ブラックバード・ドリーム   作:AC/弟子

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Sixth Rough


シックス・ラフ

 

「あぁ……面白い、本当に大バカ野郎だねアンタたちは」

 

ひとしきりむせる程笑って、椅子に座り直したカーラはにぃっと笑みを深めて言った。本物の馬鹿野郎だと。

 

「全く全く…ほんとに、ねぇ」

「最近他の連中は意欲が無い。停滞していたんだ……そんな中にこんな馬鹿みたいなこと考えてる奴がいたんだ、笑っちまうさ」

 

ちら、と漆黒の軽量ACを見て言葉を紡ぐカーラ。

その様子にエゲトもビアードも唖然とするが、内心はほっとしていた。思わず顔を見合わせる。許された。

 

「アンタたちがどうやろうがは任せるよ、だがね」

「隠してたことだけは、ちょいと許せないな?」

 

……だが次に放たれた言葉にまたカーラを見てしまう二人。確かに言った、許せないと。

 

「……な、何をすればいいんデ……?」

 

おずおずと口を開くビアード。カーラの言葉は笑っていた。だが何があるか分からないのが実情であり現実。

 

「……アタシも噛ませな。こんな笑えるもの、ほっとけないね」

 

ニヤリと笑って言うカーラ。

その光景に再び信じられないと目を丸くする二人。許された上に自分も参加させろと。RaDの頭目であり腕の立つ技術者でもあるあのシンダー・カーラが。

 

「とは言え、アタシはあくまで“お目付け役”だ。表立っては他のドーザーの横入りを防ぐモンと考えてもらっていい」

「“余計な真似をさせない為の監視役”と思ってくれ」

「アセンブリに関しても口出しはしない、精々することと言ったら……そうだね、完成した時のチャレンジするための場を用意する程度か」

 

あくまで表立っては監視のための役割で、口出しは一切しない。だがある程度の援助まではする。そういう立場に立つと。

 

「文句は無いね?」

 

じっと二人を見据えて言うカーラ。

その言葉にエゲトとビアードも頷いた。それだけでも充分だ。

 

「……にしても」

 

続けてチラりとハンガーで沈黙するACをカーラが見る。

 

「ちょっとばかしスペック見させてもらったけど割とピーキーだねぇ」

「そうでもしないと、最高速は出ないと思ってますから」

「よく言ったじゃないかエゲト。ACは兵器だ、人殺しの為の道具だ。だからこそ――笑える必要があるのさ」

 

“人殺しの道具だからこそ、笑える必要がある”。

シンダー・カーラの物作りにおいてのモットーだ。

 

笑うとは額面通り受け取れもするが、色んな意味での“遊び”を設けているんだろう。エゲトはビアードからカーラのこの信条に関してそう聞いていた。

 

「……武装も決まってないって言ったね?右手にしてんのは……いや、アレだけ決まってるのかい?」

「エルカノからの試作パーツだそうデ」

「ふむなるほど、ニードルガン……面白いじゃないか?」

 

手元のタブレット端末をすいすいと指で操作して確認しながら顎に手を当てるカーラ。

 

「なるほど軽量かつ火力も申し分ない……いい武器作るねエルカノは……アタシらも負けてられないね。他の武器に目はつけてるのかい?」

「一応戦闘するのも算段に入れて……こうかト」

 

ビアードが自分の手元の端末をカーラに渡す。兵装の目星だけいくつか立ててたようだ。

 

「……ミサイル二種、ベイラム製の兵装……リニアライフルにマシンガン……幾つかパターン組みはしてたんだね?」

「そういうことなら相談してくれよビアード」

「軽さ重視で、今現状のチャリオットからあまり違和感なく使えるようにしたかったんデ。すまんなエゲト」

 

いくつかのパターン。両方の腕装備を軽めの武器にしたパターンやチャリオットの装備をそのまま流用したパターン、ハンガー装備もフル活用したパターン等様々なパターンがあった。

 

“こんなに考えてたのか……”と内心ぽかんとするエゲト。自分はとにかく稼ぐ事、ゴミ拾いから使えるパーツを拝借する事ばかり考えていた。ビアードからは「自分のことだけ考えてロ」と言われていたがこんなにビアードのほうが色々考えてると思うと恥ずかしかった。

 

「……オイ、エゲト」

「何だよ」

 

「……こっちの事は任せロ、お前は大船に乗ったつもりで入ればいイ」

「……分かったよ」

 

見透かされたようにビアードの言葉がエゲトに投げられた。ACの事は任せろと。

そんな二人を見て微笑むカーラ。

 

「おアツイようで何よりだ。だがまだまだ問題は残ってる……金銭面はどうするんだい?」

「ゴミ拾いじゃ稼げる金もたかが知れてるだろう?そこでだ……アタシからエゲトにちょいと頼み事だ」

「最近他のドーザー連中が騒がしくてね。ウチの防衛部隊も小競り合いが少なくない」

 

「正直ラミーじゃ戦力に数えるには不安だ。で、アンタの出番さ」

「エゲト、アンタにはウチの“二の矢”になってもらう――暫くの間防衛部隊に行ってくれ。そこでぶっ壊した連中のMTはウチで買い取ろうじゃないか」

 

シンダー・カーラからの直々の依頼。それは、ゴミ拾いからRaDの実働部隊への事実上の異動である。

カーラ曰く最近RaDの周囲のドーザーたちの動きが活発らしい。それを抑え、牽制する。その為にはやはりMTよりも強い戦力が必要不可欠。

RaDにはランク最下位ながらもACパイロットである「インビンシブル・ラミー」がいる。

だがそれだけでは不足。エゲトにその不足を補ってもらおうという話だ。

 

「アンタも独立傭兵だ、名を売りたいだろう?それにアンタの力も買ってる。悪い話じゃないと思うが?」

 

パイプ椅子に座り、じっとエゲトを見るカーラ。

 

「……わかりました」

 

あのカーラからの直々の仕事、その上こちらの実力を買って貰ってる。独立傭兵としての売名にもなる。こちらのデメリットなんてほぼほぼない。それこそトチを踏んで殺されない限りは。

 

「こっちは任せてくれよエゲト。しっかりいいヤツ組んでやるからヨ」

「……頼むぜビアード」

「アタシも決戦の場は用意しよう。キッチリ仕事はするさ」

 

 

新たな仲間を加えて再び進む。

ここからまた加速する―――

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