らは正面から完全に情報を守るのではなく、本当の情報に嘘の情報を混ぜたり、本当の情報と嘘の情報を同時に流し相手側を混乱させた。例えばドイツは空を飛ぶ手段も持たない蛮族という情報からドイツの技術力はかの魔法帝国をも超えているという物まで流されロウリアの混乱を加速させた。その間に国防軍と協力し相手をマーク、そして国防軍協力の元大量の人型兵器を動員し全てを始末した(なお、パンドールとアデムは諜報網が壊滅したことをしらない)。
「儂が思うにドイツの技術力はムーに準ずる物があると考えている」
「さすが三大将軍の御一人たるパンドール将軍。そのご考察恐れ入ります」
「そうかしこまるなここは社交界ではなく戦場だ。ほれ、温かい茶だ」
アデムはパンドールから渡された茶を一口だけ口に含むとゆっくりと味わうように飲み込んだ。
「いい茶ですね」
「ああ、クワトイネ産のだがな」
テントの中に二人の控えめな笑い声が響く。
ヒュュュューーーー
「いつかこれもロウリア産と呼ばれるようになるのでしょうね」
「そのためにはドイツから我が国をまm―――
あたり一帯に轟く轟音、一瞬にして数百mもの範囲を包み込む獄炎。それは瞬く間に周囲の酸素を消費し二酸化炭素と一酸化炭素をまき散らす。
ある者は骨も残らず灰になり、ある者は気管と肺を焼かれ死に、ある者はその高温から繰り出される激痛に悶え苦しみながらショック死し、ある者は酸素の存在しない空気を吸いこんで死んだ。
それは本来であれば最も安全な本陣にいたパンドールとアデムも例外ではなかった。
―――――――
ドイツによる対ロウリア戦争は最初の一撃から一方的であった。
太陽が覗く前に行われた前線にある軍事施設への空爆。
それは一瞬にしてロウリアの地上戦力を消滅させた。
大量に投下される燃料気化爆弾。
貧者の核爆弾とも呼ばれるこの爆弾の威力は凄まじいものであった。
砲火力の偉大さすらまともに理解していないロウリア軍にとって圧倒的上空から、しかもワイバーンの飛ばせない夜に行われた攻撃はあまりにも無慈悲なものであった。
数百mの範囲を焼き尽くす燃料気化爆弾。
ドイツからの侵攻に備えるために点防御を行っていたロウリア軍。それが完全に裏目に出た形である。
爆破した瞬間巨大な炎が立ち上がったはずなのに不思議とそれは見えない。そこには肌の焼け爛れた死体と灰が散乱するだけだった。
「クワトイネ管制塔こちらストラーフ2‐1。目標の壊滅を確認。第二波攻撃の必要なし」
『了解した。クワトイネ臨時基地まで帰投せよ』
「了解」
朝日に照らされる巨体。
死屍累々の地獄を現世に作り上げた元凶である。
Doー422。暴君のあだ名を持つ本機。
55tもの搭載量を誇り、10基のジェットエンジンから繰り出される推進力で亜音速を飛び回るドルニエ社のつくりだした怪物だ。
それが静かに巣に戻っていく。
しかし、まだ終わりではない。
ロウリアは屠殺場に入ったばかりである。
手足を失ったロウリア。その後には散々とした処理現場のみが残されることだろう。
ロウリアの悪夢は始まったばかりである。
・この世界線の歴史
第二話で説明したようにこの世界のチャーチルは政界から完全に追放されていた。そのため戦時の内閣は変わらずチェンバレンが首相であった。
そのため、フランス降伏後ドイツからの講和案につられサインしている。
その後、ドイツはロレーヌ地方を除くフランス領から撤退し、イギリスにも一時的な平和な時間がやって来る。
to be continued
中央暦1639年4月27日我々はロウリア王国に対して外交団を派遣した。しかし、彼らは我々と話すこともなく蛮国と罵り、挙句の果てには火矢を用いて攻撃を行ってきた。そのため我が国ドイツは国家の威厳を保つための懲罰行為が必要だ。だが結果は見えている。やつらはどのように我が国に貢献してくれようか?
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ラウリーア国家弁務官区の作成
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我が国が管理するほど豊かとは思えん
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仲間たちに分け与えよう(分割)
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ゲルマン人の箱庭を再び(完全併合)