web版ガハラの詳しい説明がされても、本二次創作では本話と同じ設定でガハラを描きたいと思います。
陸軍総司令部、また独パ合同指揮所での事前の想定ではフェンにおける軍事作戦は初日で終了するはずだった。
フェン王国において、国家を統治可能な行政能力を持つ都市は首都のアマノキ、そしてニシノミヤコのみだったからだ。
ドイツ国防軍はアマノキをパーパルディア皇国はニシノミヤコを落とす。これによりフェン王国は統一組織を喪失、残党は各個撃破して終わりの予定だったのだ。
しかし、パーパルディア皇国軍はニシノミヤコを初日に落とすことが出来ず、フェン軍に余力を残させてしまった。結果、フェンにおいて剣王を中心とする統一組織に代わりフェン軍を中心とする組織が誕生した。
元々は組織立った抵抗ができないと考えられたゲリラは統一組織の誕生により、計画的な戦闘を展開、ドイツ国防陸軍に予想をはるかに上回る被害を与えたのだ。
一方のパーパルディア皇国軍は、フェン軍と正面戦闘を繰り広げていた。
皇国軍であれば普通の文明圏外国家程度容易くひき潰せるが、フェン王国は普通ではなかった。
倫理観と道徳を投げ捨てた肉の壁、悪質なトラップの数々、リンドブルムの厚い皮膚を突き破る和弓擬き。
そして、なんといってもフェンの
ここでさらに問題となったのが、ワイバーンロードの稼働率だった。
初日においてフェン王国の水軍とニシノミヤコを焼き尽くしたワイバーンロードであったが、それ以降の戦闘においては逐次的にしか投入されなかった。
そも、ワイバーンとは元来とても扱いずらい生物兵器であった。
環境変化の与えるストレスは大きく、基本的には調教もしずらく、一回飛ぶごとに何項目にも及ぶ検査をしなくてはならない。
皇国軍は初日の攻撃でフェン軍を崩壊させるために無理な運用を行ってしまった。
そのつけが返ってきたのだ。
陸上戦力のみではフェン軍を抑え込めず結果、ワイバーンロードはコウテ平野に展開しているフェン軍の本陣ではなく皇国陸軍の支援しかできなかった。
まさに千日手となっていたのだ。
そこに救いがやってきた。
皇国軍には作戦の終了による地獄からの解放をする救いであり。
フェン軍には人生の終了によるこの世から解放する救いが。
―――――――
フェン王国 コウテ平野
貴方は戦場にいます。
いきなり空からフルアーマーの強化外骨格を着込んだ人が降ってきました。
その識別マークは見た事がありません。
さぁどうしますか?
こう聞かれた時、初手で攻撃する、と選ぶ人は少ないだろう。
そう普通の人は、だ。
残念ながらこの時、コウテ平野にいた者たち、フェン軍に普通の人はいなかった。
空の彼方からロケットブースターを使ってド派手な登場をした第001強化外骨格降下猟兵大隊。
それを熱烈な歓迎で出迎えたのは他でもないフェン軍であった。
「曲者!!」「アヤカシじゃ!」「チェ―スト!!」
などと手厚い歓迎をするフェン軍。
猟兵大隊もフェン軍に負けず劣らず過激な返答をした。
外骨格に外付けされている機関
機関銃ではなく機関砲だ。
使用されている弾薬は20mm口径弾。
通常は大型のアンチマテリアルライフルに使われる弾薬である。
到底人に使っていい物ではない。
フェン軍に向かって打ち出された砲弾はその身体を容易く貫き、後方を走っていた多数の者にまで死をお裾分けした。
やりようによっては現代主力戦車する戦闘不可能に追い込むことが可能な口径弾はその進路上に存在するあらゆる物質を一直線上に貫いて破壊した。
一瞬にして地上に顕現した阿鼻叫喚の地獄。
外骨格を着込んだ降下猟兵はそれに何の感慨も振動も受けず、ただ弾を打ち続けた。
しかし、その時間もすぐに終わる。
そもそも、人型の物に詰め込める砲弾の数などたかが知れているのだ。
弾が切れた降下猟兵たちはその手につけている機関砲を次々とパージしていった。
「今じゃ!かかれ!」
「首置いてけ!!」
それを見たフェン軍はすかさず、斬りにかかる。
生まれた時から剣と生きているフェン人が振り下ろす剣筋は、ある種の完成された芸術品のように優美で、それでいて、猛烈でもあった。
まるでなんでも斬れるとも錯覚してしまいそうなそれも、悲しいことに現代文明のテクノロジーの前には全くの無力でしかなかった。
先程、降下猟兵たちがレートが低いとは言え機関砲を撃てたことからわかるようにこの強化外骨格は衝撃を吸収する機能が存在している。
