第十四話 交差点の宿場町
side ザイン
俺たちはしばらく歩いた後、道が大きく2つに分岐する宿場町ヴィンツィヒにやってきた。
「ザイン殿、テューアに向かうにはここで別れる事になりますな。」
「そうだなぁ。この街を出たら完全に別だな。」
「ではしばらく会えなくなる事でしょうし、ここで休憩しましょうか。」
「そうだな。」
この街を出る時は、コイツらとはしばらく別れる事になる時。なんだか寂しくなるなぁ。これから1人………ん、いや、アイツはどうなんだ?
「そういや初代のオチンチン、お前はどっち行くんだ?」
もしかしたら、このエロ爺と2人旅になるかもしれねえからな。
「儂か?儂はこの街にお目当てのエロ本がある気がするからのぅ。」
「お目当てのエロ本⁉︎」
「初代オチンチンは無くしたエロ本探しに旅をしてるんだよ。」
「何探してんだよお前⁉︎」
どうやらこの爺さんとの旅は珍道中になる事間違いなしだ。まあチン丸出しだしな。というかなんでエロ本がありそうな気がするんだよ⁉︎
「儂のおちんちんがここにエロ本があると告げていてな。」
「気でも狂ってんのか⁉︎」
「ザイン殿、我々ちんちん侍はエッチなものの気配をおちんちんで探索する事が出来るのです。」
「本当に気ぃ狂ってんな⁉︎」
「ザイン様、今更です。」
「ひいお爺様、この街には漠然とエッチな気配が漂っておりまするが………」
「私もそう思う。」リンゴムシャリ
「おお、そこまで探れるようになったか。偉いのぅ。」
「「漠然とエッチな気配って何⁉︎」」
チンコで探索するってなんだよ⁉︎それに漠然とエッチな気配って……っ‼︎エッチなお姉さんとかすぐに場所分かるの⁉︎本当にイカれた連中だなぁ‼︎
「まあまあ、とりあえず宿に泊まろうか。」
「フリーレン、お前はなんでそんな平然としてられるんだ………」
「本当そうですよね。」
女の子たちからしたらたまったもんじゃねえぞ。チンコ丸出しの変態大男が、隠れても気配で居場所追跡してくるんだからな。下手な魔物なんかよりもよっぽど怖いだろ。慣れって怖えな。そんな事を思いながら、俺たちは宿に泊まった。
宿で少し仮眠した後、俺とシュタルク、そしてオチンチンファミリーズという男4人全員で街を歩く事にした。
「こうしてみると、普通の宿場町なのですが………なんかエッチですな。」
「分かるのぅ。」
「「分かるか‼︎」」
ちなみに道ゆく人が変な会話をしているとかではない。例えばあそこの親子は………
「ねえパパ〜!あのぬいぐるみ買って〜!」
「ダメだぞサニー。この間別のぬいぐるみを買ったばかりじゃないか。」
「あれも欲しいの〜‼︎」
わがままな娘と叱る親父。あそこの人たちは………
「ねえねえ、そういやコニーとはどうなったの〜⁉︎」
「何も無いって〜‼︎」
「またまた〜‼︎」
仲良さそうに話す若い女たち。そして………
「やあやあ、そこの旅人さん‼︎うちのケーキは如何かね⁉︎」
「ケーキですか⁉︎買って行こ〜よ、ケイン‼︎」
「ケーキか………。ったく、しゃーねーな。」
「ありがとうございます‼︎」
仲良さそうな恋人同士の旅人に営業をかけるケーキ屋。
「ザイン殿、どうです?エッチでしょう?」
「どこがだよ⁉︎」
至って普通の宿場町だ。確かに何人かエッチなお姉さんはいるものの、街中がエッチだとは到底思えない。どう考えてもオチンチンファミリーズの守備範囲が広いってだけの話だろう。
「とりあえず、爺さんが無くしたエロ本探そうぜ。」
「まあそうだな。」
「探してくれるのか、シュタルクよ。感謝するぞい。後で新しいエロ本を贈呈するのじゃ。」
「いや、それは要らねえ。」
そんな事を思いながら、俺たちは街中を練り歩いた。エロ本を探すために。
しばらく探したのだが、
「うむ、全然見つからぬな。」
マジで見つからなかった。
「おかしいのぅ。エッチな気配はしてるのじゃが………」
「そうですなぁ。」
「ちなみに無くしたのはいつなんだ?」
「ヒンメルとの旅路の頃じゃ。」
「80年前じゃねえか⁉︎」
