大ドイツは異世界でも生存圏を作りたい!   作:ちんすこー

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対ロウリア戦争
ロウリア滅亡のカウントダウン


「どういうことだ!」

 

ロウリアの頭脳が集まる会議室にて叫ぶのはロデニウス大陸最大の国家ロウリア王国の王、ハーク・ロウリア34世だ。

その目前には黒いローブを深くかぶった男がいた。

 

「ですから、我々はここから撤退し、パーパルディアは今後一切、貴国に対する支援を行わないと言っているのです。これだから、文明圏外の国は理解が遅くて困りますね」

 

彼はパーパルディア皇国国家戦略局の職員だ。

ハークは一度深呼吸をすると、怒りを抑えてゆっくりと聞いた。

 

「我が国は貴国の提示したあらゆる要求を飲んで支援を貰っていた。さて、貴様らは撤退し支援を行わないと言う。それらの要求はどうなる?」

 

「クク……、安心してください。それらは必要ないと本国から指示を貰っていますよ」

 

先程まで、厳しい顔を作っていた部屋の面々の顔が目に見えてすこし弱まる。

今まで、ロウリアはロデニウス大陸を征服するためにパーパルディア(国家戦略局の独断であるが)の提示する屈辱的な要求を飲み援助を貰っていた。今回、援助が停止すると伝わった時、会議の参列者の殆どが思ったことが、その要求を達成する必要があるのか、だった。

しかし、蓋を開けてみると援助をくれてしかも、これから予定していた要求を全て中止してくれるという。ロウリア側からしたら儲けものだ。

 

「では、どうして撤退するのだ」

 

ハークはにやけそうになる顔をなんとか制御し威厳のある顔で聞く。

 

「なんでも、本国は近々大ドイツ国という国と国交を結ぶようで、その国からの要請で撤退することになりました」

 

何ともなさそうに言う彼であったが、そのローブで隠れた顔は苦虫を嚙み潰したような顔であった。一方、それ以外の部屋にいる者たちはドイツと聞き頭に疑問符を浮かべている。

ロウリアに対する支援は国家戦略局が本国にすら秘匿して行われたものだ。それが大ドイツ国などという聞いたこともない国によって水泡に帰したのだからその心情が伺えよう。

 

余談だが、国家戦略局のたくらみがドイツに漏れた理由は全くの偶然である。

ドイツは強行偵察作戦時にこの世界には基本的には何処の国であろうと航空戦力をもっていることを把握した。そのため、それ以降に行われた偵察には超音速・超高高度戦略偵察機SU‐112が使われた。史実世界であれば衛星の発達とともに消えた戦略偵察機だが、この世界では違う。緊張緩和のきの字もない世界線の地球では宇宙条約なんて形もない。そのため、日独は互いの衛星にミサイルの照準を合わせ、挙句の果てにはキラー衛星なる、衛星を破壊する衛星も打ち上げ、有事の際に敵国の衛星網を一瞬で破壊する体制を作り上げていた。そのため、有事になれば衛星に頼ることができずこの世界では戦略偵察機が大きく発展したのだ。

SU‐112、最高速度マッハ14、巡航速度マッハ9.5、最高到達高度112,825m、巡航高度94,000m、史実世界のブラックバードが可愛く見える性能だ。

しかも、光学迷彩を搭載し高ステルス性も確保しているため、この世界では、いかなる国でも発見は不可能だ。

そして、ある日この機体が偵察していると、複雑な航路を取って移動する帆船を発見し、遭難と判断した。ドイツは考える、パーパルディアと交渉中のためそれがパーパルディアの物でさらに、それをドイツが救助すれば恩を売れて儲けものであると。

そうしたら後は早い。ドイツは今まで偵察で得ていた情報からその帆船がどの国のものか特定した。多少の改造はされていたもののそれは間違いなくパーパルディア製の物であり、ドイツは諸手を上げ喜びながら駆逐艦隊に救助させた。その情報は瞬く間に国家戦略局にもたらされ、国家戦略局は隠蔽しようとしたが時すでに遅し、ドイツにも本国にもそれを知られてしまった。