この強化外骨格が受けた衝撃のエネルギーは、そのほとんどが背負い式で取り付けられているエネルギーチェンジャーに伝達され電気エネルギーとなる。
さらに、この強化外骨格の素材は史実世界でいう、プロテウスと同様の物であり剣での斬撃などとはとても相性がいい。
つまりは、フェン軍がいくら頑張ろうと、強化外骨格を着込んだ降下猟兵には傷一つつけられないのだ。
このように、あらゆるハイテクと軍事技術を詰め込んだ強化外骨格。
その武装が機関砲だけな訳がない。
降下猟兵に必死に切りかかるフェン戦士たちに凶刃振り下ろされた。
強化外骨格、人でいう手首あたりから巨大な刃が生えたのだ。
普段は蛇腹剣のような形状で強化外骨格内で小さく仕舞われているそれ、は生えると瞬く間に収縮し両刃の刃となった。
日本の強化外骨格に搭載された近接戦闘用特殊武装・月光に触発されて開発された刃、グラム。
神話において英雄ジークフリートの愛剣とし、魔竜ファフニールを討伐した剣の名を持つ本武器。その性能は名に恥じない物だ。
強化外骨格のパワーアシストと組み合わせることで戦闘車両する拉げさせることが可能な刃が人に振り下ろされたのだ。
結果は言わなくてもわかるだろう、人の二枚卸の完成だ。
あまりのオーバーキルである。
約千人の降下猟兵、機関砲で数を減らしたとはいえ、未だに数万に規模のを有するフェン軍。
その戦いは終始一方的に推移した。
中央暦1639年9月27日付フェン特殊軍事作戦パーパルディア皇国軍早朝の通信より
『こちら第571ワイバーンロード小隊。コウテ平野と思われる場所を確認した』
『こちら戦列艦ミールより第571ワイバーンロード小隊へ。明確な報告を求む』
『フェンの平野は、赤いのか』
『どういうことだ』
『平野と思われる場所が赤い、なんだあれは?……血だ!血で大地が赤く染まっている!』
『何だと、それは本当か』
『ああ、間違いない。あっちこっちにフェンの奴らの死体だ転がってやがる。なんてことだ、人が真っ二つに切れてやがるぞ』
『コウテ平野は赤く染まっている。それだけか。手下人は』
『手下人?……あれは?……ゴーレムだ!赤く染まったゴーレムがいる!あれだ。あれがやったんだ!間違いない!』
『数は』
『嘘だろ……数体や数十なんかじゃない。何百下手したら千はいる!』
『何!わかった第571ワイバーンロード小隊は高高度を保ったまま監視を続けよ。司令部に確認を取る』
『了解。早くしてくれ』
『善処する』
通信一時中断
『こちら戦列艦ミール。司令部と確認がとれた。信じられないかもしれないが、あれはゴーレムじゃない。ドイツ軍だ』
『何?ドイツ軍?あれを、あの惨状はドイツ軍がつくったのか?』
『……言いすぎだ。口を慎め』
『……すまない』
『第571ワイバーンロード小隊に通達。母艦に旗艦せよ』
『了解。俺はもうドイツ軍とは関わりたくない』
『同感だ』
―――――――
中央暦1639年10月 8日 ガハラ神国
「祭主様、ドイツからの要求を飲むのですか?」
畳がしかれた部屋。
そこで複数の人物が座布団に座り話し合っていた。
祭主、神道において伊勢神宮にのみおかれている神職。
古では中央官として機能し、都で神事関係の行政を行っていた役職と同じ名前と同じ名前の役職。
ここガハラでは、国の象徴として君臨し、日本でいう天皇のような存在である。
ただし、日本とは違い、それ相応の権力をもっていて、そこら辺の王政国家とあまり変わらない。
「ええ、そうです。外務大臣」
「お待ちを、我が軍はいつでも動けます。こんな屈辱的な要求、お断り下さい!」
そう言うのはガハラ神国で国防を司る軍務大臣だ。
かれらが先程から言っているドイツからの要求。それを簡潔に纏めれば次のようになる。
・外交権の譲渡
・国軍の解体(ただし祭事などの国家行事に使われる部隊はこれを免除する)
・ドイツ国防軍の駐屯
・総督府の設置
・通貨をライヒスマルクへ変更すること、またドイツ中央銀行の進出をみとめるとこと
・関税自主権の放棄
・ドイツ側のみの領事裁判権
などを含む要求だ。
つまりはガハラ神国の主権をドイツによこせといっているのだ。
「そうです祭主様。我々にはパーパルディア皇国もいます。どうかご英断を」
