ルディアスのキャラ崩壊があります。
パーパルディア皇国 エストシラント 皇城
日が昇って間もない頃、エストシラントの中央に聳える時計台から鐘の音が鳴った。
それを合図にエストシラントに住む人々は起床し、一日の活動を始める。
列強の一角を占める大国パーパルディア。
この国の支配者であるルディアスもまた、この鐘の合図で生活をする者の一人であった。
煌びやかに飾り付けられた寝室。その中央に鎮座する、文字通りキングサイズのベットからルディアスがムクリと起き上がる。
ふと目を横斜め下に向けると、そこには裸のレミールがいた。
まあ、そういうことだ。
ちなみに、レミールはルディアスのストライクゾーンに入っていない。
ルディアスが好みな女性はタッパとケツがでかい女性であり。
その点、レミールはタッパが小さいためルディアスの好みではないのだ。
それはさておき
ルディアスはレミールを一瞥すると、ため息を付き寝台から降りた。
侍女はこない。
別に事の後だからではない。
これはルディアスの思想だ。
ルディアスはこの国、皇国を愛している。もちろんそこに住まう臣民たち(属領の奴らは除く)もだ。
愛する臣民。彼らが汗水を流し収めた税金。それで暮らすことをルディアスは何よりも嫌がった。
侍女や服などで贅沢することはほぼなく、大国の皇帝として威厳が保たれる程度の贅沢しかしてこなかった(それでも平民たちが一生かけてもできない贅沢であるが)。
だから、ルディアスは宝石やドレスに金を湯水のように使うレミールをあまり好ましく思ってなかったのだ。
寝台から降りたルディアスは洗面台に向かう。
口の中をすすぎ、顔を水で濡らして眠気を振り払う。
そして、手に取ったのは、近代的なロゴが入った瓶のような容器。材質も恐らくプラスチックだ。
その容器にはデフォルメされたドイツ語が書かれていた。
“
ルディアスはそれの蓋をとり鏡を見ながら前髪の生え際をそれで塗った。
ルディアスがそれと出会ったのはつい最近だ。
ドイツと接触してからというものルディアスの仕事量は爆増した。
それは一時的なものであったが、レミールを含む皇国の問題児たちの事も合わさり、ルディアスの毛根にかかるストレスは並大抵な物ではなかったのだ。
朝起きて、枕元を見たら、夥しい量の抜け毛が確認できた時は、流石のルディアスも絶句した。
そして、気分転換に市井にお忍びで遊びに行った時にそれに出会った。
ドイツ製のタブレットに映し出される“
自分の頭の将来に軽く絶望していたルディアスはすぐにそれを買った。
果たしてその効能は本物なのか、という疑問もあったが、ドイツなら、という謎の信頼から大して気にも留めなかった。
最近では、心なしか抜け毛が減り、前髪の生え際も前進している気がした。
ルディアスは鏡の前で自分の前髪の毛根を軽く撫でるとバスルームへ向かった。
風呂の中にはすでに湧いた水が入っている。
ルディアスが起きる前に侍女が用意したのだ。
魔法で暖められた水は少し放置されていたこともあり、ぬるま湯一歩手前であったが、香水との匂いとも合わさり、寝起きのルディアスには丁度いいものであった。
事でついた体液を洗い流してすっきりしたルディアスは自分で体を拭き、自分で服を着た。
そして、寝室から出ると、ルディアスと入れ替わるように侍女たちが入って行く。恐らくレミールの世話をするのだろう。
気が付けばルディアスの周りにはルパーサを筆頭に多くの文官たちが集まっている。
彼らは優先度の低い書類を簡潔に纏めて述べるとルディアスからの判断を仰ぐ、それをルパーサを除く人数分行うのだ。
そんなことをしていると、皇城の長大な廊下も終わりが見え、ルディアスの執務室に着いた。
執務室に着いたルディアスは真っ先に机の上に置かれたサンドイッチに噛り付き、執務を開始した。
大国の皇帝は今日も忙しい。
――――――
場所は同じくパーパルディア皇国の皇城。
時刻はすでに夜遅くを指している。
ルディアスは執務室で一人酒を仰いでいた。
最近ではレミールのせいで満喫できない一人の時間を存分に楽しんでいたのだ。
グラスに再び酒を注ぐ、中に入っている氷は元の半分程の大きさまで小さくなっていた。
ゆっくりと味わうように飲む。
ドイツ産のプロイシシャーウイスキーはルディアスを虜にして離さない。
グラスの中に浮いている氷を見ているとルディアスは嫌な事を忘れられる気がした。
雑音は何も聞こえない。
まさに自分だけの時間。
そんな時、実務室の外から、大勢が歩いてくる音がした。
ドアがノックされる。
「ルディアス陛下、ルパーサでございます」
「入れ」
入って来たのはルパーサだけではない。
第一外務局長のエルトやそれに属する次長のハンス、第三外務局長のカイオスにドイツ担当外務官に就任したタール、皇国軍最高司令のアルデ、近衛隊の面々も見える。
普通なら大事だと思うが、すでに酔ってるルディアスはそこまで危機感を持てずにいた。
