美咲と同じ制服をした、その子は少し声が緊張しているようにも見えたためひとまず席に座るようにテーブル席に案内する。
「いらっしゃい。バイトの募集のことは後で話をしますのでメニューでも見ながら少々お待ちください」
「あ…えっとお恥ずかしい今あんまり手持ちがなくて」
「心配しなくても大丈夫だよ。美咲が友達を連れてきたんだから、いつも仲良くもらっているお礼だと思って何でも頼んで」
遠慮気味な姿勢を見せるいろはを見て美咲は優しく声をかける。
「いろはちゃん、本当に気にしないでください。兄さんは少々お節介なところがありますし、ここだけの話ウチの店そこそこ儲かっていますから」
悪そうな顔をした、美咲がそう言いながら光のほうを見る。
「変なこと言ってないで、部屋に荷物を置いて、着替えてきなさい」
「はーい。ではいろはちゃん少し待っていてください」
いろはがメニュー表を見ている傍らで、光はみこちの前に並んでいる空いた食器を片付け始める
「コーさん、コーさん。早速新しいバイトの子きたみたいじゃん。いろいろ話を聞くとは思うけどさ、採用するの?」
先ほどちょうどバイトの話をしていて気になったのかみこちがいろはのほうを少しチラチラ見ながら光に話かける。
「そうですね。少し話した感じは真面目でいい子そうなので、採用すると思いますよ。シフトの日数にはよると思いますがウチの店はある程度余裕がありますし、何より美咲からの紹介なのでまず問題ないでしょう」
これからもたびたび店に通う側として考えているみこちとしては、新人バイトさんの様子が少し、いやかなーり気になっているみたいに見えた。
「それよりもみこさんは時間大丈夫なんですか?ずいぶんゆっくりしているみたいですが」
「だいじょう~ぶに決まってるじゃん。まだ、お昼すぎでしょ~」
そういいながら、時計をみると時間はすでに、夕方を指している。女子高生が授業を終えて帰ってくるくらいなのだから当然である。時計をみたみこちの顔は見る見る青ざめていき、ついに決壊した。
「うぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ もうこんな時間になってたのぉ!! コーさん早く言ってよ」
そんな無茶苦茶なぁ…と思いながらみこちは、急いでレジに向かいお金を払ってから急いで店を後にした。
大丈夫かなと思っていた光は、みこちのマネージャーさんに連絡をしてみたがどうやらマネージャーさんはみこちに少し早めの時間を知らせていたので仕事の時間的には問題なく間に合いそうとのことで少しホっとした。優秀なマネージャーさんに感謝である。
みこちがドタバタしている間に、部屋着に着替えた美咲が、いろはの横に座る。
「いろはちゃん。メニューは決まりましたか?」
「あっ美咲ちゃんおかえりなさい。いろいろあって悩むでござる…」
「私的には、ショートケーキがおすすめですよ」
「じゃあそれと、カフェモカをお願いします」
「はい、少々お待ちください」
注文を聞き届けると、光は準備をしにキッチンのほうに戻る。
「初めて、美咲ちゃんのお兄さんに会いましたけど学校のみんなが騒ぐ理由がわかりました」
美咲の迎えに行くときや、たまに学校でも店のことが話題に上がったりすることもあり、いろは的にも少々美咲のお兄さんのことが気になっていたのだ。
「まぁ兄さん自身は気づいてないですが、身内目線でも整った容姿をしていますし、だれにでも優しいですから」
「そうなんだぁ。お兄さん誰かと付き合ったりとかしてないの?」
「兄さんが学生時代にも、そんな話は聞いたことがないですね。でも最近はそうでもないみたいです」
女子高生らしい恋バナを横目に、キッチンにいる光のことを見る。星街との一件を知っている美咲からすれば、兄が付き合い始めるのは時間の問題だろうと思っていた。
(いわれてみれば、兄さんはずっとすいせいさんのことが好きだったってことなのでしょうか)
「お待たせしました。ショートケーキとカフェモカになります」
考え事をしているウチに、注文がきた。注文を届けた光はその足で店の看板を準備中の札に変えてから二人のいる席の横に腰をかける。
二人が食べ終わってから、いろはちゃんにバイトの内容について説明する。週にどのくらい入れるか、時給がどのくらいかなどの説明を行い、いろはちゃん的には問題ないとのことだった。説明も終わったところでいろはちゃんが帰ろうとしたときに不意に店の扉を開く音がした。
「光~いる?ちょっと相談したいことがあるんだけど~ってもしかして取り込み中だった?」
誰がきたかと思えば、スターの原石さんが扉の看板に目もくれず、店の中に入ってくるのだった。
「すいちゃん、いらっしゃい。表の看板見ずに入ってきたでしょ」
そういうと星街は一旦、扉を開けて表の看板を見て看板が準備中であったことを確認し、ごめんごめんと少し申し訳なさそうな合図をする。まぁ他のホロメンもよく準備中にも関わらず入ってくることもあり光としてはあまり気にしてはいなかった。
「もしかしてお客さん?取り込み中だったら後にするけど」
「いや大丈夫だよ。美咲の紹介で新しいバイトさんが来ることになったからその説明とかしてただけだから」
そんな話をしていていろはは立ち上がり、星街に対して挨拶する。
「初めまして、これからバイトで働くことになりました、風真いろはと申します。以後よろしくお願いしますでござる」
「こちらこそ初めまして、彗星のごとく現れたスターの原石、アイドルVtuberの星街すいせいです。よろしくね、いろは」
お互い、少々癖のある自己紹介をしたところで、すいちゃんに用事のことを聞こうと思っていたがいろはちゃんの顔がみるみる赤くなり、なぜか漫画でも見たことないようなグルグルな目をしてアワアワしている。
「いろはちゃん?急にどうしたんですか、具合でも悪いですか?」
「星…すいってもしかして、あの星街すいせいさんですかぁぁ!!しかも私の名前を…うあぁあぁあああ!! 美咲ちゃん、お兄さん今日はこれで失礼しますぅぅぅ!!」
「あっ…いろはちゃん! って行っちゃった。」
声をかける暇もないほど、早い動きで店を後にしたいろはをみて、光はびっくりしたがまた今度のシフトの時にでも話をしようと思い、用事があった店に来た星街のほうの対応をするのだった。
というわけで、風真殿がバイトにという話でした。
一応時系列としては、イノナカ加入~3期生加入前くらいです。
話しの中ですいちゃんが身バレ関係なく挨拶をしているのですが、本作品では一キャラとして考えてください。
あくまでも二次創作なので、ガバガバ設定はご愛嬌と思っていただければ幸いです。