結果、国家戦略局の責任者は処罰され、本国の厳しい監視下に置かれることとなった。

閑話休題

 

そのため、ロウリアに派遣されている国家戦略局の職員は皆、忸怩たる思いでいた。

 

「ドイツ、たしか……」

 

そう呟くのは、ロウリアの外交を司っている外務卿だ。

 

「知っているのか?」

 

ハークはとっさに聞く。

 

「はい、たしか報告では、見掛け倒しの巨大船(駆逐艦)を引き連れて我が国に外交交渉にやって来た国です」

 

「まて、そんな国が来たという報告は聞いていないぞ!?」

 

「い、いえ。その国がやって来たのはつい2日前ですし、その外交官にワイバーンを見せたところ、見たこともないと言ったため未開の蛮族と判断し追い返しました。その時に軍が彼らの乗る船に火矢を放ったそうですが彼らは反撃も何もしてきませんでしたので報告の優先度は低いと、まだ報告していませんでした」

 

部屋の雰囲気はドイツを侮る空気となった、ハーク以外は。

 

「まて、列強がその国の要請を聞いたのだ。ただの国ではない」

 

「ええ、本国からは我が国最新の戦列艦が小舟に見えるような巨大艦があるとか、魔導砲をもっているとか、ワイバーン以上の速度で飛ぶ飛行機械を持っているとか、とても信じられない報告がきていますよ」

 

部屋の雰囲気が一変する。

 

「一部誇張があろうと、我々はそのような国の船に攻撃を仕掛けたのだ。間違いなく報復が来る」

 

「国家戦略局も同じ意見です」

 

「そうか……」

 

ハークは普段よりも覇気のない声で相打ちを打つ。

しかし諦めたわけではない。

 

「貴様はずっとここにいるな。我々に用がないのならさっさと消えてもいいはず。何か話があるのか?」

 

そういわれた職員はローブの下で笑った。

 

「その通りです。我々もこの現状を面白く思っていません。ですので今日到着した最後の支援の中には旧式ではありますが魔導砲500門、マスケット銃2000丁、もちろんその分の弾薬もあります。ぜひ、ご自由にお使いください」

 

職員はそれを言うと部屋から出ていった。

あとに残された部屋の中には、歓喜するロウリアの頭脳(愚か者)たちがいた。

 

 

ロウリアの終焉は近い。

 

 

 

―――――――

 

 

 

ドイツとパーパルディア皇国の国交樹立、それに伴う各条約締結は世界に大きな衝撃を与えた。

 

特に、列強第一と第二の神聖ミリシアル帝国とムーの衝撃は大きかったという。

彼らからしたらパーパルディアとは前近代的な植民地主義と選民思想に凝り固まった時代遅れの国である。

そんな国が文明圏外国家と対等の関係を結び、しかも、よく見ればその国から技術支援を貰っているというのだから驚きだ。

 

それから一ヶ月、パーパルディアに住む民はそれを知ってか知らずかドイツから流れてくる大量の製品に目を奪われ、空前の好景気に浮かれていた。

 

 

パーパルディア皇国の首都エストシラントの中央に鎮座する城。

その主であるルディアスは自分の前に山のように積まれた書類を睨んでいた。

 

「この半分が陳情書とな」

 

「はい、その通りです陛下」

 

ルディアスの質問に答えるのは皇国宰相のルパーサだ。

 

「これでも、かなり減りましたよ」

 

「現実の見えない貴族どもを納得させるためにかなり骨を折ったからな。しかし、それでもこれほどあるのか」

 

ルディアスの前に置かれている陳情書の内容の殆どはドイツに対する関係の見直しを意見するものであった。

彼ら皇国貴族たちにも誇りがある。それは偉大な皇国に仕えていることだ。

それをどこの馬の骨かもわからないような国が泥をかぶせてきたと感じているのだ。

ルディアスもこの状況を座しているわけがなく、ドイツに対して、一部地域の開発を行ってもらい貴族達に対して見える功績を与えた。ドイツ中央政府は多数の建設企業に依頼を出し、直ぐに手を付けた。僅か3週間で、その地域にはアスファルトで塗装された道が伸び、集合住宅が立ち並んでいる、近代的な下町が完成したのだ。

