大ドイツは異世界でも生存圏を作りたい!   作:ちんすこー

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今日はきりの関係で短いんごね


軍靴の音が聞こえる時

ロウリア王国王都ジン・ハーク

 

現在、ロウリア軍の総司令部が置かれているジン・ハーク城は喧噪に包まれていた。

 

ロウリアの国力のほぼ全てを投じて建設された長大な対ドイツ防衛線。その各所に設置された陸上陣地から定期連絡が一切来なくなったのだ。

 

「誰か儂に今起こっていることを説明してほしい」

 

ハークが言う。

前線部隊から連絡が来なかったことがわかるとジン・ハーク城ではすぐさま緊急連絡会が設置され後方に詰めている多くの将校が参加した。

 

「現時点で判明していることをお伝えいたします」

 

咄嗟にハークの前に出て説明するのはロウリア三大将軍の一人ミミネルだ。

 

「うむ」

 

「では。本日早朝、事前に定められていた時間内に定期連絡が前線各地から送られてきませんでした。司令部はすぐに各部隊に連絡、これよりクワトイネ国境を中心に前線部隊や一部空軍基地との連絡が途切れていることが判明しました。その後直ぐに偵察部隊を送り、一部の空軍基地の現状を把握することに成功しました」

 

「どうなっていたのかね?」

 

「壊滅です」

 

ミミネルの言葉に場が凍った。

ハークも寝起きでまだ乾いている口を動かし聞く。

 

「して、どのような様子であった?」

 

「偵察部隊曰く、一面が黒く焦げていて人やワイバーンのような炭の塊が散乱していたようです」

 

ハークはあまりの衝撃から眉間を抑える。

 

「ヤミレイ、貴様はこれをどう思う?」

 

「話から推測するに炸裂魔法というよりかは巨大な火炎弾のような攻撃が行われたと愚行いたします。後方の空軍基地が壊滅していることから前線部隊が生存している確率は非常に低いかと」

 

王宮主席魔導士であるヤミレイの言葉は重く、場の体感温度をさらに下げた。

 

「そうか……ミミネルよこれからどうするのだ?」

 

「はい、防衛線をビーズル近郊まで下げそこからゲリラ戦を展開、敵に多少でも出血を与えます。その後、市街戦に引き釣り込み戦闘を長期化そして泥沼化させ敵に厭戦気分を植え付け何とか講和に漕ぎつくことを計画しています」

 

普段であれば大量の反対意見が降り注ぎそうな計画であったがこの部屋の中でドイツの実力を過小評価する者はもういなかった。

 

「よくわかった。講和の際、最悪ビーズルまで割譲させて構わない、と外務卿に伝えてくれ」

 

そう言われた従者はすぐさま部屋から出ていった。

 

「ところで先の偵察部隊は今どうしている?」

 

「現在、前線司令部のある地点に急行しております」

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

ロウリア‐クワトイネ国境近郊上空

 

ジン・ハーク城で緊急連絡会が開かれていたころビーズルから出発した偵察部隊12騎は前線司令部が()()()と思われる地点に急行していた。

少し前に連絡を絶った空軍基地を偵察した彼らの顔は一様に青白かった。

あの散々たる景色を見たならば納得だろう。すでに彼らの中に前線の無事を信じる者はいなかった。

それは彼ムーラも例外ではない。

 

天気は晴天、雲一つなく気温も涼しい、自分たちを皮肉るかのごとく過ごしやすい環境だった。

 

敵の攻撃を警戒してワイバーンの最高高度の4000mを飛行していた。

普段これほどの高度を飛行していたら雲の関係で地上は見えないことが多いがこの日に限ってはよく見えた。

 

空軍基地と同じように黒く焦げた地面。近づいてみれば人の痕も見えるだろうがそれは先程の空軍基地で見飽きている。

直ぐにでもこの空域を出たかったムーラは魔信を手に取り連絡を入れた。

 

「こちらビーズル基地所属臨時偵察部隊。前線司令部があったと思われる地点を確認。一面炭に覆われている。壊滅だ。生存者の確認は絶望的」

 

『こちらビーズル基地。了解。すぐに帰投せよ』

 

「了解」

 

魔信をワイバーンに括り付けられたカバンにしまうとすぐに反転する。

それを見た周りの同僚もそれぞれ反転しようとした時。

 

グワァッ!グワァッ!

