大ドイツは異世界でも生存圏を作りたい!   作:ちんすこー

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強行偵察

ドイツ国民の民意の沿って行われる大陸外強行偵察作戦。

 

今作戦はルフトバッフェが担当することとなった。

政府としては海軍の空母を使いたいところであったが、まだGPSも使えなければ周辺海域の海図も出来上がっていない。こんな状況で空母を遠征紛いに使えば、海の国家予算が遭難するとか言う笑えない事態が起きかねないからだ。

 

この作戦に対するドイツ国民の期待は大きい上に、大量の燃料を消費する予定だ。石油からガスまであらゆる燃料が戦略物資と指定され配給制となったドイツ。ドイツ国民は満足に外に出かけることもできない現状、かりに作戦が失敗し何の成果も得られなかったら、政権が崩壊する可能性だってある。政府としては何としても成功させる必要があった。

当初は燃費を気にして、MDE‐1200(軍用無人偵察機)通称フギンかK‐11E(マルチロール機 偵察機Ver)通称ヒンメル・リニアル(空の支配者)が候補として挙がっていたが、航続距離が足りなくて見つかりませんでした。では、話にならないことから大型偵察機(元爆撃機)のAr‐35Eが投入されることとなった。

 

現実世界のB52のそれをも上回る巨体を持つAr‐35E。日本が開発した連山改に対抗して開発された。その特徴は何といっても2万kmもの航続距離である。

前世では日本の常軌を逸した防空設備や人工衛星の発達、大陸間ミサイルの登場のせいでまともに活躍することは叶わなかった本機。別の世界にたどり着きようやく日の目を浴びることができ、開発元のアラド社の社員一同歓喜に沸いたという。

 

そんなAr‐35E、帰ってくることを考えても中距離弾道ミサイルと同等の距離の移動が可能だ。

また、この星が地球の2倍の直径を持ち、8倍もの面積があることから空中給油機も多数参加させられている。

 

かつての世界で常に覇権を争っていた大国、大ドイツ国。

そこから飛び立つのは前世界にて最大の偵察機であった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

パーパルディア皇国

この世界の列強の一角にして第三文明圏の支配者。

 

広大な国土から7000万の人口を誇り、72の属国・属領を保持している。まさに、植民地主義の権化ともいうべき国家である。

 

元々は地域大国でしかないパールネウス共和国を前身とし、急速的に領土を拡大し列強にまでのし上がった。

当時こそ百戦錬磨の将兵を有し、優秀な官僚で国家をまわしていたが現在ではそれは見る影もない。

ルディウスが皇帝として即位してからと言うもの、汚職が拡大。パーパルディアの政治は機能不全を起こし始めた。

 

一応言っておくがルディウスは決して無能ではない。

彼は国を思って、国に尽くそうとしている人を重用し、そうでない者は次々に処分をしていった。

これは彼の私欲に基づいて行われたものではなかったが、政府要員たちは政治的に対立している者を何が何でも蹴落とそうとするようになってしまった。

結果、彼の周りにはイエスマンのみが残り、さらには彼の元に届けられる情報も都合のいい物に改ざんされるようになった。

 

歯止めの止まらない政治腐敗、現場の独断専行、地方の監視の不徹底、背任に横領、現実の見えない有権者たち。

ガワこそ素晴らしく強大ではあるもののその中身は非常に貧弱なものとなってしまった。

典型的な恐怖政治と国家の急拡大による弊害である。

 

ナチス高官が見れば、似たような政治体制で似たような考えなのになぜこうも失敗するのかと首をかしげることだろう(ブーメラン)。

 

しかし、そんな腐りきった皇国に光明がさす。

その光はあまりにも強く、そして劇物だった。

一度直視すれば失明し、へたしたら灰となって消えるかもしれない程の光、それが東からやってきた。

 

 

 

エストシラント沖合

 

穏やかに波打つ広大な海。

そこを飛行する三つの影があった。

 

哨戒中のワイバーンロードである。

時速350kmを誇る、まさに空の王者だ(ワイバーンオーバーロードの方が強いし飛竜もいるが今回は考慮しない)。

 

平時の哨戒部隊で一気に三体も出せるところから皇国の国力の一部がうかがえるだろう。

ちなみに、皇国では、三体で一個小隊を構成しており、さながら大日本帝国である。

 

そんな、ワイバーンロードに跨る竜騎士たちは祖国に仇なそうとする外敵がいないか目を光らせて探って……いなかった。

というのも、この哨戒任務。充てられる人員はたいていが左遷された者たちであり、皆この任務に身が入っていなかった。

そんななかで唯一ともいうべき、少しだけやる気のある新人が何かを見つけた。

最初は見間違いだと判断したが、それは少しづつ大きくなっていった。

ここで新人も確信する。

 

「小隊長!前方から何かが!」

 

自分の前を行く小隊長につたえた。

それが、聞こえたのか小隊長もすぐそれを確認する。

 

「なんだあれは?」

 

それは徐々に大きくなっていく。

それの輪郭が見えてきたあたりで小隊長を含む、三人は一様に驚愕した。それは羽ばたいていなかったのだ。

そして、直ぐにある結論にたどり着く。

 

「飛行機械?」

 

この世界で唯一科学文明の国、ムーが開発した乗り物である。

しかし、あきらかに形状が違っていた。

ムーで採用されているのはあくまで複葉機であり、あのような単葉機ではない。

ムーの飛行機械を見た経験のある小隊長はすぐにムーのものでないと確信した。

 

『本部、こちら第4哨戒任務部隊。我、東から急速接近中の飛行機械を確認。くりかえす。我、東から急速接近中の飛行機械を確認』

 

『こちら本部、それは本当か?』

 

次の言葉を発そうとした小隊長だったがそれは声を出す暇も与えてくれなかった。

それは、あまりにも大きかったのだ。そして、あまりにも早かった。

非常識なほどに。

 

『こちら本部。聞こえているか?無事か?無事なら応答を願う』

 

『あ、ああ。こちら第4哨戒任務部隊。無事だ』

 

『無事か、よかった。では、詳細をそれはムーの物か?』

 

『あの飛行機械はムーのものではない。それと比べ物にならない程でかく早い』

 

『それは本当か!?』

 

『本当だ、やつはエストシラントに向かっている!』

 

『わかった。報告感謝する。第4哨戒任務部隊は速やかに帰投するように』

 

『了解』

 

その後、第4哨戒任務部隊の報告どおりに所属不明の飛行機械はエストシラントに侵入、パーパルディア皇国のほこるワイバーンオーバーロードが迎撃に上がり火炎弾で攻撃するも、ワイバーンオーバーロード以上の上昇力で高度を上げて引き離していく、およそ高度7000mの地点で上昇するのをやめエストシラント上空を暫く旋回して東に戻っていった。

 

最後に残ったのは、飛行機械が消えた先を睨むように見つめる竜騎士たちと、それを不安げに見つめる市民だけだった。




・この世界線の歴史

この世界いガリポリの戦いでイギリスは史実以上の被害を出し敗北。チャーチルはその責任を問われ政界から完全追放された。
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