もし本を中で落として親切な誰かが拾ってくれたのなら、綺麗に保管されてる可能性もなくは無い。だが外でポトっと落としたなら、見つけるのはもう困難だろう。人々に知らぬ間に踏まれたり、雨風に曝されたりすれば、1週間でボロボロの状態になる。ましてや80年も経ってるんだ。
「そういえば、フリーレン殿に頼まれるのは如何ですか?」
「いや、フリーレンに頼むなよ‼︎」
「エロ本を探す魔法は無いって言ってたからのぅ。厳しいぞい。」
「そりゃそんな魔法ある訳ねえだろ。」
この爺さんには悪いが、旅をしても無駄だと思う。その点については俺も同じだけどな。生きてるかも分かんねえ親友を見つけに行く旅。それも昔の大切なものを探す旅。そう考えると、案外似たもの同士なのかもな、俺たち。
その後日が暮れるまでエロ本を探したが見つからなかったので、俺たちは宿に戻る事にした。
side フリーレン
この街に来てから、漠然とした違和感を感じている。それはオチンチンファミリーズが言ってるエッチな感じとかじゃない。どこにでもある、普通の宿場町。なんならヒンメルたちと来た時に、ここは一度立ち寄っている。その時には全く感じなかった違和感だ。たった80年でここまで変わるのかな?気になったので、私は初代オチンチンを呼んで、夜の屋根の上で2人で話す事にした。
「ねえオチンチン。」
「なんじゃ、フリーレン?お主から夜這いとは珍しいのぅ。」
「夜這いじゃないよ。」
「うむ、そうじゃったな。ヒンメルに怒られるわい。」
なんでヒンメルが出てくるのかはよく分からないけど………。まあいいや、とりあえず今の事を話そう。
「それはさておき、ここって前にも来た事があるよね。」
「そうじゃな。あの時はアイゼンがハイターの背中叩いてゲロ吐かせてたっけ。」
「あったね。ちょうどこの宿の裏の路地だね。」
「そうじゃな。」
「でさ………ここ、前に比べてなんか変じゃない?」
さて、オチンチンの反応は………?
「そうじゃな。前はこんな漠然とエッチな気配はしなかったのじゃ。」
「エッチかどうかは分かんないけど、やっぱ変だよね。」
良かった、同じ事を思っててくれた。
「たった80年でここまで変わるものなのかな?」
「80年もすればあらかた変わると思うのじゃが、これはそれとはまた別の感じじゃのぅ。」
「別の感じ………少なくとも自然に出来るものじゃないよね。」
「そうじゃ。」
この街全体の裏に、何かがあるのか?それとも人々はなんらかの制限でも受けているのか。
「ちょっと試したい事があって。リーニエ呼んできていい?」
「いいぞい。」
私はある事を思いつき、リーニエを呼ぶ事にした。
しばらくすると、リーニエは大好きなリンゴを食べながらやってきた。
「どうしたの、2人とも?セックスの話?」リンゴムシャリ
「なぬっ⁉︎だがしかし、儂が寝取りなど………」
「違うよ。」
「なんだ、違うのね。」リンゴムシャリ
このパーティー、変態増えすぎじゃない?リーニエにザイン、そしてオチンチンとオチンチン。過半数が変態じゃん。
それはさておき、本題に入らないと。
「とりあえず、魔力探知をしてもらっていい?」
「普段漠然とやってるけど、もっと細かく?」リンゴムシャリ
「そう。」
リーニエの得意な魔力探知。魔族を炙り出すのにはとても便利な方法だ。夜に彼女に見張りをやらせておけば、襲われる心配もない。だからとりあえず、近くに強大な魔族が居ないか確認しておく。
「う〜ん、街の北側の森に小さな魔力を感じるな。でも1人で倒せるくらいでしかない。」リンゴムシャリ
「私みたいな魔力制限は感じたりしない?」
「しない。」リンゴムシャリ
「良かった、私の考えと一緒だ。」
どうやらリーニエも私と探知結果は同じ。だから無用な心配なのか?
「でもなんかおかしいのじゃが………」
「そうなんだよね。」
「そうなの?」リンゴムシャリ
だけど、どこか不安だ。漠然とした違和感。他の街では起こらないのに………
そんな不安は、すぐに圧倒的危機となって現れた。屋根の上から見えた景色。それは…………
「街の人が全員、武器を持ってこっちに来てる。」
悍ましい光景だった。
と