 

ワイバーンが鳴いた。

ワイバーンは激しく羽ばたき暴れる。

熟練の竜騎士であるムーラでも体制を戻すのに苦労するほどに暴れるワイバーンたち。

新人の竜騎士が振り落とされようとした時。

 

      死

 

背筋に氷柱を差し込まれたような感覚に襲われる。

急いで後ろに振り向く。

 

視力が人一倍よい竜騎士だから視認できたのだろう。

それは空に溶け込むように白い小さな粒。

 

「どけろ!!!!」

 

ムーラの怒声が空に響く。

 

遅かった。

 

それは体制を治すのに苦労していた後方の新人2人に直撃。汚い花火を作り新人たちを飲み込んだ。

黒く焦げた人とワイバーンが地面に落ちていく。

 

「散開しろ!!!!」

 

ムーラの指示を受け隊の面々が散開を開始する。

しかし、再び花火が咲いた。3人の竜騎士と3体のワイバーンの命を散らしながら。

 

残ったのはベテランだけである。

彼らはそれが自分達よりも圧倒的に速いことをこの短時間で理解していた。

少しでも速度をつけるためワイバーンの手綱を操り急降下していく。

 

轟音が響く、また誰かが死んだらしい。

散開してから暫く経っているためもう仲間を確認できない。

 

ムーラはこの広い空に自分だけが取り残されたように感じた。

 

腰につるされたお守りを握り思いだす。

 

『いってらっしゃい』と見送ってくれた妻。

自分に抱き着きよくわからない金属製のお守りを渡してくれた1歳の娘。

 

どんな複雑な軌道を描いても着実に近づく死の予感。振り返る余裕などない。

背中から冷汗が滝のように流れる。

 

「死んで……たまるかぁ!!!!」

 

腰に括り付けていたお守りが外れる。

迫る“死”。

 

コツン

 

金属製のお守りがそれに直撃した。

 

後ろから爆炎が広がる。

 

前世界において第6.1世代戦闘機の高機動と超高速に対応するため電子励起爆薬弾頭を搭載しふざけたほどの加害範囲を誇ったLUR‐260ミサイル。

愛情の詰まったお守りが稼いだ距離も虚しくムーラの身を炎が抱いた。

ムーラの意識が焼け落ちるまでそう時間は掛からなかった。

 

 

 

――――――――

 

 

大ドイツ国防陸軍対ロウリア懲罰軍集団 ギム前線司令部

 

「マンシュタイン上級大将。ルフトバッフェより空の脅威は取り除いたと連絡がありました」

 

連絡要員より送られてくる連絡を淡々と聞いていたマンシュタイン*1はそれを聞くとカバッと立ち上がった。

 

「そうか、ルフトバッフェが活躍するのはあまりいい気分がしないが少なくとも奴らの時間厳守は我々も見習うべきだろう。B軍団に伝達、予定通りにビーズルに侵攻せよ」

 

マンシュタインは一度言葉を区切る。

 

「第3騎兵部隊*2はビーズル後方を攪乱、後に降り立つ降下兵の援護を、我々は王都まで突っ切るぞ」

 

「了解しました」

 

マンシュタインの言葉を受け対ロウリア懲罰軍集団は動きだした。

事前に準備されていた装甲車は煙を吐き出し歩兵を乗せ突き進む、空には多数のヘリが上がりワルキューレの騎行が幻聴で聞こえる。

 

ギムだけではない国境付近にいた全部隊に通達されたそれは10分足らずで履行された。

事前に緻密に練り上げられた戦略。それにそって国防軍は動く。

約100年ごしに異世界でかの軍隊の軍靴の音が鳴った。

幾千万の鉄と肉の群れがロウリアにハーケンクロイツを掲げるだろう。

 

 

          クリークの時間だ

*1
本名:リヒャード・フォン・レヴィンスキー・ゲナント・フォン・マンシュタイン。公称:リヒャード・フォン・マンシュタイン。アメリカに『我らが最も恐れるべき敵』と称され、『ドイツ陸軍最高の頭脳』とも言われた男フリッツ・エーリッヒ・フォン・レヴィンスキー・ゲナント・フォン・マンシュタインの直系の孫である。祖父や親のコネだけでなく自身の才覚も持ち合わせており英雄の再来と呼ばれる程の傑物だ。

*2
ヘリポーン部隊のこと




・この世界線の歴史

ドイツとの講和により一時的な平和を手に入れたイギリスであったがその平和が薄氷の上にある物でしかないと気づくのにそう時間は掛からなかった。
ガリポリの戦いで失脚したチャーチルを中心に反講和派がクーデタを決行。
その後順調に進み無事イギリス政府を掌握。
再びドイツとの戦争に突き進んだ。

to be continued

中央暦1639年4月27日我々はロウリア王国に対して外交団を派遣した。しかし、彼らは我々と話すこともなく蛮国と罵り、挙句の果てには火矢を用いて攻撃を行ってきた。そのため我が国ドイツは国家の威厳を保つための懲罰行為が必要だ。だが結果は見えている。やつらはどのように我が国に貢献してくれようか?

  • ラウリーア国家弁務官区の作成
  • 我が国が管理するほど豊かとは思えん
  • 仲間たちに分け与えよう(分割)
  • ゲルマン人の箱庭を再び(完全併合)
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