「現実を見なさい。パーパルディアはドイツと協力しフェンを攻撃しました。この時、ドイツ海軍は我が国の近海を堂々と通過しました。その時、パーパルディアは何をしましたか?」
「……いえ、何も」
「そうです。国家に永遠の友情なんで存在しません。あるのは永遠の国益のみです。パーパルディアは我々とドイツを秤に乗せ、決めたのです」
「そんな……」「終わりだ……」などの言葉が部屋中を木霊する。
「それに、ドイツは1週間でフェン王国を滅ぼしました。今、フェン王国のあった土地にはパーパルディアの属領とドイツのフェンク弁務官区があるのみです。軍務大臣、我々の予想したフェンが攻め落とされるまでの期間は?」
「3ヶ月です」
フェン王国という国は文明圏外ではある種の軍事大国として見られていた。それもそのはず、国民の全てが剣を扱い、非常時には成人した男性の全てが戦士になるのだから。
だからこそ各国ともフェンの開く軍祭なるものに集まったのだ。
「我々は見誤ったのです。もっと早く動いていればこの事態も変わったでしょう」
「祭主様、弱気にならないでください。我々には強力な力が存在します。そう、飛竜です!ドイツ軍程度、燃やし尽くしてくれましょう」
相も変わらず強気にドイツの要求の拒否を求める軍務大臣。
対する祭主は何か諦めたよな雰囲気で話した。
「あなたも偵察をした者たちの話を聞いたでしょう。情報が正しければ、ドイツという国家はかの魔法帝国に類するもの、またはそれと同格の国家なのです。果たして我が国は勝てるでしょうか?」
ガハラ神国も自国のすぐそこで起きた戦争なだけに、ドイツとパーパルディア両軍の偵察は何度も行っていた。
そこで判明したのはドイツ軍の戦闘能力の高さと、ドイツの使う船が魔帝の対空魔船と似たような光を出しているということであった。
「ぐ……しかし。必ずしもそうとは……」
「ええ、一度ならそうでしょう。しかし、我々は何度も偵察を行いました。そう、何度も。軍務大臣、貴方にこの証拠を否定できる材料がありますか?」
「ありま……せん」
状況的には祭主の言葉が正しいが、その裏を知る者たちからしたら祭主の言動を爆笑ものだろう。
そもそも、彼らがドイツ側の要求を飲もうとしているのはその軍事力の差からだ。
この要求を断ればドイツが攻めてくる。
その想定は正しい。普段のドイツならそうしただろう。
しかし、パーパルディアの事を彼らは信頼しなかったのが運の尽きであった。
ドイツ側は元々、ガハラも滅ぼす予定だったが、パーパルディア止めてくれたのだ。
しかも、もし軍事力で攻めようものなら相手になる、とまで言ったのだ。
そのため、彼らがここでドイツの要求を断ってもドイツが攻めてくることはない上に、ガハラがドイツの安全保障上重要なところにいるという理由から好条件で国交樹立もあり得た。
まぁ、IFの話なのでしても無駄なのだが。
「では、外務大臣。頼みました」
「わかりました」
ガハラは最悪は回避できたが、なんだかんだで可哀想だった。
・この世界線の歴史
1943年、太平洋上の戦局は大きく動き出した。
日本海軍ソロモン諸島へ。
アメリカ諜報部が掴んだ情報だった。
この情報が齎されてからのアメリカの行動は早かった。
なぜならその艦隊に大和がいたのだ。
沈められなくても勝てば国民へのアピールにはなる。
1944年の選挙を控えてルーズベルトは何か戦果を欲していた。
それのみならず、純軍事的にもここが落とされたらオーストラリアやニュージーランドが降伏する可能性があった。
そのため、アメリカは迷うことなくソロモン諸島に艦隊を進めた。
後にソロモン沖海戦と呼ばれる海戦は戦術的には日米の痛み分け、戦略的には日本の圧勝であった。
どういうことか。
ソロモン諸島への侵攻部隊は囮だったのだ。
日本の本命、それすなわちハワイ。
この時、アメリカ海軍は日本海軍にかつために真珠湾から主力艦隊の全てを引き抜いていた。
その結果、日本海軍は大した抵抗も受けずに制海権を獲得したのだ。
少しの航空戦力は存在していたが、日本海軍は正規空母4隻、戦時急造空母12隻の圧倒的エアカバーの元、作戦を実行、ハワイを陥落させた。
欧州枢軸の全面協力の元、史実以上の空母と輸送船を持っていたからこそできた芸当だった。
連合国はこれにより太平洋のほぼ全域の制海権を喪失。オセアニア組は脱落した。
大西洋でドイツも動き出した。
to be continued