「どうしたんだルパーサ」
「ルディアス陛下、こんな時に飲酒をしていらしたのですか」
「悪いか?」
「いえ、そんなことはありません」
「それでどうしたのだ」
ルディアスはグラスを持った手でルパーサを促した。
「レミール様がドイツ大使館駐屯大使エバリー女史と取っ組み合いの喧嘩をおこしました」
「は?」
ルディアスは一瞬ルパーサが何を言っているのか理解できなかった。いや、理解するのを本能が拒んだ。
それと同時に頭の中に再生されたのは今日、レミールに床は一緒にできないと断りをいれた後、レミールがヒステリックな奇声を上げ、廊下を爆走する姿であった。
「まて、一体どういうことだ?」
「はい、我々も詳しいことは把握していませんが、レミールさまが『私がルディアスさまから受けられる寵愛をドイツが不当に邪魔している』と意味不明なこと叫びながらドイツ大使館に突撃、そこで偶然ロビーにいたエバリー女史と鉢合わせ『あんたのその身長をよこしなさい!』と叫びながらとびかかったと。幸い、どちらとも大した怪我はありませんでしたが――
「また続きがあるのか」
ルディアスは冷汗をダラダラと流す一行を見て、ただ事でないと悟った。
「陛下……レミールさまは……」byルパーサ
「レミール様がドイツに……宣戦布告とも受け取れる発言をしました」byカイオス
ルディアスは目の前で静かに散っていく何本かの自分の髪が見えた。そこで何かか切れた。
ルディアスは震える手でグラスをゆっくりとテーブルの上に置いた。
「4名は残れ、エルト、ハンス、カイオス、アルデ、あんぽんたん」
言われた4名以外の者たちはぞろぞろと部屋から出ていく。
唯一宰相のルパーサだけが無断で残った。
「命令したはずだ!(アルデに)レミールは何をするか分からないから監視しておけと!
なぜ女一人も押さえつけられない!まったくけしからん!
その結果がこれだ!
軍の無能どもめ!皆無能だ!
軍も!情報局も!戦略局も!保安局も!宦官どもも!
中途半端に権力を持った臣下たちは皆、権力に媚び諂うだけの臆病者だ!」
「陛下、あまりの侮辱です」byアルデ
「臆病な犬どもだ!@ばdhbふぁbバーカ!」
「いくら陛下でも……」
「腹と欲望ばかり肥え太らせる奴らは臣民のクズだ!
チクショメー!
臣下とは名ばかりの豚どもが、養成学校で、職場で学んだことと言えば、上司に対しての媚び方か、不正の仕方だけだ。
レミールを含めた無能はいつも私の計画を妨げる。
そう、あらゆる手段を使って!
It's判断力足らんかった!
臣下の大粛清をするべきだった!
It'sスターリンのように!」
(スターリンって誰?)byモブA
(知らん)byモブB
コンコン
ドアをノックして入ってきたのは長年仕えている侍女長である。
周りはただならぬ空気を醸し出しているのに気にしないのは年の功故にだろうか。
「失礼します。ルディアス陛下。明日の夕餉はどういたしますか?」
「タイが食べたい!あとボルシッチ!」
侍女長が部屋から出ていった後、ルディアスは毒を抜かれたように、大人しくなり、椅子に座った。
「私は養成学校も、士官学校も出ていないが、独力で皇国を列強に押し上げた。
それなのにあのレミールはその私ですら制御できない。
なんであいつはタッパは小さいくせに
目に刺さるニャン!おっぱいプルンプルンなんだ!
挙句には、ドイツに宣戦布告ともとれる言動。
臣民に対する裏切りだ!
やつは、この国を滅ぼす気か!」
そこで話は途切れ気まずい沈黙が流れる。
「ドイツの大使を呼べ、話をする。
レミールは後宮に突っ込んどけ。
マジでこの国滅ぶぞ」
後に“パーパルディア滅亡寸前の12時間”という映画の代表的場面となる一幕であった。
やりたかっただけ。
本当はドイツのキャラでやりたかったけど我慢出来なかった。
注記)パーパルディアは滅んでません。
・この世界線の歴史
マリアナ海域から撤退を始める太平洋艦隊であったが、それを襲撃しようとする艦隊があった。
連合艦隊(分隊)である。
戦艦長門を旗艦とする連合艦隊は戦艦は長門、陸奥のみで太平洋艦隊に劣勢であったが、空母は赤城や蒼龍などを中心に5隻も存在し、制空権において圧倒的に優位であった。
第二次マリアナ沖海戦である。
この海戦は世界で始めて航行中に戦艦を航空機のみで沈めた海戦である。
結果だけ言うのであれば太平洋艦隊はエンタープライズを除く全大型艦を喪失。
駆逐艦や軽巡といった小型艦もほとんどが使い物にならなくなった。
事実上のアメリカ太平洋艦隊の壊滅である。
一方の日本は艦載機がいくらか堕ちた程度でほぼパーフェクトゲームで勝利した。
また、この海戦と同時に日本は金剛、山城、飛龍を中心とする艦隊で真珠湾を攻撃。
石油タンクやドックも破壊し、太平洋艦隊の活動を1年間完全に不可能とすることに成功した。
to be continued