ブラックバード・ドリーム   作:AC/弟子

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Forth Forces


フォース・フォーセス

「……とりあえずこんなもんカ?」

 

その後、フレームパーツの他の外装はトントンと決まった。とは言っても頭部、腕部だ。

色々とデータを見比べた結果、RaD製の頭部と腕部で決まった。

「とにかく速く飛ぶんダ、それ以外の性能はある程度妥協していい。最悪飛んでる最中に頭も腕も吹き飛んで構わねェ」とはビアードの言。

頭部はRaDの“HC-2000 SHADE EYE”、腕部は“AC-2000 TOOL ARM”となった。

 

「頭ァ最低限の地形スキャン能力があればイイ。腕も最低限、高速域での姿勢制御能力がありゃ上々って寸法ヨ」

「それに……な、RaDに居るのにRaDパーツ使わないのもどうかと思うし」

「そんな外聞ばっか気にすんなァエゲト。なるようになるだけヨ」

 

ふぅ、と二人して一息。

 

「じゃあ次兵装パーツ……」

「……ちょ、ちょい待ってくれビアード」

 

エゲトがビアードの口から放たれた言葉に手のひらを向けて制止した。

 

「んだヨ」

「……武器を選ぶ必要があるか?だってそんなもん積んだら死荷重だ、速く飛ぶなら」

「“軽い方がいいだろ”ってカ?そりゃそうダ」

 

「じゃぁよぉエゲト、ACの本質はなんダ」

 

今更なことを言うなと肩を竦めたのち、真剣な眼差しでエゲトに問い掛けるビアード。

 

「……それは、MTから派生した、状況に応じたユニット組み換えの汎用性を―――」

「ハイハイ教科書通りの答えダつまらねェ、五点」

「何点満点中だよ」

「百だヨ」

 

即答されたことにカチンときて、思わずムッとするエゲト。そこまで言われる筋合いなどない、そう言わんばかりの顔。

 

「……じゃあその答えはなんだってんだよ」

「至極簡単。兵器ダ」

 

 

 

ビアードは画面から目を離さず言ってのけた。

 

「ACは確かに組み替えることで様々な用途状況に適応対応できルが……その本質は兵器」

「人と人が争い、殺し、優劣を付ける。そういう原始的、本能的行為を満たし、上に立つ為に作られたものだと俺ァ思ってル」

「そうなれば、このACのあるがままの姿っツーのは、完全に武装した状態ダ」

 

「……妙にシビアだな、ビアード」

「シビアもイージーもねぇヨ、俺ァACが好きなだけダ、パイロット素質はなかったがネ」

 

わはは、と笑うビアード。

その様子に、何となく、ふんわりではあるが……納得はいった。

 

「あと、理由がもうひとつあル」

「…………何も装備してない軽い状態じゃ最速なんて出せて当然、兵装状態で出す最速に意味がある、ってか?」

「よく分かってんじゃねぇカ!」

 

あんな話されれば、誰だって分かるさ。小さく笑って頷くエゲト。

 

「いいぜ、それで行こう」

「ただ極力軽くしてぇナ。戦うための装備だ、全体的なバランスも考えよウ」

 

 

 

「…………ん?」

 

ふと、エゲトのポケットの携帯端末が震えた。なんだろうと取りだしてみると、早速先程のエルカノの担当者、キンバリーからのメッセージだった。

 

「どうしたヨ」

「ほら、さっきのキンバリーって人から」

「お、ォ?確認諸々が云々言ってたがもうカ?」

 

メールの内容を確認すると、どうやら違うみたいだ。

 

「“こちらで開発した腕部兵装の初期ロットを同封して贈らせて頂きます。これからもエルカノ・ファウンドリーをご贔屓にお願い致します”だって」

「……キンバリーのヤツメ、遠回しに“使った感想を教えてくれ”ってヨ」

 

なるほど、そういう意図か。こちらとしても市場に出回ったばかりのパーツを使わせてもらえるのは有難い。

 

「じゃあ有難く使わせてもらおうか」

「データを見るにハンドガンか。軽くて良さそうダ」

 

添付されたデータを、携帯端末からパソコンに飛ばす。鉄の杭を射出するハンドガンのような武器。なるほど、製鉄に一家言あるエルカノらしい武器だ。

 

「他の武装どーするカ……」

「……あのさ、非常に申し訳ない話なんだけど」

 

ただ他の武装だ。余り重たくても仕方ない。ここは何かしら考えねばならないとビアードが思案してる最中、エゲトから声が掛かる。

 

「ア?」

「……他の武装だけどさ。はっきり言って手が回らない……金が無いんだ」

「……あー……そう、だナ……」

 

普段の“ゴミ拾い”で収入はあれど、やはりというかACの維持にはそれなりの時間がかかる。安価で構造も簡素なMTと比べても倍近く掛かるのだ。

フレームパーツに関してはまだ何とかなる。頭部と腕部はジャンク品で捨てるほどあるからニコイチサンコイチして、どうにかしてやればいいから。

 

エルカノのパーツ、それにこれからFCSやブースター、ジェネレーターまで考えるとなるともう首が回る余地すらない。

 

「……チャリオットを売るか……」

「馬鹿野郎お前そんなことしたら一時は金が入るが稼げなくなル、それはやめロ!」

 

チャリオットを売って稼ぎにしようと考えたエゲト。だがそれは、一時の稼ぎでしかない。その先を見据えるとギャンブルが過ぎる選択肢だ。

 

「……じゃあ、倉庫の余ってるパーツは売るよ。使ってないヤツもあるし内装品があれば、コイツに回せる」

 

画面の中、3Dデータ上の新しい機体を見つめる。

……まだまだ、先は長いが険しく遠い。だがそれでも、もう引き返せない。やるしか、ないのだから―――

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