その効果は決して小さくなく多くの貴族にドイツの力をある程度正しく認識させることができた。

 

ここでドイツはパラディス大陸の開発を行っているのにどこに他国の開発を行う余力があるのか疑問を持った人もいるだろう。

理由は単純でパラディス大陸の開発が予想以上に進んでいないのと、政府と一部大手建設企業との癒着が原因である。

まず、パラディス大陸の開発が進んでいない理由としては魔物がある。パラディス大陸にいる魔物の量は異常の一言であり、ドイツと地球各国との旧国境地帯ではすでに数千人規模での被害が発生していた。そのためドイツ陸軍は予備役を収集し狩猟組合とも協力することでなんとか開発を行っていた。国防軍としてはさっさとナパーム弾やクラスター爆弾、電子励起爆弾で吹き飛ばしたいところだったが中央政府からはノイ・レーベンスラウム(新たな生存圏)を宣言した手前それを吹き飛ばすのは国民からの突き上げにあうと言われ出来なかった。

 

また、現在ナチ党を統括しているシュペーア派とはいわゆる急進派や革新派と呼ばれる勢力であり、ひと昔前までは弱小勢力でしかなかった。その時に彼らに協力していたのが前述した一部建設企業である。そのため現政権はその企業らを無下に扱うことができなかった。パラディス大陸の開発もほとんどがその企業群により独占され、他の企業は救済措置としてそれ以外のパーパルディアやクワトイネ、クイラの開発を率先させたのだ。

他にも、2033年の地球での建設現場にはほとんど人がいない。すべてを無人化しているからだ。なので、一部の建設企業でも巨大な大陸の開発ができているわけだ。

 

「それにしても、凄まじいなこれは」

 

ルディアスは数字と表が一面に書かれている書類を見て呟いた。

 

「ドイツの製品はかなり質がいいですからね。貿易赤字は膨らむ一方です。それに、最近では国内産業にも少なくない影響が出てきています」

 

「かなりの関税をかけているはずだぞ」

 

「それでもですよ」

 

ルディアスは小さくため息をついた。

 

「蒸気機関の導入の話はどうなっている」

 

「既存の商業組合が反対していて思うように進んでいません。それに奴隷を使い潰せばいいと思っている輩がいるのも問題です」

 

現在、パーパルディアでは皇室主導で蒸気機関の導入を進めていた。しかし、既得権益を脅かされると考えた商業組合や一部貴族が猛反発を行い思うように進んでいないのが現状だ。彼らが言うには、蒸気機関に頼るよりも奴隷を使った方が楽で効率もいい、とのことだ。

 

「何としても押し通せ。最悪国家反逆罪でひっとらえてもいい」

 

「わかりました」

 

「それとエルトにドイツとの貿易改善の交渉をまかせると伝えろ」

 

「了解しました」

 

ルパーサはそう言うと部屋を出ていった。

 

皇帝の苦悩はまだ始まったばかりである。




ロウリア殲滅RTAはもうちょっと後になるかな?

・この世界線の歴史

この世界のドイツだが、史実通りユダヤ人を迫害していた。
しかし、その一方でユダヤ人の技術者やアインシュタインを筆頭に多くの科学者を無理やり確保し研究に当たらせていた。
そのため、この世界でのドイツの化学力は史実以上であり、1944年中には原子爆弾を完成してる。一方のアメリカ含む連合国は原子力を筆頭に史実よりも遅れていた。

中央暦1639年4月27日我々はロウリア王国に対して外交団を派遣した。しかし、彼らは我々と話すこともなく蛮国と罵り、挙句の果てには火矢を用いて攻撃を行ってきた。そのため我が国ドイツは国家の威厳を保つための懲罰行為が必要だ。だが結果は見えている。やつらはどのように我が国に貢献してくれようか?

  • ラウリーア国家弁務官区の作成
  • 我が国が管理するほど豊かとは思えん
  • 仲間たちに分け与えよう(分割)
  • ゲルマン人の箱庭を再び(完全併合)
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